第五章 絶対領域
こんにちは。
かなり久しぶりの投稿ですいません。
今回もよろしくお願いします。
~第五章 絶対領域~
北ブロック 第二防衛線
青い光に二人が包まれると大きな爆発が起きた。青い光は爆発と共にゆっくりと消えていった。顔に刺青をした男はジェネルの横へ戻った。ジェネルの息は荒く、彼の放った青い爆発は彼の体に負担をかけているようだった。
「腕は大丈夫か?」
荒い息の中、ジェネルは横にいる刺青の男へ尋ねた。
「あぁ・・・それより攻撃対象識別式魔法をこの威力で、詠唱なしはお前の体が持たないぞ」
刺青の男がジェネルを見ると赤色の髪の色の割合が増えているように見えた。ジェネルは答えることもなく爆発の中央となったリゼリの方を見つめていた。リゼリのいた場所は地面が抉られ、破壊された地面が粉ようになり地面から空へ上がっていた。その中央には黒い球体があった。
「奴は生きているのか?」
「わからない、だがこの等級の魔法で無傷で済む・・・」
黒い球体にひびがはいり砕けた。
「お前は誰だ?」
アピースの二人はただ球体から現れた男を見つめた。現れた男は長い髪を結わいた細い目の男だった。彼の腕には第五小隊の腕章が巻かれていた。
「本当にすごい能力だ。Aクラスの透過能力者に、絶滅種の魔術士かな?」
タークはゆっくりと二人へと近づいて行く。ジェネルは迎撃しようと青い光を片手に集めた。
「こうかな?」
タークはジェネルの動きを真似した。するとタークの手に青い光が現れる。
「貴様が何故その力を使える!!」
ジェネルから放たれた光はタークを捉える。その光はタークをすり抜ける。
「便利な能力だね」
アピースの二人はただ唖然とタークを見つめていた。
「そちらの赤と金の髪がジェネル・ジュガムズかな?」
「そうだ、その腕章は第五小隊のもの・・・」
タークは地面に落ちていた刺青の男の腕を拾いジュラルへと投げつけた。
「私は第五小隊隊長ターク・フルフィルドだ、これは返すよ」
ジュラルは刺青の男の腕を受け止め刺青の男へ渡した。タークは足を止めクスクスと笑い始めた。
「さぁ、君達には聞きたいことが沢山ある。潔く負けを認めてくれると嬉しいのだが?」
タークの言葉を無視するようにジェネルは青い光をタークへと放った。光はタークを包み爆発した。
「君は賢い男だと思っていたのだが・・・」
タークの横にいた刺青の男が全身から血液を噴出し倒れる。タークは舞い上がる血しぶきに包まれる。タークは何もなかったようにジェネルへと近づいて行く。
「何をした!!」
タークは怪しく笑う。細い目を開き暗く深い瞳がジェネルへと向けられる。ジェネルは攻撃を放とうと手を振り上げようとする。
「話すのに手はいらないか」
ジェネルの両腕が地面へと落ちる。ジェネルは何も分からないまま、地面へと両膝をついた。タークはジェネルの目の前に立ち、見下ろした。
「もう気は済んだかな?」
ジェネルは下を向きぶつぶつと言葉を発していた。タークはすぐにそれが魔法の詠唱であることに気付く。
「やめてくれないか」
ジェネルの口が止まる。ジュラルの口はいくら命じても開くことはない。
「もう君の体は君の言う事を聞かない」
タークはジェネルの頭を掴み、顔を上げさせた。
「支配者は、私だ・・・」
はジェネルただ考えた、この男の能力を・・。この男が現れる前までは私達は第二小隊と戦っていた。この北ブロックに第二小隊が配備されていることは間違えなかったはずだ。
「君には聞きたいことがあるからね、まずは何故エグルガルムに?」
ジェネルの口は彼の意思に関わらず開く。
「エグルガルムが世界の秩序を・・・」
「そんなことを聞きたいのではない。理由だよ、理由。アルカナスはこの世界の中で間違いなく一番の国力を持つ。その国がわざわざ科学力くらいしかないこの国を潰す必要がある?引き金がアステリオスとの同盟であっても不自然すぎる」
「私達は詳しいことを聞かされていない。ただ私達は下された指令を・・・」
タークは深くため息をついた。
「そうか、君は何も知らずにこの戦場に来て命を落とすのか。実に虚しい死に方だ」
タークは両腕をポケットにしまった。
「やはり私が出る必要はなかったか」
ジェネルは目を疑った。突然、周囲の風景が変化し始める。切り落とされた腕が戻り、横には片腕を失った刺青の男が倒れている。
「では謎解きの時間だ」
ジェネルはようやくタークの能力を理解した。
「支配者か」
「そうだよ。ただ私の力は強力な分だけ制約が多くてね」
ジェネルは腕の感覚を確かめようとしたが腕は動かない。
「まず一つ目は効果領域。私の能力はある領域内の者の支配だ。これは領域の大きさにより効果や条件が変わる。今回は第一防衛線からここまで、それが能力の効果範囲」
タークは軽く手を叩いた。するとタークの横に人型の人形が現れる。
「君達が戦っていたのはこれさ」
タークの横にあった人形はエグルガルムの兵士や第二小隊の面々へと姿を変えていく。
「相手を完全に支配するにはいくつかの条件を満たす必要がある。一つは時間、これは比較的に楽だった。君達はゆっくりとここまで来てくれたからね。二つ目は私、もしくは私が触れたモノに触れること。これはその刺青の男は私の用意した人形に、君は私が触れたモノに。あとは君達を疲弊させればより深く支配出来る」
ジェネルはタークが自分にラザールの腕を投げつけたことを思い出す。
「本来はすぐに視覚支配だけだと気付かれてしまうのだが、君達は私達の攻撃を一度も受けなかった。だから異変に気付かなかった。そして深く深く落ちて行った」
タークはジェネルの額へと向ける。細い目が開きジェネルを哀れむように笑う。
「強すぎると大変だ、でも化け物は人間には勝てないよ」
一発の弾丸がジェネルの額を貫いた・・・・。一人の部下がタークに近づいて来た。
「隊長、アステリオスから増援がこちらに向かっているそうです」
「驚いたな、軍部の上層部がよく動いた。これは勝ち戦になりそうだ」
部下は少し間を置いて言った。
「それがその部隊の指揮を執っているのがギレーヌ中将です」
タークの目が大きく開く。
「どちらにつくのが一番かな・・・・」
アステリオス軍 艦体内
「ギレーヌ、私は先に行っておくよ。ハウンズにもアピースにも戦ってみたい能力者が沢山いるからね」
「好きにしてくれてかまわないよ」
ギレーヌの目線の先にいる男は真っ黒地に金色の刺繍や飾りのされた特製の軍服を着た男が立っていた。長い金髪を紐で結わいた。
「ありがとう、ギレーヌ」
男は艦内の一人乗りの飛行機へ乗り込んだ。
「大佐、お一人で前線へ?」
男が扉を閉めようとした時に一人の青年が呼び止めた。
「ラルか、心配しなくていい。ただ下見に行くだけだよ」
「しかし、大佐・・」
「君は本当に心配症だな、少しはギレーヌに見習わせるべきかな」
男は笑いながら扉を閉めた。飛行機は勢い良く艦隊から飛び出しエグルガルムへと向かった・・・・。
~つづく~
最後までありがとうございます。
「投稿が遅い!!」本当にすいません。忙しいは言い訳になりません(笑)
これが年内最後の投稿にだけはなりたくないが・・・
次話は白紙です(泣)
前回の投稿で自分の考えた登場人物の名前を間違えると言う大惨事・・・
本当に成長しないなぁ
次話もよろしくお願い致します。