第二章 戯犠
今回もよろしくお願いします!!
~第二章 戯犠~
収容所の崩壊と共にすべてが止まった。
ジャンヌはすぐさま武器を黄金の鎖に変え愛を足止めし崩壊する収容所に向かう。
「あの女、収容所には・・・・」
リゼリ(以後リゼ)も収容所の崩壊に動きを止めた、その隙を二人の大男は見逃がさなかった。
砂が無数の鎖に変化しリゼに襲い掛かる、何本かが手足に巻きつき自由を奪う。
大男の一人が砂を大剣に変え斬りかかる、銃声と共に大男はリゼから距離をとる。
「危なかったね、俺らの心配でもしてた?」
突然ユウが現れる、リゼに巻きついた鎖が正確に打ち抜かれる、リゼは弾丸の飛んで来た方を見て遠くの建物の屋上に人影を確認した。
「今度はこっちの番だよ」
ジャンヌは収容所の正面だった場所にいた、そこにはヴァイオレットとビズルと数人の部下がいた。
「わざわざ来てくれるとは手間が省けるわ、お姫様」
ジャンヌはヴァイオレットには目もくれずビズルを睨めつけた。
「ビズル」
「久しぶりだね、姉さん。姉さんの顔だけはずっと忘れなかったよ」
ビズルは確かにジャンヌを姉さんと呼んだとても嬉しそうに・・・、彼の名はビズル・セルギア。本来は第一王子として王宮にいるべき人間、そしてセルギア王国最悪の犯罪者。
ジャンヌは剣を構える。
「生きていればいいわ」
ヴァイオレットは指を鳴らし部下に命じる、部下の少年が手をジャンヌに向ける。
「潰れろ」
少年が手を握ると共に空間が歪む、本能的にジャンヌは手の向く方から逃れる。
別の部下達がマシンガンなどを召喚しジャンヌに襲い掛かる。
「さぁしっかり逃げないと死んじゃうかもよ」
ジャンヌは逃げながら問う。
「何故収容所を壊した?死ぬ必要のない者もいた」
「何故?笑わせないでよ、あなたは何様のつもり?自分が正義とか思ってるの?だから世間知らずのお姫様は困るのよ!!!」
ジャンヌは自分の近くにいた部下に触れる、部下は突然姿を消す。
「く・・・・・」
ジャンヌはわき腹を押さえ膝をつく、姿を消した部下はジャンヌの後に立っていた。
「動けないように両手両足も潰していいわ、さっさと確保して残りの奴らも片付けるわよ」
ジャンヌに銃口が集まる・・・・・・・。
「悪いがこっちも仕事だ」
リゼの銃口が大男の頭に突きつけられていた、もう一人の大男も片足を打ち抜かれ地に膝をつけていた。
「色々聞きたいこともあるが一人で十分だ」
引き金を引く寸前に蒼い閃光がリゼを襲う、リゼは蒼い閃光にぶつかり吹き飛ばされる。
「えっ?」
閃光はユウに近づく、ユウが転移するより早く閃光はユウにぶつかりユウに電撃が走る。
ジャンヌに銃口が集まると同時に煙幕が辺りを包み込む。
「姫様、すぐにお逃げください」
煙幕の中に二人の大男と顔を布で覆ったロイテルがいた。
「ここは私達がどうにかいたします、この少年の力なら逃げることが出来ましょう」
「しかし、私が・・・・・」
「姫様がここで死なれたら今までの部下達の犠牲はどうなります?」
大男達がジャンヌを見つめる、ジャンヌは唇を噛み締める。
「死なないでくれ・・・・」
「姫様の命令とあれば」
二人の部下は笑顔を見せて煙幕の中へ姿を消した、ロイテルはジャンヌに肩を貸し戦場から離れる。
煙幕が薄くなると中からは二人の大男と地に伏せた数人の部下が現れた。
「あーもう、逃げられたわ。だから生け捕りはいやなのよ、二人ともさっさと殺して」
ヴァイオレットはビズル連れてその場か姿を消した。
この戦闘で反政府軍は戦力の3分の1を失うことになった。
愛は建物の上からロイテル達の姿を見ていた。
「愛先輩、追わなくていいんですか?」
隣には弱気な雰囲気をした少年がいた。
「先輩がっかりしていません?」
愛は何も言わずにロイテル達に背を向けた。
「あいつらがどこに向かったか調べとけ、分かったら私だけに伝えろ」
「了解しました」
戦場から離れる中、ジャンヌは泣いていた。
その涙は戦場に転がる仲間の死に向けられていたのか、それとも他の何かに向けられていたのかは俺には分からなかった。
聖痕祭数日後 第五区ハイウェイ 四季愛車内
箱美芽隊長の家にお世話になり始めて数日がたった。正直な話、僕がこの人の世話をしているようだった。一応、この人は全治数ヶ月の怪我をしていたようで休暇中だったらしい、家の中でも特に僕を監視する様子もなく買い物も僕一人に任せていた。本当にハウンズ第一小隊の隊長か何度も疑ったしまった。今日は突然、「そろそろ始めるか」とか言われて今に至る。
「箱美芽隊長、以前能力のクラスについて話してましたが・・・・」
僕は助手席に座っていて会話もないのは寂しいような気がして話かけた。
「あぁ能力のクラスね」
四季は前を見たまま話始めた。
「能力者にはまず二種類いるのは知ってるね?」
「先天的な者と後天的な者ですね」
「そうさ、この時点である程度クラスが絞られる。後天的な者でA以上の者はほとんどいない、と言うか私は出会ったことはないね。そして多くの者の能力者はBクラスで能力の限界を迎える」
「BクラスとAクラスの違いってなんですか?」
四季は少し考えて口を開き始めた。
「まぁ数値的な指標がないからはっきりとは言えないがお前の能力を例にすると、氷を自由に動かせてD、媒体から氷を作れるC、媒体なしで氷を作れるB、自身が作った氷が意思を持つA以上って所だな」
フロルは以前自分がAクラスと言われたのを思い出した。
「僕の氷が意思を?」
「実はお前のはまだBだ、小娘はAだ。私の考えでは小娘は未熟すぎる能力の為に無意識に炎に意思を持たせて、自身の体を守ったりしている。お前はある程度落ち着いているから、それが作用しないのだろう。だから、出来るようになってもらう」
「僕は強くなれますか?」
箱美芽隊長はこの日初めて僕の顔を見た、その顔はすこし嬉しそうだった。
少しすると巨大な建物中に入った、僕はここで何故この人がハウンズ最強と言われているかを存分に味わった。
~つづく~
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回の投稿は明日にでも出来るといいと思っております。