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一章 鏡空海声

暇だったので書きました。

初心者書いたものなので期待しないでください。

夏季休暇の学生の日常?ストーリーです。

夏のある晴れた日だった。外は日が強くアスファルトを照らし、蝉は鳴いていない。私は自室にてペンを持っていたがそれを億劫に感じていた。ただただ硬く重いそれを、15分も持っていられない。暑さのせいか受験へのストレスなのか、心地の良い場所が見つからない。前は美味い物を食ってる時には幸せを感じていたが今はそうでもない。それが嫌で嫌で仕方なかったから私は家を出た。とりあえず机に「探さないでください」と書き置きをしておいたから大丈夫だろうと信じ、北を目指した。なぜ北を選んだか分からなかったが体が勝手に引っ張られたようにひたすら進んでいた。鞄やポケットに「夢」や「希望」を詰め込むなんてよく言ったもんだ。私の鞄にはそれぞれの教科のワークと筆記具と財布とそれから何個かの飴しか入っていない。ポケットにだって携帯電話とウォークマンしか入っていない。側からみたらどう写っていたのだろうか。まぁどうでもいいことだ。

あれから2日ほど経ったか、いや3日だったかもしれないがどっちだって同じことだ。蝉の声が鬱陶しく感じながら歩いているといきなり潮の匂いがした。匂いに誘惑されたのか、私は無意識のうちに海に来ていた。私は海が好きだ。ただひたすらに優しく包み込んでくれる。こんな美人に会ったら絶対一目惚れしてしまうだろう。まぁ居るわけないのだが。少し散策していると海の家があったのでフラッと入って行った。海の声しかしないとても静かな空間であった。私以外に客はいないようだった。女の店長らしき人が出てきて私に言った。「珍しいこともあるものね。このあたりじゃ私とこの猫しかいないからね。まぁ、ゆっくりして行きなさい。」と。丁度腹が空いていたので焼きそばを頼んだ。潮風が心地よく、うとうとしていると出来上がったと言って皿が前に出された。口に入れた瞬間、何処か懐かしく感じた。「そういえばあの人見覚えがあるようなないような」と思ったが気のせいだと思ううちに食べ終えた。金を払い、少ししたら帰ってくると無意識に言って砂浜に出た。いつのまにか夜になっていたらしく、空には腐るほどの星たちが浮かんでいた。私はそれに魅入ってしまったのだろう。海の声がどうでも良くなるくらいであった。そんな時、さっきの店長が黒い猫を抱えてやってきた。何を話したのだろうか、あまり覚えていないのだが大人というものがわかったような気がする。久しぶりに人の優しさに触れたのだが、それがこんなに良いものだったと感じたのは初めてだった。その日はそのまま眠りについた。

 朝起きると机には温かいご飯が2食分置いてあった。店長が一緒に食おうと言ってくれたので共に食べた。横では猫が魚を齧っている。これが幸せなのだろうか。いや、本当の幸せなど私には感じ取れないだろう。ただ、ここで2人と1匹で食べるご飯は美味かった。猫は私に懐いているようであった。その日はゆっくり過ごしていたが度々懐かしさを感じていた。

 その日の夜、私はそこを発った。店長とこれ以上一緒にいると元に戻れない気がした。もちろん黙って出てきた。昼過ぎに言葉に表せないくらい感謝をしてきたのだが何かモヤモヤしていたが次の場所を目指し歩き始めた。が、やはり心残りがあったので少し振り返るとその海の家は消えていた。何もないが店長が手を振っているように感じた。「ああ、そうだ」と気がついたときにはすでに目から涙が溢れてきた。言葉には出来ない。ただ一つ言えるのは小さい頃に亡くなった母が側にいた感覚を感じていたのであろうということであった。猫はただ不思議そうに私を見つめていた。空では大三角の間には星が落ち、海の漣が辺りに響いている。それらはまるで私の心を映しているようだった。

 私はまた旅路についた。黒猫と共に。

フィクション作品です。

改善点などあればお教えください。

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