第五章 untitled
お久しぶりです。
中々自分の思い描く通りの文章は出来ないですね。
うまく表現することが出来ない自分の実力が本当に悔やまれる話です。
この章のuntitledの一つ目の終わりです。
どうぞ最後までお願いします。
(注)後書きで補足を行いますので、よろしければどうぞ。
~第五章 untitled~
「忘れもの!!」
俺は玄関へ腰掛軍服のブーツの紐を結んでいた。家の奥から声が響く、軽快な足音と共に一人の女が俺の元へ駆け足で近づく。俺は振返りそっと見上げた。綺麗な白い肌に綺麗な黒髪、俺はその女に見とれ動きを止めた。
「何ぼーっとしてるの?」
女は不思議そうに俺の顔を見る。『誰』俺は良く知っているはずなのに名前が出てこない。この人は俺にとって大切な人だ。でも何故か名前が・・・・
「はい」
女は俺にIDカードを渡した。
「これがないと入れないでしょ」
「ありがとう・・・」
俺はIDカードを見つめた。【ハウンズ第二小隊・・・・】
「早く行かないと・・・さんが待ってるよ」
『良く聞こえない、何故か名前だけがぼやけている』俺は言われるがまま家を出た。どうやら俺はマンションに住んでいるようだった。玄関を出てすぐに町の風景が広がっている。『いつも通りの風景だ・・・』俺はそのまま前へと進み、マンションの通路から外を見渡した。
「おーい、遅刻するぞ。早くしてくれよ」
マンションの下から声が聞こえた。声の主はマンションの前に停められた車の運転席から顔を出し、俺を見つめている。
「今日は遅刻したらやばいって、聞こえてるのかよ・・・・・!!」
男の声はしっかりと俺にと届いていた。俺がいたのはマンションの三階くらいだった。俺は感覚を確かめるように通路の壁を越え跳んだ。俺は軽く身を翻し地面へと着地した。
「毎朝のことだが、いつも驚くよ」
男は嬉しそうに俺を見て笑い、運転席の窓から出していた顔を引っ込めた。俺は助手席へ乗り込み、シートベルトを締める。車が出ようとした時、マンションの入り口から出てきた子供達が俺を見て嬉しそうに手を振る。
「ハウンズのお兄ちゃん、今日も頑張ってね」
俺は子供達へ軽く手を振った。子供達は嬉しそうに手を振り返し、数人は敬礼をしているようだった。
「お前さんの人気には嫉妬するよ。まぁアステリオスの閃光と言えば知らない者はこの国にはいないか」
俺は車から町の風景を眺める。いつもと変わらないこの風景を守る為に俺は戦っている。さっきの子供達やこの町に住む人の為に・・・・
『戦っている・・・、この町を、人を・・・・守る為に・・・』
「聞いたかよ、ずっと空席だった第一小隊へリゼリ隊長が移るらしいぜ」
俺は横で話す男の話を軽い返事をしながら聞き流していた。男は俺を見て軽くため息をついた。
「お前さんは本当にこの手のことに興味がないな。分かってるのか?確実に第二小隊の隊長の後任はお前だぞ」
「俺が隊長・・・・」
「そうだよ。お前はハウンズの隊長に憧れて入ったんだろ」
俺の頭の中へ一人の女性の顔が浮かんだ。『箱美芽 四季』彼女との出会いは俺の世界を変えた、今まで定まらなかった目標が始めて出来たのかもしれない。他者への興味だったのだろうか?強さへの興味だったのだろうか?自分に初めて芽生えた不思議な感情、でも俺はそれを確かめることは出来なかった・・・
「大丈夫か?今日のお前、何かおかしいぞ?」
『おかしい?』
俺が振返り運転席の方を向くと、運転席側の窓の奥に一人の少女の後姿が見えた。その少女は小さな路地の奥へと姿を消して行く。その少女の後を数人の男達が追う。
「おい!!!・・・・・待てよ。どうしたんだよ!!」
気付いた時には俺は走行中の車から飛び出し、少女が逃げ込んだ路地へと向かっていた・・・
「やめて、放してよ」
「お嬢様、お願いですから・・・・」
少女は腕を掴まれ、男達と言い争っているのが見えた。
「おじさん達さあ、こんな日に何やってるのさ?」
男達と少女の視線が俺に集まる。
「お願い、助けて」
少女の言葉に自然に体が動いた・・・・・・。
『俺は知っている、この子を知っている・・・』
目の前の景色が早送りのように動き出す。俺は自分の姿が子供の頃に戻っているのに気付く・・・
「私を抱きしめて」
俺は躊躇うことなく少女を抱きしめた、少女は震える声で呟いた。
「私は最低よ、たくさん嘘をつくかもしれない、あなたを利用して捨てるかもしれない・・」
「俺には何も解らない、でも君は俺の世界を変えてくれた、真っ白な世界を鮮やかに」
「ありがとう」
『そうだ、俺はこの子を・・・』
「・・・・、君は確かに強い。でも動きが単調すぎだ」
俺は地に伏せ、喉元には剣先が突きつけられていた。
「何て言うか、攻撃が正直すぎだ」
金髪の女は剣を砂に戻して俺の頭を撫でていった。
「明日も待っているよこの場所で」
『この人は・・・・』
俺が目を覚ますとベッドの上だった。どこかの部屋に俺は寝かされていた、記憶は途切れ途切れで思い出せない。ただ負けたということだけ重く圧し掛かる。ベッドのよこのテレビが五月蝿く鳴り響いていた。テレビは金髪の女性の死を告げている。
俺はただ天井を見上げていた、何も分からず、何も信じず、ただ・・・
『俺は守れなかった・・』
俺は車の中で封筒を開けた。中には手紙と月をモチーフにした金のチャームのついたネックレスが入っていた。
あなたの信じる道を貫きなさい
私もともに歩むから
その先の光を目指して・・・・・
私の最初で最後の大切なあなたへ
俺はネックレスをつけ握り締め、月を眺め続けた・・・・
『俺の信じる道・・・』
突然、世界が歪み巻きも出される。多くの情報が頭の中を駆け抜ける。感じた事のない感情が次々に流れ込む。
「式典の会場まで私を連れて行ってくれる?」
「わかった」
そのとき、空に大きな花火が上がった。彼女も周りの人々も花火に見惚れていた、でも俺は花火を見上げる彼女の姿に見惚れていた。
「リシアよ、あなたの名前は?」
リシアは花火を見たまま、尋ねた。
「ロイテル」
リシアは微笑みながら言った。
「ロイテル、よろしくね」
『リシア』
男は満足そうに倒れていく。
「私は今、死を感じた。私は死は存在しないのに、時すらも殺せない私に・・・」
男は胸に大きな穴を開けて倒れた。普通の人間なら即死であろう傷を受けながらも男は笑っていた。
周囲に立っているのは俺だけだった。ティールもアルルも地面へと倒れ込み何とか意識を保っていた。バースは深く壁にめり込みぐったりとしている。ベノンは石造のように固まっている。重力操作者は地面に膝をつき引き千切られた腕の回復を待ちながら倒れ込んだ男を見つめていた。
「俺は勝ったのか・・・・・」
その時、体に異変を感じた。体から感覚が消えていくのだ・・・・
「そうか・・・」
俺はもう限界なのか。体が細かい粒子のようになり大気へと消えて行く。
「ロイテル!!!・・・・」
ティールが俺に何かを言っているようだった。でも、もう聞こえないんだ。その時、大きな扉が開きリシアの姿が扉の奥から現れる。リシアは俺の姿を見るとすぐに俺に向かって走り出した・・・
俺の世界を君は変えてくれた・・・・
単調で退屈な未来を君は変えてくれた・・・・
聖痕祭の日のうち上がる花火を見上げるリシアの顔が浮かび上がる・・・
ロイテルの顔が優しく笑う、その顔には表情が感情が心があった。
そして近づくリシアを見て微かに口が動いた・・
『ごめん』
リシアがロイテルのもとにたどり着いた時、そこには金のネックレスだけが残されていた・・・
~つづく~
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は決してこの章の終わりと言う意味ではないですよ。四章から続いていたロイテル達の話の最後になります。ここで「この終り方はないだろ」と言う方の為に、先に一つ今後の情報を。このuntitledは第五章で終わりに致します。この章で一区切りとなります。そう言うと更に「この終り方はないだろ」と言われてしまいますね(笑)完全な続編を新しい物語として書きます。題名はたぶん似ているので、すぐに分かるかと。物語として分ける理由などは、この章の最後にでも書かせていただきます。
最後に、続編では必ずこの話の直後の内容を書くので心配なく。
今後ともよろしくお願い致します。