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再会

ダニエルは、待った。

ジョージは王都へ勉学の留学へ行ったのだ。しかも、領主様の計らいで。

こんなに光栄なことがあって良いのだろうか。

しかし、こんなにも寂しいことがあっただろうか。

季節は、ダニエルの想いとは裏腹に、瞬く間に過ぎ去っていった。

一度目の春が過ぎたと思えば、もう冬が終わろうとしている。

この一年と少しの間、村には一人の死者も出なかった。そしていよいよ、二度目の春が来た。


「おい、ダニエル。そろそろ帰ってくるんだろ?倅。」

村一番の大男がダニエルに話しかける。

「ああ、伝令の方もそう言ってた。今日か、明日か。王都は遠いからな。もしかしたら、まだ時間がかかるかもしれないが…」

言い終わるより早く、遠くから足音が響く。ダニエルは音の方へ向き、その姿を待った。

「ジョージ!元気だったか?いや、元気だったみたいだな。会いたかったよ」

「ああ、僕もだよ、父さん。村のみんなも元気そうで、本当に良かった!」

親子の再会は、お互いが思っていたほど感動的なものにはならなかったが、何事もなかったのがその幸福を示していた。

「で、ジョージ。王都では何を勉強したんだ?」

「うん、父さん。文字と、物語。そして、神様っていうの、勉強してきたんだ。あとで、村のみんなにも教えてあげたいな!」

その夕、村では盛大な慰労会が行われた。


明くる朝、集会場でジョージによる朗読会が開かれた。

「みんな、集まったね。じゃあ、これからお話を聴かせるよ。えっと、これ…見たことあるかな?本っていうんだ。この中にはね、世界や僕達がどうやってできたのか、その歴史がぜーんぶ書いてある。僕は…それを王都で勉強してきたんだ。じゃあ、読むね─


えっと、昔々、えっとなんて読むんだったかな…エイ…エイダム…、エイダム。エイダムと、えっと…イー…エイダムとイヴィっていう、男と女がいたんだ。うーん、多分、夫婦だね。」


その日から、村の人たちは毎朝、ジョージの朗読に耳を傾けるようになった。

なにせ、物語などというものは、年寄りから口伝で伝えられる精霊の話くらいしかなかったのだから。

そして、村は神の物語に満たされ平和なまま、5年が過ぎてしまった。

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