第五章 開戦
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~第五章 開戦~
両軍が距離を置き向かい合う、エグルガルムにとっては予想外の展開であった。あのマルクトロスがこんな形での開戦を望むとは思っていなかったからだ。
エグルガルムは都市の前方にジークフリードを中心に防衛ラインを築き、各小隊の配置も完了していた。ジークフリードの司令室にはノークやエスナ達がいた。
「Yを起動、戦場の空間認識を開始」
司令室の中央に大きな立体映像のマップが現れ、そこには戦場が詳細に写し出される。リアルタイムで動く戦場の縮図が表示される。
「Yの稼働に問題ありません」
「このYもあなたの能力によるもの?」
エスナはノークに尋ねた、ノークは首を横に振った。
「Σは私とリンクすることで能力を発揮した、Yは実は私とステラスでリンクして稼働しておるの、彼との約束でね」
「彼も戦っているのね」
「もちろんよ」
ノークの笑顔は強がりであることを誰もが分かっていた。彼女は本来こんな所にいる人間ではない・・・・・
「ノーク様、敵陣から単体で出る者が・・・」
司令室のモニターにその映像が映し出された・・・・
「ちょっと行ってきます!!」
フェアはそれだけ行ってトリギオンから飛び降りた。フェアは青い光に包まれ、地面へ着地した。フェアは紺色の髪をツンツンに上げており、少し箒のようにも見える髪形だった。全身を赤い布に包み、きらきらとした目でエグルガルムを真っ直ぐに見つめる。
「ジェネルさん、いつもすいません」
フェアはそのまま前線から飛び出し、最先頭に立つ。
「ジュネルさん、いつものお願いします」
フェアは両手を合わせて、トリギオンの方へ頭を下げた。すると小さな青い光が彼の口元へ集まり消えた。フェアはまた頭を下げた。
「では、チェック、チェック。エグルガルムの皆さん、聞こえていますか?」
両軍に彼の声が響いた・・・・
「彼は?とりあえずアルカナスの兵士みたいだけど・・」
ノークは突然の出来事にどう対処すべきか頭を抱えていた。
「とりあえず何か答えろ、相手さんも困っているぞ」
司令室にヴァイパーの声が響いた。ノークは司令室のマイクを握った。
「聞こえています・・・・」
フェアはノークの返事を聞いて笑った。
「返事ありがとうございます!!これやると突然撃たれたりするから、まともに返事してくれて感謝します」
「どういたしまして・・・・」
二人のやり取りは両軍へ響き渡る、ヴァイパーや桜家などは二人のやり取りを笑いながら聞いていた。
「いきなりすいません、降伏してください」
両軍が静まり返る・・・・・
「あの馬鹿、一度も降伏したことないのに、懲りないな」
「いいじゃない、あれが彼のいい所なんだから」
アピースのメンバーは笑いながらフェアの話を聞いていた。
「エグルガルムがステラスと言う男に支配されているのは知っています。だから彼は僕が倒します!!そうすれば無駄な血は流れません」
エグルガルムの兵士達のほとんどが噴出した。司令室はあまりの驚きに静まり帰っていた。
「ごめんなさい、降伏は出来ないわ。それに彼は誰も支配していないわ、私達はそれぞれの大切なものの為に戦うの、だから降伏はできない。でもありがとう・・・」
フェアは驚いたように暫くだまり込んだ・・・・
「すいませんでした!!分かりました、なら僕達は手を抜くことなくあなた達と戦います」
フェアはマントを外した。赤い軍服が現れ、フェアの両手には太い輪が握られていた。輪は中心を繋がれており、そこをファアは掴み前方へ腕を出した。太い輪から三本の長いバレルが飛び出す、そしてその周りに剣の刃が現れる。それはチャクラムから三連型の銃口を持った大剣がついたような武器だった。一方を空高く上げ、トリガーを引いた。静かに3発の銃声が響いた。フェアはチャクラムを下ろし、目の前に構え剣の部分へ額を当てた。
「フェア・クラウル、Apies Second 我が正義の下に 命を奪い 明日へ導く・・・・」
フェアは真っ直ぐにジークフリードを見つめた。
「最後に一つ、あなたの名前を教えてくれると嬉しいです」
「ノーク・クルネスです」
フェアは頭を傾けた。
「ノーク・クルネス?待てよ・・・、ステラスの奥さん!!!」
「そうです」
フェアはがっかりとしたように肩を落とす。
「いきなり失恋だ、そして俺が受けた命令の一つはあなたの殺害です」
「言ってよろしいのですか?」
フェアは恐る恐るトリギオンを見た。
「大丈夫!!じゃ、始めます」
「はい、お互いの命運を」
フェアはチャクラムを大きく振るい、構える。
「あんた、いい人すぎです」「あなたもね」
ファアは一気にエグルガルムへ向けて走り出す、同時にアルカナス軍も進軍を開始した。
ノークは司令室からアルカナスの進軍を確認すると部下へ合図を送った。
進軍を始めるアルカナス軍は大きな揺れを感じる、地面が裂け次々に建造物が地面から現れる。荒野は荒廃した都市へと姿を変える・・・・
「すげー、こんなの初めて見た」
フェアは目を輝かせ、荒廃した都市を駆け抜ける。
「地上部隊に被害が拡大、また現れた建造物は防衛兵器を搭載しており・・・・」
トリギオンの中からマルクトロスはジークフリードを睨みつけた。
「やりおるな、面白いではないか。この私の首はここにあるぞ、取りに来れるものなら来たまえ!!」
「面白い子だな~、それにアピースのセカンドってあの国で二番目に強いってことでしょ。エグルガルムも中々の奇襲だよ、彼らは戦争が長期化するのは不利だが、この戦闘は長期戦の方が圧倒的に有利。さぁあのじいさんはどするかな?」
スティーグは両軍の動きを遠くから見ていた。
「フォークトを探しているのかしら?」
スティーグは振返った、そこにはドレス着た女が立っていた。
「やっぱり君が絡んでいたのか、まぁ知っていたけどね。ナンバー4」
~つづく~
最後までありがとうございました。
次回もなるべく早く投稿出来るように致します。
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