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Acht;untitled  作者: 鳴谷駿
第五章 命灯
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第五章 Encounter Ⅰ

こんにちは。

プロローグとしてはちょっとあれなので本編になってしまいました。

今回もよろしくお願いします。

~第五章 Encounter‐Ⅰ~

 11の事故、そしてステラス・クルネスの暗殺未遂・・・・、エグルガルムは大きく揺れた。そして今日、アルカナスから正式な宣戦布告があった。第二小隊(わたしたち)はエグルガルに残り姫様からの命令を待っている、すでにハウンズの第二、第三、第四小隊がエグルガルムに集結している。現時点で箱美芽隊長達についての情報は何も入っていない。(ルイ)はまだ怪我の為、ベッドから出ることは出来ない。ただ傍観することしか出来ない。これから大きな戦いが起きる、私が想う人も戦場へ出る、一番彼の力になりたい時、私は何も出来ない・・・



真っ白な部屋に静かに横たわるステラスをガラスの向こうからリオルは見つめていた。リオルは少しやつれているようだった、普段の輝きはなくただ静かにステラスを見つめ続けていた。

「久しぶりに本部に戻れば大将はこのざまか、いったいリオル様は何をしていたのやら」

リオルはヴァイパーに近づき胸倉を掴み、顔を引き寄せた。

「なんだよ?殴ってみるか?」

リオルはヴァイパーを突き飛ばすように放した。

「目障りだ、この部屋でずっとそうしていろ」

ヴァイパーはそれだけ言って部屋を出た・・・・・

「守れなかった・・・・」


ノークは部屋から出たヴァイパーに近づいた。ノークが何か言おうとするのを遮るようにヴァイパーが先に口を開いた。

「ノーク、久しぶりだな。結婚式出られなくて悪かった」

「久しぶり、気にしてないわ。それよりリオルは・・・」

ヴァイパーは呆れたように言った。

「あいつに責任がないのは分かっている、ただあの腑抜けた面が気に入らないだけだ。それより新型のMMAの調整は終ったか?奴らはすでにカルベレス大峡谷を抜けているはずだ、新型の実践試験を行いたい。一号機は一発でおしゃかになっちまったからな」

ノークは困ったように戸惑いながらも答えた。

「・・・あなたが調整中のAフィールドを開放したりするから・・・」

ヴァイパーは軽くノークの肩をたたき、立ち去っていった。

「悪かったよ、ただ切り札の威力はしっかり確かめなくちゃ心配だ。先に格納庫に行って調整しているよ」

ノークはヴァイパーを見送って、リオルのいる部屋のドアを見つめた。ノークは静かに部屋の中へ入った。リオルはノークの姿を確認するとそっと部屋を出て行こうとする・・・

「リオル、大丈夫?ヴァイパーはあなたを・・・」

「分かっている、大丈夫だ・・・・」

リオルはそれだけ言って部屋を出る・・・・・

「リオル・・・」



「へっくん、僕達はどなっちゃうのかな~」

桜家(おうか)はエグルガルムから支給された部屋で寛ぎながら部下へ突然質問を投げかけた。へっくんと呼ばれた男は短髪にがっしりとした体をしていた。男は書類などの整理をしているようで、適当に答えを返した。

「隊長が分からないことを、私が分かると思いますか?」

桜家は椅子を限界まで傾け、髪をかきあげた。

「そうだよね~」

桜家は目の前にあった机の引き出しを開けて何かを見つめていた。

「へっくん、あいちゃんを呼んできてくれる?」

「隊長、私が忙しいの見てわかりません?」

桜家はチラッとへっくんと呼ばれる男を見た、男は桜家と目を合わせることなく仕事を続けていた。

「隊長、前から何か隠しているみたいですが、あんまり悪い事しないでくださいよ。後始末は自分でお願いします」

桜家はゆっくりと椅子から立ち上がった。

「そんなこと言わないでよ」

「ほどほどにしてください」



 愛は一人でエグルガルムの基地内を散歩していた。基地全体は騒がしく、どこもかしこも人が激しく行き来していた。ちょうど大きな格納庫の扉が開いていたので、休憩がてら中へ足を進めた。格納庫の中には人の気配はなく、大きな人型の兵器が立っていた。兵器は4m前後でくすんだ銀色をしていた、体のあちらこちらの外装が外されており、頭部などは丸裸だった。兵器は胴体から片腕が切り離されており、片腕は地面で整備されていた。

「ノーク、ちょっと電源を入れてくれるか」

人型の兵器の胴体の穴から突然声が響いた。愛は少し驚き辺りを見渡した、兵器の下には複数のコンピュータが並べられていた。愛はとりあえず声のした方にあったコンピュータのボタンを適当に押した。すると突然、外された腕が動き始めた。

「ノーク!!お前いつからそんなボケが出来・・・」

兵器の胴体の穴から男が顔を出した、男は愛を見るなり拳銃を構え発砲した。弾丸は愛の足元にめり込んでいた。

「何者だ?」

愛は驚く様子もなく、男を睨みつけた。

「死んでも構わないようだな」

男が引き金を引こうとした時、愛は素早く男へ向かった。散乱する機械を飛び越え、人型兵器を跳び上る。

「何て奴だよ」

男の放つ弾丸を愛はかわし、刀を抜いた。男は胴体の穴から飛び出し愛に向かった。刀の一閃が男に向かう、男はその一閃を拳銃で受け止める。愛の刀は拳銃を切り裂く、男は切り裂かれた拳銃を放し愛の腕を掴んだ。

「意外といい女?いや、可愛い子だな」

男は愛を抑え、兵器のしたに張られたシートの上へ落ちた。

「君の力じゃ、どうにもならないよ」

男は愛の上に被さるように乗り、身動き出来ないように抑えつけた。愛は微かに笑い簡単に男の体をどかし投げ飛ばした。男は外された片腕に叩きつけられた。愛はすぐに刀を拾い男に近づいた。

「いてぇ・・、能力者かよ」

男が顔を上げると愛が刀を突きつけていた。

「かぁ、油断したな」

男は愛の刀を掴み、無理やり引き寄せた。愛は刀を振るい男の腕が飛んだ。

「はい、動かない」

愛は自分の胸に拳銃が付き付けられているのに気付いた。

「二人とも何をしているの??」

ノークの大きな声が格納庫に響いた。男は驚いた様子でノークを見た。

「ヴァイパー!!何をしているの?え・・ヴァイパー、腕が・・・」

ノークは愛を見た、愛は少し申し訳なさそうにノークから目線を逸らした。

「お前達、知り合いか?」

「ヴァイパー、渡された資料に目を通した?それに包刃(つつみや)さんも・・・」

ヴァイパーは愛の腕にハウンズの腕章が巻かれているのに気付いた。

「ちょっとハウンズの実力を試してみたくてな」



ジャスはミラと共に戦況の分析などの作業を行っていた。

「疲れたね、ちょっと休憩しようか?」

ジャスはコンピュータを操作し続けるミラに近づき椅子を引いた。ミラは突然の事に驚き目が点になっていた。

「少しは休まなきゃだよ。頑張るのはいいことだ、でも頑張りすぎるのはいいことじゃない」

ミラのもとに視線が集まる。

「ミラちゃん、少し休んできな」「俺達に任せな」「ごゆっくりどーぞ」

ミラは申し訳なさそうに頭を下げた。ジャスも周囲の技術者などに軽く会釈をした。

「悪いね、ちょっと休ませてもらうよ」

ジャスはミラをつれて部屋を出た。


施設内の休憩室は誰もいなく静かだった。休憩室は白で統一されており、飲食物の販売機とソファー、机などが置いてあるだけのものだった。その簡素な休憩室も今のエグルガルムでは数少ない休める場所であった。

「何か買って来るから先に座ってな」

ミラは財布から紙幣を一枚取り出し、ジャスに渡すとソファーの方へ向かった。

「本当によく出来た子だよ」

ジャスはいくつか飲食物を買ってミラのもとに向かうと、ミラはソファーの上で寝てしまっていた。

「ゆっくり休みな」

ジャスはそっとミラをソファーに寝かし、自分の上着をかけ向かいのソファーへ座った。ジャスは静かに軽食を取り、ミラの分を机の上へ置き部屋を出た。


休憩室の外には思わぬ人物がジャスを待っていた。

「あと二時間後にミーティングがある、フーとテムジにも伝えてくれ」

リゼリはそれだけ告げて立ち去ろうとする。

「第一小隊の隊長が空席になるなら私が立候補する」

リゼリは特に反応することもなく廊下を進む。ジャスは空間ごとリゼリを引き寄せる、引き寄せたリゼリの胸倉を掴む。

「私はあんたが嫌いだ、あんたが私を嫌いなのもよく知っている。当然、あんたが私を嫌いな理由も分かっているつもりだ」

リゼリはジャスの腕を掃い、拳銃を召喚しジャスに向ける。

「撃ちなよ」


                       ~つづく~


最後まで読んでいただきありがとうございました。

え~、開戦まではあと一、二話かかるかもしれません><。

しばらくはこんな感じですがよろしくお願いします!!!

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