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ディズニーランドに連れて行って

作者: 八咫神 烏

 パパ、私は昔から言っていたよね。「ディズニーランドに連れて行って」って。

 何回も何十回もお願いしてもダメで。私は泣いて、パパは困ったように笑うばかりで。


 そして、お願いし続けて数年がたったある日、一度だけ連れて行ってくれたね。行けるとわかった時はパパに抱きついたよね。もう本当に嬉しくて楽しくて、夢みたいだった。ハニーハントもスプラッシュマウンテンも、何もかも特別で、本当に幸せだった。


 でも、結局、ディズニーランドに連れて行ってくれたのはあの日だけ。

 私はその後も何度かお願いしたけど、パパは困ったように笑うばかりで。

 それでも、「一度でも連れて行ってくれたなら、それでいいか」って思うようになって。


 そして中学生になったある日、「話がある」とパパに言われました。

 その時、初めて知りました。実はパパはもともと腎臓が一つしかなかったことを。私は驚いたし、ショックでした。でもそれだけではありませんでした。

 

 私は生まれつき腎臓が弱くて、だんだん悪化して、この先は透析しかなかったんだと聞かされました。

 それでどうしたの?と聞いたら、

「ドナーが見当たらない。でも、パパは一生透析で構わないから娘に腎臓を移植してほしい。」

 そう言って、手術をしたんだと言われました。

 

 後になって気づいたけど、子供の頃に何度も病院に行って入院もしたって思い出しました。私は涙が止まらなくなりました。そしてパパを抱きしめました。


 今日、私は結婚します。男手一つで育ててくれて、本当にありがとう。

 私はもう覚えてないけれど、亡くなったママの分まで幸せになります。


 心から大好きなパパへ。


「ありがとう。幸せにね。」

 最後に、パパはそう言って、私を抱きしめてくれました。

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