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Acht;untitled  作者: 鳴谷駿
第零章 Past DayS
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第零章 Past DayS Ⅳ

今回もよろしくお願い致します。

久しぶりに書く物語のタイプで大変楽しく書かせてもらっております。

皆さんも楽しんでいただけると嬉しい限りです。

~第零章 Past DayS Ⅳ~

 ルイは愛の向かいへと座った。和風をイメージしたテーブル席に二人は座り、店の入り口からは一番奥の席であった。席についたルイはメニューを開きすぐに店員を呼んだ。

「えーっと、この和菓子のセットでお願い」

「わっ、わかりました。こちらがお茶になりまっす」

美華は手の振るえを堪えながら何とかテーブルへ緑茶を置き、注文をとった。

「なんか新しい店だから店員の子も慣れてないみたいね。でも初々しくて可愛い」

ルイは美華の姿を見つめていた。美華と入れ替わるように別の店員が愛の注文した和菓子を持ってきた。愛の前へ並べられた和菓子は美しく、食べるのが勿体無いと言う言葉が良く似合うようなものだった。

「愛、さっき箱美芽隊長に会ったんだよ。こんな所で会うなんてびっくりだよ」

愛は和菓子から目線をそらし、ルイの方を見て苦い顔をした。

「ごめん、箱美芽隊長のこと嫌いなんだよね。私はいい人だと思うだけどなぁー」

愛はすでにルイの話を聞いていなかった。愛の視線は和菓子に釘付けで、どちらから食べるべきかに悩まされていた。

「愛、さっきから何しているの?早く食べなよ」

愛はルイの一言でどちらを食べるか決心したようだった。

「失礼します。こちらが本日の和菓子の・・」

愛の目の前に新たな和菓子が現れる。愛は再び動きを止める。ルイはその姿を楽しそうに眺めていた。すると店内に大きな音が響いた。その音がこの店だけに響いたものではなく、この建物全体に響いたことに二人はすぐに気付いた。

「今の音は・・・」

愛の表情が鋭く変化した。

「何だろうね?確かイベントが一階で行われるって宣伝してたみたいだけど」

このショッピングモールは四階建てになっており、愛達がいるのは三階に位置していた。暫くの間店内は静まり以前の雰囲気へと戻って行く。ルイは周囲を見渡すが他の客達は何もなかったように会話を始めていく。

「イベントの演出だったのか?」

愛の鋭かった表情はもとに戻り和菓子へと視線が注がれる。


「嘘だろ・・・」

ロイテルは持っていた荷物を下ろし三階から一階のイベントスペースを見下ろす。そこには武器を持った集団が客達を包囲している。ロイテルは辺りを見渡すが誰も一階で起きていることに気がついていない様子だった。

「俺しか気付いていないのか?」

ロイテルは注意深く二階を見渡した。するとロイテルと同様に一人の黒い髪の女性が一階を見下ろしていた。その女性は二階から三階を見上げ、ロイテルと目が合った。すると女性はロイテルを見て笑ったようだった。その女性はすぐに姿を消した。

「なかなか感のいい子ね」

ロイテルが振返るとそこには両手一杯に荷物を持った眼鏡の女性がいた。

「あなたも見えているんですか?」

「みんなにも見えてはいるの、ただ気付く事ができないだけ」

「気付く事ができない?」

「説明すると難しいのよね。まぁあなたは気付く事ができたからいいでしょ。それより何故、君は気付く事ができたの?」

ロイテルは静かに目を閉じて開いた。

「感じたんです、不思議な歪みみたいなものを・・・」

「ふ~ん」

眼鏡の女はロイテルに近づき頭に触れた。

「これで君は大丈夫よ」

そう言うと女はロイテルに背を向けて離れて行く。

「待ってください」

ロイテルが追いかけようとした時、ロイテルの耳に女性の声が響いた。

「心配するなあいつ等はたいした能力者じゃない、すぐに事態は片付くよ。ただ君がどうこう出来る相手でもないから、君は見ているといい。さっきの眼鏡の女が君に障壁を張っているから、君は誰にも気付かれないはずだよ」

ロイテルは声が止むと同時に辺りを見渡すがそれらしい人物は見当たらない。

「見ていろって・・・」


その頃、ルイは楽しそうに愛に一方的に話かけ、愛は幸せそうに和菓子を口へと運んでいた・・・・・・・・。


一階ではステージに立った男がマイクを握り楽しそうに話していた。

「凄いだろう、一階ではこんなに騒がしいのに上の階の奴らは気付いていない。外の奴等も同様さ、だから誰も助けは来ない。俺達が誰か分かるか?この服装を見れば分かるんじゃないか?」

ステージから道化師のかっこした男が客を見回す。

「そう、俺達が幻想の道化師アンティック・イマジネイションだよ!!」

男は満足げに笑い続けた・・・・


ロイテルは今起きていることを伝える為に店へと駆け込んだ。店の行列はなくなっておりピークは過ぎたようだった。

「本当に誰も気付かない」

ロイテルがいくら話しかけても誰一人としてロイテルの存在に気付きはしない。たとえ触れたとしても誰一人としてロイテルに気付きはしなかった。

「ロイテルくん遅いわね。どうしたのかしら?美華ちゃん、悪いんだけどちょっと探してみてくれる」

店長の頼みで美華は能力を使いロイテルを探した。美華の能力は空間認知、ステラスの様に立体的に物体や空間を捉えることは出来ないが、広範囲における対象の捜索などに長けたものだった。

「えっ・・・、ここにいる・・・」

店長は美華の言葉にぽかーんとした表情をしていた。

「ごめんね、美華ちゃん。疲れているのね、少し休んで来ていいわよ」

美華は驚きながらも、自分の出した答えを疑ってはいなかった。

「わ、わかりました。ありがとうございます」

美華はそう言うともう一度能力を使いロイテルの位置を探した。

「目の前にいるの?」

突然、美華の腕が引っ張られる。美華はその手に引かれるまま歩き出す。美華は店の出口へと足を進める。

「ロイテルくんなの?」

美華は微かに腕を握られたように感じた・・・・

 

                          ~つづく~


最後まで読んでいただきありがとうございます。

この番外編も残すところあと1話の予定です。いつもと違い各人物の色をなるべくだすようにしています。登場人物が私の好みで決まったのは内緒ですwww

このショッピングモールの話は本当は三章の後に投稿する予定でした。その時と登場人物がやや変わっております。第一章投稿当時から読んでいる方はⅠは以前にSSとして投稿したものの流用だと気付いていると思います。その時はルイとリゼリのデートという設定でしたねwww

美華は本編ですでに出ていることに気付いているかな??

次話もよろしくお願いいたします。

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