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Acht;untitled  作者: 鳴谷駿
第二章 洸光の日
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第二章 蘭嵐 Ⅰ

今回もよろしくお願いします。

今回から戦いばかりです。

~第二章 蘭嵐 Ⅰ~

 俺は国に帰らなかった、今晩もう一度だけジャンヌと戦うために。

そして、今晩もジャンヌは十字架の立つ砂漠に現れた・・・・


 セルギア王国 王宮内

「何のようです、今日は夜遊びに出かけないのですか?」

愛はリゼリ(以後リゼ)の部屋を訪れた。

愛はリゼの部屋の壁に寄りかかり、窓から月を眺めていた。

「用件がないなら自分の部屋に戻ってもらえます」

「こないだの戦いでやられたらしいですね?」

リゼは愛を睨みつけた。

「そのことを王女に連絡したら、そいつを是非ハウンズに入れたいと言っておられた。身柄の確保を頼みます」

「あなたが捕まえれば?」

「残念ながら私は王室の警備なので」

リゼは今にでも愛を撃ち殺しそうだった。

「この事は第四小隊隊長(ヴァイオレット)には内密に、あなたもそうだと思いますが私も信用できなくて」

そう言って愛は部屋を出た。

「どこの隊も碌な奴がいない」

リゼはため息をつき、窓から月を見た。

「この国からは月が綺麗に見えるな」



 セルギア王国 十字架の立つ砂漠

今日も俺は結局、砂漠に横たわり月を見上げていた。

「ジャンヌ、明日一緒に戦わせてくれ」

ジャンヌはロイテルのことを見つめた。

「いいわよ」

「えぇ・・・・」

「私はもとからあなた自身から戦いと言われたら、断るつもりはなかったわ」

ロイテルは自分が考えていた言葉が返ってこなかったことに動揺していた。

「私はあなたを認めている、だからあなたの決めたことを貫きなさい」

「・・・・・・」

ジャンヌの言葉はすべて予想と異なり、ロイテルにはまだすぐに反応するほどの心はなかった。

「あとあなたは絶対に私に勝てないわ、だって分かるのだから私にはね」

「何が?」

「感じるのよ、あなたが動くとなんか?私が金属を扱うからかもしれないけど、あなたは力を使おうとすると微少の電気を発するのかしら?だから、動きの初動がわかるの」

ロイテルは唖然としていた。

「でなきゃ、あんなに早い動きかわせないわ」

俺はこの時、始めてジャンヌの本当の笑顔を見た。それは美しくとても綺麗なものだった、そしてこの笑顔が彼女の本来の姿のように感じた。



 作戦は夜明けと共に始まる。本体とは別の部隊が複数の施設を同時に襲い、その隙に少数で王宮に乗り込む。俺たちはジャンヌが王室に行くための道を作るまで彼女を守る。ジャンヌは一人だけで国王と話すことを望んだ、仲間の多くは危険だと止めたが俺はジャンヌが決めたことを信じた。王宮は巨大な外壁に囲まれている、入り口は正面と左右の三つる。俺たちは正面から乗り込む、正面の巨大な扉の先には大きな中庭が続きその先に王宮がある。王宮の襲撃は6人で行う、俺とジャンヌと錬金術士四人と空間転移(ルームス)の構成だ。俺は顔を隠すこと、黒髪の召喚士(リコーラー)を足止めすることをジャンヌに頼まれた。



「私に力を貸してくれるか?」

多くの仲間達から歓声が上がった。

「ありがとう、そしてもう一度この場で会おう!!!」

ジャンヌは剣を胸の前に構え、空高く突き上げる。



 セルギア王国 王宮内

「来たみたいですよ、愛先輩」

愛は王室の前の柱に寄りかかり、通信に耳を向けていた。

「作戦通り頼む、第二小隊を中庭に」

愛は通信機を切って、日の出の光を見た。

 

 

 扉の警備は手薄だった、扉をジャンヌ達が変形させ中へ入り込む。

そして中庭を真っ直ぐ王宮へ向かう、突然三人の男が現れる。

「ジュラル、障壁をはれ。ここから先には行かせるな」

黒髪の男(リゼリ)細身の男(ジュラル)に命じる。

ジャンヌがすぐさま黒髪の男に斬りかかる、他の錬金術士が残りの二人に襲い掛かる。

そして、俺は転移され後ろから細身の男を叩く・・・・


「相手には拒絶する者(リジェクター)がいる、特徴は細身の男。そいつを最優先で叩いて欲しい」


ジュラルは崩れ落ちる、リゼはジャンヌを睨みつける。

銃声が響き錬金術士の一人が崩れ落ちる、ジャンヌは素早くリゼから距離を取り弾丸をかわす。

ジャンヌは地面に両手をつけ金の壁を作る。リゼに二人の錬金術士が襲い掛かる、ロイテルは茶髪の男(ユウ)へ斬りかかる。

 

 そして、金色の柱がジャンヌを乗せて空を(かけ)王宮へ向かう。


拒絶する者(リジェクター)さえ叩ければ中庭の大量の物質を使って王宮に行く道を作れる、大規模な練成になるから私は暫く動けない。だからその間だけ時間を稼いで欲しいの」

 

 王宮へ金色の柱が伸びる。

「ルイ、王女を撃て」

「駄目、さっきの攻撃で位置がばれたせいで壁を張っている」

リゼは金の柱を睨みつける。

「ユウ、俺を柱の前に飛ばせ」

ユウは転移しリゼに触れ姿を消し、ジャンヌの前に現れる。

「舐めるなよ」

リゼは両手の銃をジャンヌに向ける。

ジャンヌはユウに金の槍を投げつける、ユウは転移してかわす。

「あなた一人じゃ、空では動けない」

リゼがトリガーを引く瞬間、蒼い閃光が空中のリゼに迫る。リゼはすぐに閃光(ロイテル)へ弾を撃ち込む、ロイテルはそれを弾きリゼと共に地面へ落ちる。そして、柱は王宮へ突き刺さった。

 

~第二章 蒼き閃光と黒き幻想~

 王宮内 中庭中央

「またお前か」

リゼは不満そうに片手の銃をロイテルに向ける。ロイテルは閃光と化し一瞬で距離をつめる、リゼはそれを容易く蹴りで迎撃した。リゼの蹴りがロイテルの脇にめり込み、痛みで動きが止まる。続けてロイテルの頭に銃口を向ける、ギリギリでロイテルはかわし、リゼの腕を掴み地面に叩きつけ距離をとる。

「能力に頼った馬鹿ではないようだな」

リゼは起き上がり服を叩く、ロイテルは自身の右腕から流れる血を眺める。

「よくかわせたな、投げられる代わりに終わらせてやろうと思ったのに」

ロイテルはブレードを握り締める。

召喚(リコール)、ガトリング」

リゼの前にガトリングが現れ掃射を始める。ロイテルは閃光と化し弾をかわし距離を詰めガトリングを切り裂き、リゼに斬りかかる。

「動きが直線的なんだよ」

リゼの両手にハンドガンが現れ、銃口がロイテルを捕らえる。ロイテルはブレードを地面に突き刺し、電流を流し込む。地面が吹き飛び視界を遮る。ギリギリで弾丸をかわし、ロイテルのブレードがリゼの右腕を掠める。リゼは距離を取ろうとするがロイテルが食らいつく。ロイテルのブレードが完全にリゼを捕らえる。

その瞬間二人を爆発が包む。

爆煙の中からロイテルが転がり出る、右腕が酷く損傷していた。

爆煙が晴れると黒い大きな手にリゼは包まれていた、それがゆっくりと体から離れる。リゼの左目が黒く染まり始めていく。

「捕まえろ」

黒い大きな手がリゼから伸びロイテルを襲う、ロイテルは本能的にそれをかわした。腕はもう一本現れロイテルを襲う。


 黒き幻想はすべてを飲み込む、逃れることのできぬ禁じられた力・・・・


その腕はブレードで切り裂いてもすぐにもとに戻り、ロイテルを追い詰める。

「簡単には捕まらんか」

リゼの顔は左目から黒い根のようなモノに侵食されていた、黒い影がリゼの左腕を包み込み鎧と化す。リゼはロイテルに向けて左手を振るう。

 黒い五本の斬撃が地面を切り裂きロイテルに向かう、ロイテルはかわし切れずぶつかり王宮の外壁に吹き飛ばされ煙に包まれた。

 リゼは外壁に近づいた、その時神速の閃光がリゼを襲う。

 「危なかったな」

 ロイテルのブレードがリゼの右肩を貫く、黒い影がギリギリで軌道をそらしていた。黒い影がロイテルに巻きつき自由を奪い、地面にねじ伏せる。

 「これで終わりだ」

 リゼの顔の左側は殆ど黒い根のようなモノに侵食されていた・・・・

                              ~つづく~


最後まで読んでいただきありがとうございます。

第二章も残す所あと三話分です、イッキに書き上げたいと思っております。

明日中にでも蘭嵐Ⅱを投稿できると思います。

次回もよろしくお願いします。

あっ今回はロイテル達が主役なのでユウやルイはもう出て・・・・・

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