そして5年後。
この5年の間に、村では幾人かの子供と大人が病や怪我で命を落とし、
幾人かの、子供と大人が増えていた。
いくつかの変化はあったものの、村は平穏な月日を過ごしていた。
特に大きく変わったのは、村に新たな役割ができたことと、王都からの支援が増えてきたことだった。
以前は村で重要な役割は村長くらいしか存在しなかったが、ジョージは新たな役割「先生」を務めるようになっていた。
特に誰かが求めた役割でもなかったし、ジョージが希望したものでもなかったが、いつの間にかジョージはそう呼ばれ慕われるようになっていたのだった。
およそ2年かけてジョージが本を全て読み聞かせ終わった頃、彼には王都から直接手紙が届くようになっていた。ジョージが文字を読めるようになったため、領主を経ずに手紙を届けることができるようになったからだ。
王都からの手紙により役割が増えたこともあった。
『読める者を衛る兵を備えよ。』
5年の間に大人になった二人の青年が、ジョージを守る「衛兵」の役割を務めることになった。
度々、王都から工員が派遣されることも増えてきた。
村の井戸や水路は以前より遥かに充実してきたし、家も増えた。
それはもちろん良いことなのだが、工員が「教会」と呼ぶ建物を作ったとき、ジョージと村人は困り果てた。
どうやら物語を読むための場所という話だったが、
窓もなく石を積み上げて作られたその狭く暗い「教会」は、物語を読むにはひどく不適切な場所だったのだ。
結局、朗読は今まで通り集会場で行われることになった。




