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Acht;untitled  作者: 鳴谷駿
第四章 Six Days / one day
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第四章 E7-0140523

こんにちは。

今回もよろしくお願いします。

~第四章 E7-0140523-Ⅰ~

 暗闇の中を動く影は小さな家を包囲していた。

「包囲完了しました」

ヴァイオレットの通信機から次々に声が聞こえ始める。

「了解、攻撃を開始して」

小さな家へ大量の弾丸が一斉に向かう、窓は割れ、壁は砕ける。暫くの間、銃声が響き静かに正面の扉が崩れ落ちる。

「こんな夜中に何のようだい?」

家の中から眠そうに一人の女性が現れた、長く垂れた真っ白な髪、華奢な体。服装も薄い下着に布を巻いた程度のものだった。「この女がどのようにして大量の弾丸を防ぎ、無傷でこの場に立っていられるのか?」この場にいる誰もがこの事を疑問に思わなかった。それはこの女が幻想の道化師アンティック・イマジネイションの一員であることを知っていたからだった。

「あなたがアーニュ・ワーリュヌスで間違えないわね?」

女は真っ白な髪の隙間からヴァイオレットを見つめる。

「そうだけど、いったい何のつもり?あんた達何者?」

「私はアステリオス帝国第四小隊隊長ヴァイオレット・サーヅ、任務によりあなたの身柄を確保させてもらうわ」

アーニュは真っ白な髪をかきあげ、真っ直ぐに歩き出す。

「どうせ簡単には死なないわ、撃ちなさい」

ヴァイオレットの部下達が一斉に発砲する。放たれた弾は確実に女を捕らえる、しかし弾は女に傷一つ付けることなく彼女にぶつかり地面へ落ちる。

「潰していいわよ」

部下の少年は女に腕を向け握り握る、女の周囲の空間は歪む。しかしアーニュは平然と歩き続ける。

「家はぐちゃぐちゃだし、イイ夢みていたのに起こされたし、みんな死んでも不満ないよね?」



~第四章 E7-0140519-Ⅰ~

「ステラス様が婚約!!」「ステラス様、ノーク様ついに婚約!!」連合国との戦争が終結して数週間後、エグルガルムでは盛大なパレードが行われていた。

「隊長、本当についこの前まで戦争していたんですかね」

私服姿のルイは隣にいるリゼリに話しかけていた。リゼリ達はエグルガルムの民間人に混ざり大広場で行われている催し物を見ていた。大広場の証明が一斉に消える、静まり返る観客達、その時上空に多くの炎が灯る。夜空一面に広がる炎はやがて動き出し一点に集まり弾けとんだ!!

「いくよーーーー!!!!」

炎の中心から火の鳥達と共に一人の少女が現れる、それと同時に流れ出す音楽。広場に響く観客達の歓声、少女は夜空を舞いながら歌い始める。

「隊長、あの子って?」

リゼは手に持っていたチラシを見た。

―人気急上昇の歌姫 ついにエグルガルムに上陸!! ルー・サースレイ―

「ある意味、アステリオスの為には働いているようだが・・・」

「ルーちゃん!!」

ユウが観客と共に歌を口ずさみ、掛け声などをあげていた。リゼはその姿を見て今が任務中である事を忘れそうになっていた。大広場の先に見える特設席にはエスナ達の姿が見えていた。


ステラスはいつもの真っ白な部屋から大広場の方を見ていた。

「こんな部屋から見るくらいなら直接行けよ」

部屋の入り口にはリオルがいた、長い金髪を後で結わきサングラスをかけた私服姿だった。

「私は忙しくてね、それにノークに言われたのだよ」

リオルはサングラスを外し、少し驚いたように聞いた。

「ノークの奴にか?喧嘩でもしたのかよ」

「違うよ、アステリオスの姫様と二人で話したいと言われたのさ」

「女二人で秘密話か」

リオルはステラスの隣に立ち大広場へ目を向けた。

「ステラス、俺らはこの国を守らなきゃいけない。そしてお前はその中でも一番大切なものが出来た、お前はノークの為なら簡単に死ぬだろ?」

ステラスは何も答えなかった。

「お前はただの軍人じゃない、この国の中心だ。お前が死ねば今のこの国は死んでしまう、だからお前は今後前線にでるな」

ステラスは目の前にあるガラスに手を触れた、そっと目の前にある風景を優しく触れるようにガラスを撫でる。

「同じようなことをバースに言われたよ、自分でも分かっているつもりだ。でも私はこの国の為に自分の出来る限りのことをするつもりだよ」

「アステリオスとの同盟はどうする?」

ステラスはリオルの顔を見て軽く笑った。

「何だよ?」

「いや、お前がアステリオスのことを口にするとな」

リオルは少し顔を歪める。

「そうかお前がここにいるってことは、あの侍のお嬢さんは今回は来てないのか」

リオルは顔を赤くして少し大きな声で答える。

「何のことかわからねぇな、せっかく寂しいだろうと思って来てやったのにさ。俺はもう帰るぜ、せっかくの祭りなのにこんな部屋にお前なんかと二人なんては勿体ねぇ」

リオルはそう行って部屋を不機嫌そうに部屋を出て行った。

「まったく私はリオルを困らせてばかりだな」

ガラスにエグルガルムとステラスの小さな笑顔が写った。



~第四章 E7-0140523-Ⅱ~

第四小隊は完璧に狩られる側になっていた。第四小隊にはBクラス以上の能力者が多数いた、そしてそのすべての能力はを傷付けることは出来なかった。第四小隊は崩れきった陣形で近くの森林へ体勢を立て直す為に逃げ込んでいた。

「何なのよあいつは、不死身どころか傷一つ付きやしない」

ヴァイオレットは焦りを隠せずにいた、アーニュの能力は数多くの能力者を知るヴァイオレットにとっても未知のものであった。

「隊長、目標がこちらに接近しています」

第四小隊の腕章を付けた品のいい少女がヴァイオレットに伝えた。ヴァイオレットには何の作戦も無かった、そして適格な指示を出せるほどの冷静さもなかった。

「各員に告ぐ、奴をもう一度包囲してちょうだい。ビズルは最大級の攻撃を準備、この森ごと潰してもかまわない」

「わかったよ」

ビズルはすでに自身の能力がに効かないことを分かっていた。

「こりゃ全滅もあるかな、あの女ももっと賢いと思っていたのに」

ビズルは自分の周りにいる部下達に指示を出し、ヴァイオレット達のもとへ向かった。


最後の攻撃は失敗に終わった。ヴァイオレットは自身の能力を使い、部下と共に姿を消していく。ヴァイオレットの能力が及ばなかった数人の部下達が残されていた。隊員の一人の少女にアーニュは近づく、彼女は怯えながらに発砲した。弾丸はアーニュを傷付けることはない、何もなかったように足を進めるアーニュ。

「いや、まだ死にたくない。私にはまだ・・・」

少女へアーニュが近づく、その時に無数の氷柱が襲い掛かる。少女の目の前に第一小隊の腕章を付けた二人が現れる。 青い目をした少年が少女に優しく話かけ、ハンカチを渡した。

「もう大丈夫だよ、ここは僕達に任せて」

少女は自分が泣いていることに始めて気がついた。

「フロル、今回の獲物は格上だよ、油断するんじゃないよ」

「分かっていますよ、隊長」

二人は同時に紋章のある腕を見せた。

限界突破(オーバー・リミット)


大きな森に巨大な氷塊がそびえる、消耗しきった二人の前にアーニュは悠々と現れる。

「隊長、限界突破(オーバー・リミット)の限界時間まであと僅かです」

四季は両腕に剣を握り、アーニュに向かう。四季の持つ剣はアーニュを切り裂くことはない、そう二人の如何なる攻撃もアーニュには通用することはない。アーニュが四季の剣に触れると剣は朽ちて砕ける、四季は剣を話した。

「気に食わないが、潰れろ」

アーニュを中心として空間が潰れる、アーニュに何一つ変化はない。

「これでも駄目か」

四季はアーニュから距離を取る、そしてアーニュは氷塊と化す。

「隊長!!」

四季は大剣を握り締め氷塊へ振り下ろし氷塊は砕け散る、ただしアーニュは砕けることも、傷つくこともなくその場に立ちはだかる。アーニュの腕が四季に迫る、四季は空間を転移してアーニュの背後に現れる。

「初めて見たよ、こんなに多くの能力を使える者は」

アーニュは四季がさっきまでいた所に手を伸ばす。

「戻れ」

アーニュの手の先の空間が歪み、吸い込まれ巻き戻る。その光景にフロルの動きすら止まっていた、四季はアーニュに首を捕まれていた。

「捕まえた」

四季は握っていた大剣をアーニュの腕に向けて振るう、大剣はアーニュの腕に当たり砕け散る。

「くそ」

四季は両腕に拳銃を召喚しアーニュの顔面に打ち込む、弾丸はアーニュに当たるが傷一つ付けることなく地面へ落ちていく。

四季は両手の拳銃を捨て戦うことを止めた。

「もう終わりか」

四季はそっけなく答える、アーニュの表情はどこかがっかりしていた。

「あぁもう打つ手なしだよ、私の能力もあと1分もつかだしね。むしろこのゲームは始めた時から私はいつでも対価なして棄権出来た。これは元から私達に勝ち目はなかったてことさ、退屈な茶番だよ」

アーニュは四季の話を興味深そうに聞きいていた。アーニュは手を放し四季を自由にした。

「あと一分ならお前はさっきみたいに戦えるんだな」

「そうだよ」

アーニュの目つきが鋭く変化していく、そして嬉しそうに笑った。

「お前達の攻撃を一分間だけ効くようにしてやる、だから私を殺してみろ」

四季は一瞬驚いたがすぐに落ちていた拳銃を握る、フロルが四季の横に現れる。

「一撃で決める」

「了解しました」


四季は口か血を流し膝をつきわき腹を押さえ、フロルは地面に倒れアーニュを見つめる。アーニュは片腕を真っ赤に染め、足を引きずりながら四季へ近づく。

「時間切れだ、私達の負けだよ」

アーニュの体は四季達に近づくにつれて傷が治っていく、どちらかと言うと元に戻るようだった。

「私の力がどんなものか分かるか?」

地面に倒れていたフロルがアーニュを睨みながら言った。

「時間の操作、最初は確信がなかったけど一度空間を巻き戻した時に確信した」

「そうだよ、私は自身の時間を止めればどんな攻撃も効かない」

アーニュは倒れているフロルに触れた。

「やめろ、そいつに触るな」

四季は吐血しながら、痛みをこらえアーニュの元へ向かおうとする。アーニュはフロルから手を放し四季を見た。四季は隠していた拳銃をアーニュに向ける。

「そんなのじゃ私に傷付けられないよ」

四季は引き金を引く、弾丸はただ地面に落ちる。四季は拳銃をアーニュに投げつける、そしてアーニュを殴った。四季の拳はアーニュの顔で止まっていた。

「そいつを逃がしてやってくれ、私の命は好きにしろ」

フロルは地面から四季を見つめる、そして大きな声を振り絞る。

「待ってください、隊長!!そんなのイヤです、まだ、まだ終ってない」

フロルは必死に立ち上がろうとする、立ち上がり足を引きずりアーニュへ向かう。アーニュは四季の腕を払い四季を蹴り飛ばした、四季は吹き飛び木に叩きつけられた。

「隊長!!」

アーニュはそのままフロルに近づき殴り飛ばす、フロルはその場に倒れ込む。

「まだ、まだ負けてない」

フロルは再び立ち上がり、アーニュに近づき拳を振るう。拳はアーニュを捕らえた、アーニュの体が微かに揺れた。フロルはそのまま崩れ落ちた。

「いい子だな」

アーニュは木に寄りかかる四季を見た。

「自慢の部下だよ」

アーニュは自分達が大きな影に被われているのに気がついた。アーニュは空を見上げた、空には巨大な黒い玉が浮いていた。

「そいつを連れて逃げてくれ」

四季はアーニュに頼む、アーニュはさっとフロルは抱き上げた。アーニュは四季に近づいた。

「名前は?」

「箱美芽 四季だ、あんたはアーニュでいいのか?」

黒い玉がゆっくりと地面へ落下を始めていく。

「アーニュだ、よろしく」


黒い玉は森を飲みこみすべてを無にした・・・・・


                        ~つづく~


最後までありがとうございます。

今回は割りと長め?でした、本当は二話に切る予定でしたが、次回いつ投稿できるか分からないので一機に投稿しました。

次回の投稿は下手すると八月になりそうですが、出来れば次回以降もお付き合いくださると嬉しいです。

では、今回も読んで頂きありがとうございました。

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