初めての乗り物
今日は初めて『レッシャ』ってやつに乗るんだ。友達はけっこう乗ってるやつがいて、そいつらの話だと、すっげぇ楽しいらしい。冬に乗ったやつは、暖かかったって言ってた。夏に乗ったやつは、すずしかったって。
おれは他のやつらとは違って、そういうのには全然キョーミないんだけど、まわりがみんなレッシャの話題でいっぱいだったから、しかたなく乗ろうって思ったんだ。別に乗りたいわけじゃないからな。
おっ、そうこうしてるうちにやってきたぞ。でっか! これがレッシャかぁ、面構えが違うな、こりゃ。さぁ、冒険の始まりだぜ!
でもよ、これ、どこから乗るんだ? 窓でも開いてりゃ、飛び込めるのに…って、うわっ、びっくりした! いきなり入り口ができたぞ! あぁ、なるほど、ここがドアだったのか。あ〜らよっと、ぴょん!
中に入ってみたけれど、おー、こりゃすごいな。あったけぇ。なんか風が吹き込んできてるみたいだな。ちょっくら羽根を伸ばしたいところだけど、さすがにやめとくか。とりあえず青いふわふわしたとこに乗るとしよう。
へぇ〜、こりゃいいや、なんか背が高くなった気分がするぜ。まぁ、景色はいつもと変わらないけど。おれより遅いんじゃないのか、こいつ。
おっ、スピードが落ちてきた。そろそろ終わりか。思ったより楽しくなかったな。…ま、まぁ、また機会があれば、乗ってやってもいいけどさ。
「この電車、よくハトが乗ってるんだよなぁ。それも人間みたいにすましてやがる」
「やつらもたまには羽を休めたいんだろうさ」