第5話 共鳴する思想
ルミナリスの貧民街を抜け、烈、ミリア、ルナ、セレナ、リズの五人は荒野の街道を進んでいた。神願の試練「デザイアル」の参加資格を手にするため、
次の目的地はついに、デザイアルの予選会場、セントラル・ルミナ。
神域の聖峰へ続く道は遠く、大いなる輝石「シャルト」を求める旅は険しい。
日差しが眩しすぎる。天気に恵まれている。これも神の仕業なのかと疑心暗鬼となってしまう。
「よっしゃーさっさと行くぜー」
烈はテンションが上がっている。
着く前にバテないといいとセレナが思う。
「うんうん!その意気だよ!」
ミリアが同調。
リズが髪をかき上げ、冷たく言う。
「予選なんて、雑魚の掃除だよ~。さっさと終わらせたいかな~。」
しばらく歩いてみると遠くに街が見える。その街はとても美しく、豪華に包まれている。
「んー、あれはセントラル・ルミナだよ〜。」
やはりあれがセントラル・ルミナ。貧民街と対比をなす存在。あの中央に王がおり、行政をしている。
セントラル・ルミナを遠目で見た。
囂しくそして転生前にいた東京のように眩く光っている。
そこで驚くのは交通手段があるということ。だが、動力や交通の革命は起こっていない。
車や電車が通っていないのだ。人はみな、馬を使い移動をしている。
しかし、面白い移動方法を見つけた。輝石による移動だ。今まで寄った街をちらっと見ると輝石を販売しているところがある。
恐らく移動系の輝石があるのだろう。
詳しくは知らないが。いやリズが居る。聞いてみよう。烈は尋ねる。
「ん?あるんだよ〜。」
状況を察して尋ねる前に教えてくれた。
情報屋なだけある…
烈も輝石を購入すれば、戦闘の幅がより広がるかもしれないと思いながら予選会場へと急ぐ、と思ったがミリアが
「なんだあれー!ねぇねぇレツー行ってみよーよぉ」
と、子どものように駄々をこねる。
烈はもちろんダメだと答える。
「ちょっと遅刻気味なんだ。早く行かないと予選の受付に間に合わないかもしれないんだ。」
ミリアがぷんぷんと怒っている。
烈は呆れて
「はぁー、予選が終わったら行ってやるよ」
そういうとミリアは目を輝かせるんるんと予選へ向かいだした。
「なにやってるのみんな!さっさと行かないと予選に間に合わないよーー!!!」
現金なヤツだ。
セレナがあははと笑っている。
荒野の先に、予選会場が見えた。巨大な闘技場、蒸気管が煙を吐き、輝石の光がきらめく。1000人の参加者から選ばれた者だけがデザイアルに進める。烈は地図を広げた。
「なん……だと」
当日ルールが発表その内容は、
「まじか、予選は一対一形式かよ。」
予想外な事態にミリアが目を輝かせる。
「一対一?とりあえず1戦勝てばデザイアル?余裕っしょ!」
烈は鼻で笑った。
「甘く見んなよ。強いやつがわんさかいるんだ。んまぁ、平等な社会を目指すなら、こんな試練くらい勝ってみせるぜ。」
だが、烈は平等の天秤の効果を受けない。そうなると一対一では、不利の極みだ。勝てるか分からない。
ふと、リズの言葉が蘇る。
***
「応用だよ〜。自分でも勝てるように工夫をするかな〜。平等の天秤を使い、相手を弱体化させた時できることだよ〜。それはまともな戦いだよ〜。さっきの戦いより、君は基礎的な体力を持ち合わせていないことがわかったかな〜」
***
烈は拳を握る。
そうなると、ここは頭脳戦だ。どれほど知恵を絞れるかが勝利の鍵だ。
ルールをより細かく説明しておくと
基本一対一の1発試合。
この試合を勝ち抜けば、本戦へ。
負ければそれまでとなる。
特設ルールとして、負けた者の中から乱闘形式で敗者全員で戦い勝ち残った1人のみ本戦へ出場権を得る。
受付の周りを見てみると、様々な奴がいる。
明らかに強そうなやつと、意外と細身だが、自信しかなさそうな顔。ボソボソと喋っていて不気味な奴もいる。
そいつらの中から俺は戦うんだな。
平等を実現するために、自分の思想を貫くためにこの戦いに勝つ。と、烈は拳を手のひらに跡が残るぐらいに握った。
そして、観客席へと足を運んでみた。
闘技場は喧騒に包まれていた。傭兵、冒険者、貴族の戦士。観客席には教会の司祭や貴族が並ぶ。恐らくどこかに、王はいるかもしれない。暗殺阻止のためにあえて目立たないようにしているのだろう。
受付での抽選。
予選では抽選で対戦相手が決まる。烈の相手は、青い中途半端のオールバック。セットというセットをしてきていない。若干前髪が戻っている。金色の瞳の少年。革鎧に普通の剣よりも一回り二回りも違う大剣を背負う、厳つい雰囲気。
なんと第1試合なのだ。この試合は20日間行われる。規模がとてつもなくでかいのだ。だから一対一形式。トーナメントだと時間がかかってしまう。
「へえ、こんな弱そうなやつが相手か。デザイアルへ行けたなこりゃあ」
烈が言い返す。
「なぁんだ?、見た目で判断すんなよ。俺はレツ・スズキ。お前、誰だ?」
男が大剣を地面に突き、吼えた。
「ライララ・ソウジャー。シャルトでこの腐った世界をぶっ壊す。」
烈が目を細める。
「世界を壊す? 何だ、その物騒な話は?」
ライララの目が鋭くなる。
「なんでもいいだろ。この世は不平等が普通なんだ。ならよ、
俺はシャルトを使いゼロから開闢する。」
烈の胸がざわついた。混沌としている憎悪。しかしこいつは
平等を目指している……?
だが、ライララの過激な思想は烈と完全には相容れない。
「滅ぼす? ふざけんな。世界を変えるなら、誰もが輝けるようにするんだよ!」
ライララが嘲笑する。
「偽善者め。この世界での平等なんて絵空事だ。死にたくなかったら、棄権しろ!」
平等を諦めている……。
「いいや、そんなことは無い。平等を叶うことさえ出来れば、人は心には定着するはずだ!思いやりの心が、誰の心にも!!!」
瞬間、
放送が流れる。
「レツ・スズキ、ライララ・ソウジャーは、闘技場へ集合してください。」
そして舌打ちをして、ライララは踵を返した。
ミリアは、烈を心配する。
「だ、大丈夫?レツ、心配すんなって、勝てるよきっと!」
烈の心に恐怖はなかった。
今ある心は、ライララの間違った平等を正す。本当の平等を教え込む。ただそれだけだった。
して、その感情のまま観客席を後にする。
「みんな頑張ってくる。」
みんなはそんな烈の背中を見る。
応援してくれている仲間のために烈は、勝つ。
烈は、階段を叩き付けるように降りていく。
そして闘技場にて、2人は揃う。
「棄権しても良かったんだぜ?」
「何言ってんだ。俺の平等はここで終わらねぇよ。」
不穏な空気のまま、試合のゴングが鳴る。
瞬間、闘技場に雷鳴が響き、ライララの大剣が雷輝石魔法で光る。雷の斬撃が烈に迫る。烈は咄嗟に転がり、回避。
「雷の輝石!?くそ、速え!」
ミリアが観客席から叫ぶ。
「レツ、逃げて! やばいって!」
ルナが拳を握る。
「レツ、無茶するな!」
セレナが祈る。
「どうか、勝て…!」
リズが冷たく言う。
「負けたら置いていくよ~。頑張るんだよ~。」
このままじゃ、勝つどころか戦えもしねぇ!
ライララの雷の猛攻撃、1度当たっただけでもとてつもないダメージが来るはずだ。万一死ななくても、隙が生まれてしまう。
烈は、ライララに対抗する為に、色々模索をしている。しかし、ライララに近づくどころか、自分自身の自由が無い。
「逃げてばっかじゃあ、いつまで経っても勝てないぞ」
ライララは煽る。しかしそれは烈の禁忌に。
━━━━逃げる
逃げるのは最良の選択肢のひとつだとよく言われる。だが、何も考えず、ただ消えてなくなりたい。ここに居たくない。そんな理由で逃げたくはなかった。
烈は孤高に生きていた。最初から独りの彼は、人には突っ張って自己流を貫いていた。1人だとどうしても限界が来る。だから逃げるしか無かった。決して負けじゃない。意味のある逃げだと信じていた。
世界が不平等なら、自分が平等に生きればいい。逃げ続けて逃げに逃げて、その先に平等がある。
そんなわけはなかった。猛烈な思想が飛び交い、世界は益々分かれていく…。
そのうち自分も1人で、独立した思想として非難されることだ。結局は多数が世界を制す。それが「運命」なんだ。
突如、烈の頭にある考えが浮かんだ。
「あぁそうか、何も俺だけじゃねぇ」
だが烈は、今は1人じゃない。仲間がいる。
転生を果たしてからのらりくらりとまるで練り消しを作るかのようにまとまったこの仲間。それぞれの形が歪で溶け込んで生まれたパーティー。しかし目的はただ1つ。「平等」
「ライララ、お前の憎悪は分かる! けど、世界を壊すのは間違いだ!」
烈の指摘にライララが静かな怒りを感じる。
「間違いじゃあねぇんだよ。理不尽に搾取されるこの世界は、根本から腐っている。抵抗できないこの世の中はどうかしてんだよ。」
動きが強まり、雷鳴も増える。
烈はさらに活発に動く。
体力の戦いになってしまっている。しかし
「それはそうだ。ただお前がどうやってそんな世界を壊すという思想になったかは、分からねぇ。だけどよ、それが間違ってるってのはわかる。いいか、その平等は間違いだ。」
ライララは反論する。
「上辺だけの平等が、世界自体が変わるに繋がるわけねぇだろ。俺がどういう想いで……、どういうことが起きてんのか知らねぇくせに!」
ライララの動きが一瞬止まる。隙が生まれた。烈が覚悟を決める。
「分かるわけないだろ。客観的に言おう。お前はただの我儘だ。それで何を救う気でいる。結局はただの私利私欲だ。だが、そうなるのはわかる。不平等だと自分はより求めてしまう。だから━━━」
「 俺も我儘だ。 」
平等の天秤━━━発動。
あたりが眩い光で覆われる。その光は消滅を伴い、ライララは弱体していた。
「ぐっ!?なんだこれは力が出ない!」
烈は平等の天秤を観客に向けて放つ。力は平均化され、ライララは烈とタメを張れるほどの強さと化す。
「さぁ殴り合いといこうじゃないか。」
リズに言われた通り、平等の天秤を応用した。
第三者を巻き込み自分と同じレベルにまで落とす。
同じ力同士の戦いあい。どちらの平等がより功を成すか。
殴り合いといっているが、実際は拳と剣の戦い。
だが烈も、こうなるとは思ってなかったわけじゃない。戦い方は人並みにちょっとずつ努力はしてきている。
「まぁ力が弱くなったところで、武器の違いから勝敗は至極当然。」
ライララの余裕に、烈は煽る。
「そんな甘い計算は、足元すくわれるぜ。」
そうは言うが射程の違いのせいでなかなか攻めるのが難しい。
ライララの勢いが増す。烈は読み取る。ライララは過去に何かがあり、それは自分の誤算による誰かの消失の哀しみ。又は自責の念。もしくは社会格差又は欲望が織り成す裏切り。
激しい猛攻が覆う。晴天の霹靂のように、虚を衝く雷降が多い。必死に逃げ惑うが、ライララ自身が何もしてないわけが無い。
ライララは自身の雷を避けながら素早く烈を追いかけていた。烈は2つの障害を避けながら戦いをしなければならない。
烈の攻撃は雷のせいで通常の半分と言ったところだ。だがライララは余裕を持ち雷と共に弱った状態でもそこそこの人間は倒せるレベルであった。
烈はライララに殴られる。烈はすかさず突進。しかし雷が邪魔をする。寸で避ける。
「厳しいだろ、この猛攻は。」
リズから聞いた輝石の情報。それは使えば使うほど効果は上がり、より激しく進化する。
この攻撃は、とてつもない努力の賜物。
うぉーっと、烈は突進する。ただの意味の無い突進を。
「単調な攻撃だな。裏でもあるのか?」
その言葉を無視し、特攻を続ける。
今の烈にはそれしかできない。
「つまらんな、こっちから攻めに行くか。」
余裕に笑い、ライララが走り出す。
烈は未だに特攻。烈が足下に来たその瞬間
「潰す!」
ライララの大剣が烈の頭上に、その瞬間
烈はより低い姿勢にして加速し、ライララの足を動かし転ばせた。
ライララは派手に転ぶ。
その隙を見逃さない。烈は、ライララが転けたことにより手を離した、大剣を持った。しかしそれはあまりにも重い。
烈は、その大剣を場外へ吹っ飛ばした。
振り返るとライララが立っていた。
「貴様ぁ……!、」
ライララは笑顔でいたが、怒りを全身に体現した。
今度は、烈が余裕に笑い
「これで、今度こそお互い素手だな。」
そして2人は激突する。
雷の攻撃は以前止まない、しかしライララはリーチが無くなったことで、攻撃がしやすくなる。
段々と烈の攻撃が当たる。
しかし烈の体力はギリギリだった。
平等の天秤と、ライララの攻撃を避けるのに大半を消費した。
だが負けじと烈は可能性を聞く。
「なぁ、ライララ。お前は自分の雷に打たれたら痛いのか?」
ライララは不敵に笑い
「はぁ?、耐性はないことは無い。だが俺のコントロールで、自分に当たることは決してない。」
きっとそうか、と烈は思う。
ライララの怒涛の攻撃は止まらない。
だが、烈もライララに段々追いつく。限界を超えて戦いをしている。それはライララも。
烈はライララを殴り飛ばす。1番でかいヒット。
しかしライララは怯むことなく、休むことなく立ち上がり烈を横から吹き飛ばす。烈は回避が追いつかず防御に入るが、それなりのダメージを受けてしまった。
どちらかが倒れるまでこの試合は終わることの無い。先に膝を着いたものがこの試合が終わる。
「平等っていうのはな、弱者を助けてくれる。すがりつけば、救済をくれる。そういうもんなんだ。世界は変わる。」
烈は、息切れした肺から言葉を絞り出す。
ライララは反発する。
「そんなのが、今の世の中で出来るのか?無理だろ。貧民は敵、みたいなこの世の中、「異端者」が裁かれるのが定着している。見た目だけ取り繕っても、改善するわけねぇだろ。」
口論はまだ続く。
「見た目が変われば中身も変わる!、例え中身がどす黒くても、見た目を清純に本気で変わりたいと思えたなら!中身もより研磨され見た目と同意義な存在になる!」
2人は思想は全くの別のものとなり対立している。
それは溶け合う可能性が、全くないほどに。
ライララが近距離を攻める。その瞬間
烈はライララにしがみつく。ライララは弱体化しているため解けない。そして雷は止まる。そして烈はライララを刺激する一言を言った。
「何止めてんだよ、俺に打てよそんなんだから誰も救えねぇんだよ。」
ライララの目から瞳が割れる。
「は?」
瞬間、
烈に向かって巨大な霆が降る。
それはライララにも伝わる。
両者が雷光に包まれる。やがて、それは2人の伸びきる背面を映した。
ここからは、
立ち上がったものが勝者となる。
「ぐぅあぁ!」
立ち上がろうともがくのは、ライララだ。
「はぁ!!!」
烈は伏せながら力む。上手く力が入らない。
だがそれはライララも同じ。よろよろしている様子だ。
そして、
立ち上がる。烈の姿。
烈は溜めた。数秒起き上がるという行為に力を注いだ。
ライララは中腰でもう完全に立てない状態だ。
ライララが膝をつく。試合終了のゴング。烈の辛勝だ。ライララは烈を睨み、倒れた。あとを追うように烈は倒れる。
そして救護室へと運ばれた。
「レツくん、今日はお疲れだね〜」
というリズのかけに烈は
「当たり前……今完全に寝たきりなんだぞ。身体もよく動かせねぇ。」
烈が倒れたあと、ミリアやリズが運んでくれたらしい。ちなみにライララはと言うと、負けたあとブツブツ言いながら一人で歩き出した。ルナとセレナは、色々後始末をしてくれたらしい。ありがたい。
後始末って言うのは、平等の天秤のこと。相手の弱体化する能力がある輝石、で上手く事を収めてくれた。
「みんなありがとうな」
ミリアが誇らしく胸を張り威張る。
「どうってことないよ!当然当然!」
リズがニタリと微笑む。
「レツくんを運んでいる時、すごく軽かったよ〜、女の子かと思ったかな〜」
その言葉に烈が怒ったことで更に笑う。そしてセレナも笑っていて
「レツさん、あんたの戦い凄かったよ、非力なのによくやった。尊敬尊敬。」
と、セレナは最初こそは褒めるが、後は適当に返した。
ルナがやれやれとため息を出す。だがその顔は呆れたよりもなんだか優しい笑顔に見える。
「はぁ、全くお前らは……。レツお疲れだったな、かっこよかったぞ」
烈は少し照れる。
烈は一先ず勝利を噛み締めた。これでデザイアルに行ける。烈は喜びにガッツポーズをする。その瞬間、腰が痛む。
「いだだだだだッ!!」
ミリアが慌てて心配する。
ルナは救護員を呼ぶ。
セレナが背中を摩る。だが逆にそれは烈の背中を痛める結果となる。
「ちょっとセレナ!?何してんの!?」
セレナは加速する。その目は狂気に満ちていて
「そういえば教会を追い出された恨みだぜ!」
ルナが羽交い締めをして止める。
セレナが「離せぇー!!」と言うが止めない。烈はというと失神している。
その光景を客観視しているリズは
「大丈夫かな〜?」
と半分煽って半分心配している。
救護員が駆けつけてしばらく。
烈はなんとか起き上がった。
「まじで、セレナよぉー……」
烈らセレナをじっと見る。
「そんなにチラチラ見んなよ〜。これでチャラだし。許してよ。」
確かに烈にも悪い所はあったのでお互い様ということで今回だけは許した。
セレナが戦いを振り返る。
「ライララさん、強かったよね。大丈夫だった?」
リズが考える。
「んー、レツくんと同じような思想を持っていたんだよ〜。」
ルナが付け加える。
「正しくは破壊による平等だけどな。」
セレナが浸る。
「一緒のようで全く違う2つの思想……ねぇ。」
烈の見解は
「思想っていうのはどうしても過程がある。結果しかない思想は空虚なんだ。あいつの並外れた輝石の力。きっと凄まじい過去があったに違いない。」
烈は思う。ライララの憎悪。
「おぉー!なるほどぉ……。
……難しい話しないで欲しいなぁー」
と、ミリアが雰囲気をぶち壊してきた。
「簡単に言うと、人が何かをするのは絶対に何かのためなんだよ。」
ミリアは手を打ちなるほどと言わんばかりの顔をする。
「レツの話が本当だとすると、ライララは残酷な過去を持っているということになる。」
少なくとも、生半可な成り行きであの思想になるはずはない。輝石の力もそうだが、何かある。
烈は呟く。
「アイツの気持ち、分からなくもねえ。そんな奴のために、せめてもの平等だ。だから俺はシャルトで世界を変える。」
ミリアが同調する。
「うんうん!その意気だって!今度は私たちが勝ってくるよ!待ってな!」
今度はミリア達が予選へ出る番だ。
だが烈はこの時予想がつかなかった。まだ見ぬ高すぎる壁にぶつかってしまうことに。
予選はまだ続いていく。




