表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Acht;untitled  作者: 鳴谷駿
最終章 untitled
98/103

最終章 Ⅳ Unsurpassable

今回もよろしくお願いいたします。


~最終章 Ⅳ Unsurpassable~

 リゼリは自分に近づくいくつかの気配に気付き、廃ビルの屋上に降りた。廃ビルは大型の円形のビルであり、リゼリはその中心に立っていた。リゼリが屋上に降りてすぐにリゼリを囲むように、四つの影が屋上に姿を現した。真っ黒な軍服に身を包んだ第二世代(ジーリアズ)の青年が機械のように話し出す。

「リゼリ様、私達はギレーヌ様の命で参りました。この戦場はすでに我が軍が制圧しつつあります、我らと共に帰投ください」

リゼリは周囲を囲む第二世代(ジーリアズ)を睨むように見渡した。

「ギレーヌの命?俺はあいつの部下になった憶えはない」

「今回の作戦の指揮官はギレーヌ様です。アステリオス軍の兵はすべてギレーヌ様に従う義務があります」

リゼリは苦笑した。

「そんなことは知っている。だがハウンズは王族専属の部隊、王女から独自に判断を下す権利をもらっている。それに俺はギレーヌの奴が嫌いだ」

第二世代(ジーリアズ)の青年は表情一つ変えることなくリゼリの返答を聞いた。

「そうですか、あまり手荒なまねはしたくなかったのですが」

第二世代(ジーリアズ)達は一斉にヒアシノシスを解放する。

「それは・・」

リゼリは目を見開き第二世代(ジーリアズ)を見つめた。リゼリはすぐに彼らが持つ力を理解した。そして彼らがどのような存在かもすぐに解っていた。

「あなたは私達の兄ということになります」

リゼリは怪しく笑った。

「量産型風情が刃向かうつもりか?」

「僕等は出来損ないのあなたとは違います。私達は第二世代(ジーリアズ)です」

リゼリは威嚇するように背中に生えた細い枝のような翼を大きく広げた。

「出来損ないか、面白い。その出来損ないの力見せてやるよ!!!」

悪魔の翼が大きく羽ばたいた・・・・。



 『宝炎具(レーヴァテイン)』、フォークト自ら辿り着いた最強の武器。フォークトの炎を操る者ファイヤー・スターターとしての絶大な火力を一つの武器として凝縮することにより圧倒的な火力と破壊力を持つ武器。

フロルは焼け野原と化した戦場でフォークトと向き合っていた。廃ビル達は次々と破壊され、今ここに立っているのは二人だけだった。

「まだ諦めないのか、小僧」

フォークトは扇の形をした宝炎具(レーヴァテイン)を振った。宝炎具(レーヴァテイン)から放たれる炎の波、フロルはとっさに氷の壁を造るが一瞬で壁は蒸発し炎の波はフロルに迫る。フロルはしっかりと握り締めたナイフで炎の波を切り裂いた。

「やっかいな武器だな!!!」

炎の波の中からフォークトが現れ、双剣へと姿を変えた宝炎具(レーヴァテイン)がフロルに迫る。フロルは短いナイフでは双剣を受け切れない為、フォークトの懐へ飛び込んだ。

灼熱地獄(ボルケーノ)

フォークトの握っていた宝炎具(レーヴァテイン)が炎を噴出す。噴き出た炎は一瞬で周囲へ広がり爆発した。フロルは全身へ氷の膜を張り巡らす、フォークトの放つ炎はすべてを燃やし尽くす。広がった炎は一気にフォークトへ集まり巨大な火柱となり、炎はフロルを飲み込み爆発した。

「お前のしぶとさは評価してやるよ」

フロルは顔を真っ白にして地面へ両腕を着き何とか息を整えていた。フォークトの炎から身を守る為に、フロルは限界まで自身の能力を発動させた。その代償としてフロルの体温は30度を切りそうになっていた。すでにフロルの体温は人間が生きることの出来る体温の限界を遥かに下回っていた。

フォークトは宝炎具(レーヴァテイン)を剣へと変化させ、フロルへ近づく。

「だいぶ辛そうだなぁ、小僧。さっきまでの目で俺を睨んでみろよ」

フォークトはフロルに近づきフロルの腹部を思いっきり蹴り上げた。フロルはかわすことも出来ず、蹴り飛ばされた。

「こりゃいい、ゆっくり弄り殺してやるよ」

フォークトがフロルへ近づこうとした時、フォークトの頭部を弾丸が貫いた。

「あぁぁ!!!」

額に空いた穴から炎を出しながらフォークトは弾丸が来た方を見た。

「何だ、てめらは?」


「本当に物理攻撃は効かないのかー」



 力の差は歴然としていた。ルイはビルの屋上の壁へ叩き付けられ、吐血していた。四季の繰り出した打撃がルイの内臓を傷つけていた。限界突破(オーバー・リミット)を限界まで使用したルイを四季は何一つ能力を使うことなく圧倒していた。それには大きく二つの理由があった。一つはルイの肉体的な限界。ルイの体はすでに限界を迎えており、すでにピーク時の半分程度の力しか出せていなかった。二つ目は圧倒的な経験量の差、本来は後方支援を得意とするルイに対して、四季は一対一での戦闘の経験量が圧倒的に多かった。それも四季の今までに相手した者は今のルイより確実に強かった。ルイは強力になりすぎた自身の能力に振り回され、限界を超えた体に鞭を打ち続ける。

「リゼリといい、あんたといい何でそんなに馬鹿なのかね?」

四季は屋上の壁にもたれ、吐血するルイへゆっくりと近づく。ルイは突然大きく咽せ体を大きく跳ね上がらせた。そして、銃声が響く。

「この程度、奇襲にもならないよ」

ルイの奇襲は簡単に四季に見破られ、拳銃を握ったルイの腕は壁へ踏みつけられていた。ルイはすぐにもう一方の手に握られた拳銃を四季へ向けようとするが、四季は容赦なくルイの腹部を蹴った。ルイの体が壁へ叩きつけられる。ルイは再び吐血する。四季は踏みつけた足へ力いれた。ルイの腕から鈍い音が響き、地面へ拳銃が落ちる。

「あんたが本当に死にたいならここで殺してあげるよ?」

四季は拳銃を拾い上げルイの顎へ銃口をつき付け、顔を上げさせた。ルイの真っ赤に染まった目と四季の目が合う。ルイの表情は悔しさで歪み、両目から赤い涙がこぼれ落ちていた。

「私は弱い・・・」

ルイはそれだけ言うと目を閉じた。ルイは限界突破(オーバー・リミット)の発動を解いた。それと同時にルイの体全体から力が抜けて行くのを四季は感じた。

「弱いか・・」

四季は拳銃を屋上から投げ捨て、一言だけ呟いた。

「こんな所で死ぬな」

四季はそれだけ言うとルイに背を向け歩き出した。四季はルイに受けた腹部の傷へ手をやった。巻かれた包帯から血液が染み出しており、真っ白だった包帯は赤く染まっていた。

「私も少し無理をしすぎたか」

四季は軽くふらつき屋上の柵へ寄り掛かった。

「ずいぶんと消耗しているようですね?箱美芽元隊長」

屋上に姿を現したのはタークだった。タークは片手に拳銃を握り締め嬉しそうに四季を見下していた。

「お前、私を填めたな」

四季はタークを睨みつけた。四季の眼光は鋭かった。しかし、四季の顔に疲労と消耗がはっきりと表れていた。

「何の話かさっぱり分からないね」

「この下種が・・・・」

四季が立ち上がろうとした時、一発の弾丸が四季の右足の太ももを貫通した。四季は体勢を崩しながらも柵を支えに何とか堪えた。タークは柵を掴む四季の腕を撃ち抜く。四季は柵に寄り掛かるように倒れた。

「おっと暴発してしまった」

タークは細い目を大きく開き笑い始めた。

「私がこの時をどれほど待っていたかお分かりでうすか?私の本来の任務は箱美芽 四季、あなたの監視だよ。あなたの能力は本来もっと強力なモノだ。本来は軍師として後方から戦うことに強みを持つ力だ。特に大規模な戦闘でのあなたの能力の力は絶大だ。だから軍部はあなたの力が欲しかった。でもあなたは軍部からの勧誘を断り続け、最後にはこの国すらも裏切った」

タークは四季の頭へと銃口を向ける。すると四季は笑い、柵を超え廃ビルから飛び降りた。廃ビルの高さは十階建てを超えており、間違えなく助からない。タークはすぐに柵へ近づこうとした。

「クソ(あま)が・・」

次の瞬間、四季がいた廃ビルを含む建造物達が炎の波に飲み込まれた・・・



 ノークが最後に下した指令は全軍の撤退と、ジークフリードによる撤退までの時間稼ぎだった。すでにジークフリードは自動プログラムによって動いていた。ミラやベガ達もすでにジークフリードから退避しており、今最後の飛行艇がジークフリードを出発した。リオルは最後の飛行艇を見送り、小型戦闘機へ向かっていた。フェアに切り落とされた腕はしっかりと元の場所に繋げられていた。

「絶対に死なせない・・・」

リオルを乗せた戦闘機がジークフリードから飛び立った。


                       ~つづく~


最後まで読んでいただきありがとうございます。

残り三話です・・・

たぶん最後にエンドロール的な短文がつくかもしれません。


残り三話全力を出し切れるよう頑張ります!!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ