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旅立ち
ここは異世界、アナザワールド。
物語は、ビレッジ村から始まる。
ある日、初老のチーフ村長は伝令を迎えていた。
「これはこれはわざわざおいでになられて…今日は何用で?」
伝令は表情変えずに伝えた。
「領主様よりの通達、この村より最も賢い者を王都へ派遣せよとのこと。伝令は以上だ。」
最も賢い者。
その夕、村の会議が開かれた。いや、会議と呼ぶには些か賑やかすぎるものだった。
チーフ村長が口を開く。
「やはり、ダニエルさんとこの倅が良いんじゃないかね」
続けざまに他の男たちも口を開く。
「異議なーし」
「この村の水車や井戸も、みんなジョージの先導だしな」
ダニエルは返した。
「お前らの気持ちは嬉しいが、うちの息子なんて…いいのか?ほんとに、うちので?」
明くる日から、村はジョージへの応援と旅立ちの準備で慌ただしくなった。
そしてジョージ、旅立ちの日。
「寂しくなるな、ジョージ。」
ダニエルは鼻を啜った。これまでジョージと離れて過ごしたことは一日もないのだから。
「そんな顔しないでよ父さん。二回目の春が来たときには帰るんだから。」
「そうは…言ってもよ…」
親子が別れを惜しむ間に、旅添いの衛兵二人が踵を鳴らした。
「じゃあ、父さん。行ってきます。」
「ああ、達者でな。」




