第二章 囚愁
今回もよろしくお願いします。
~第二章 囚愁~
俺は今始めて他国の地を踏んでいる、ここはセルギア王国。
セルギア王国はアステリオス帝国の隣国で、周辺を砂漠に囲まれた国、領土はアステリの半分程度と授業で習ったような気がする。
何故、俺がここにいるかと言うと・・・・・
「ロイテル、ちょっとセルギアまで行ってきてくれる?」
「あぁ」
リシアは豪華な椅子に座り、机に書類を投げつけた。
「セルギアは今、内乱状態にあるのは知っているか?」
「ニュースでやってるからな」
「我が社は反政府側へ兵器を提供している、現状としては均衡状態だが政府側へハウンズを派遣するらしい。そうなれば均衡状態は崩れる、そこで反政府側から兵器の提供の依頼があった。それを届けるついでに、実戦データを取ってきてくれるか?」
「ロイテルさん、こちらへどうぞ」
俺はセルギアに入るや目隠しされどこかへ連れてこられた、そして今暗い部屋にいる。
「こんな小僧をよこしてMTCは何を考えている、まぁ兵器はたっぷりよこしたからいいだろう」
そこには数人の男と一人の女がいた、女は鋭い金色の目をしていた堂々とした風貌で俺を見下す。
「俺はただデータを取りに来ただけだ」
「好きにしろ、これから政府の施設を叩き行く。邪魔はするなよ」
戦いは一方的だった、政府軍の兵は弱かった?いや、反政府軍が強かったのかもしれない。
金色の目の女は兵を率いて突き進む、すべてを打ち倒し進んでいく。
「どうだい坊主、金色の女神様は美しいだろ?」
たぶん俺の監視役と思われる男は満足気に話かけてきた。
「ただの能力者だろ?」
男は驚いたような顔で俺を見ていた、そうだアステリオスの首都で育った俺は能力者がどこにでも居るように感じていたが、実際はなかなか出会えないものだったのだ。
そうしていると歓声が辺りに響きわたる、金色の目の女は中心に立って空へ剣を上げる。
セルギア王国 王宮内
「ハウンズの皆様、遠路はるばるお越し頂きありがとうございます」
セルギアの国王は頭を下げた、王の疲弊している姿や家臣の様子で国の状態は察することが出来た。
「同盟国としてお力を貸すのは当然です、我がアステリオスは決して援助を惜しまないと王女は申しておりました。」
少女と一人の女と三人の男が無言で席についている、誰も口を開こうとせず、視線も合わさらない、一人の少女とがため息と共に口を開く。
「隊長達に集まってもらったのは、セルギアへ行ってもらいたいからだ」
エスナ王女はハウンズの隊長達を呼び出した。
「第一小隊は行かないよ、今は色々やることがあるからね」
そう言って四季は部屋を出た。
「とりあえず、早期解決をセルギアの国王は望んでいる。セルギアはエネルギー資源の塊だ、ここで恩を売っておきたいしな」
「第二小隊が行く」
第三小隊の隊長は拍手をしているようだった、それを見たエスナはため息をついて第五小隊の隊長を見て言った。
「第五小隊はどうだ?」
細目の髪を結わいた男は辺りを見渡して言った。
「私達第五小隊は首都の警備が仕事です。それにこの様な化物と共に戦うのはごめんですよ」
リゼリは細目の男を睨みつけた、すると気だるそうに男が割って入った。
「第三小隊から数人派遣しますし、ちょうど再編した第四小隊の演習も兼ねて派遣してはいかがでしょう、姫様」
王女は勝手に出て行く女、いがみ合う二人、気だるそうな男を見てどこで間違えたのか考えた。
「分かった・・・・・、疲れたので皆下がっていいぞ・・・・」
「リゼリ君、ちょっといいかい」
部屋を出た所で第三小隊の桜家隊長に呼び止められた。
「何のようですか?」
桜家隊長は何を考えているか分からない人だ、実力はあるらしいのだが?いつも部下に任せきりで、戦っている姿を見たこともない。知っている事と言えば箱美芽隊長の同僚で、二人の仲が悪いことくらいか。
「いやね、セルギアの件だけどね。私はちょっと行けなさそうだから引率はお願いするよ」
やっぱりそうか、この人はもとから自分は行かないつもりであんな提案を・・・・。
「そうですか・・・・・」
「うちの部下を頼んだよ、あといろいろ気をつけてね」
桜家隊長は不思議な笑みを見せて、肩を叩いて立ち去った。
セルギア王国 反政府軍拠点
夜はいつも眠れない、最近は前よりは眠れるがそれでも常人ほどではないらしい。
いつも眠れない時は夜空を見上げていた、だから今日も夜空を見ようと部屋を抜け出した。
すると砂漠にたくさんの十字架と一人の女が見えた。
「何をしているんだ?」
「話しているのさ」
女は金色の目をしていた、しかし昼間の雰囲気とは違った。
「MTCの小僧か」
「誰と話しているんだ?」
金色の目をした女は悲しい目で砂漠に立つ十字架を見つめた。
「戦いで命を失った仲間達さ、今日のことを話していたのさ」
「死者は何も言わない」
女は十字架を優しく触って言った。
「そうかもな、君は能力者だろ何の為の力か考えたことはあるかい?」
「ないな」
「羨ましいな、私はこの国を変えようと剣を手にした。しかし何も変わらぬ、命だけが奪われるだけでな。私は何の為に戦っているのだろうな?」
「じゃあ戦わなければいい」
「もうやめられないさ、私の剣は命を吸いすぎた。ここに眠る者達もそれを許さぬ」
「そんなものなのか?」
女は急に笑い出した、俺は頭がおかしくなったのかと思った。
「面白い子だね、何だか私が馬鹿みたいに思えてきたよ。私はジャンヌだ、名前は?」
「ロイテル」
「ロイテル、私達は明日も政府の施設を叩く」
女は砂漠の土を手に取った、すると土は黄色の剣へと姿を変えた。
「錬金術さ、私はどんなものでも金に変えられる。一戦どうだい?」
「いいよ」
ロイテルはつばのない刀を手にした。
「気をつけてくれ、こいつはたぶん金でも切れる」
刀は蒼く光始める、少年は蒼い閃光と化す。
蒼い閃光は一瞬で距離を詰める、その一閃をジャンヌはかわす。
「高速移動とは驚いたよ、でも直線的すぎるよ」
ジャンヌは地面に手をつける、無数の金の鎖がロイテルを襲う。
「こいつは超振動ブレードいかなるものも切り裂く」
金の鎖を切り裂き、ジャンヌに向かう。ロイテルの視界を金の盾が遮る、それを切り裂く。空に舞った砂が無数の金の槍に変わり降り注ぐ・・・・
セルギア王国 王宮内
大きな会議室のような所にハウンズ部隊は集まっていた。
「明日反政府軍は収容所を襲撃すると情報が入った。我々としては早急に反乱軍を鎮圧したいと考えている」
眼鏡をかけたリゼリは書類を片手に説明を続ける。
「ここで反政府軍の詳細を説明する、指導者はジャンヌ・セルギア。セルギア王国の第三王女だ、反政府軍は王女と元政府軍を中心とした組織だ。王女はAクラス以上の能力者、それ以外にもBクラス以上の能力者が4人いる。国王は王女の拘束を望んでいる、それ以外の者の生死は問わないそうだ・・・・・」
派遣されたのはハウンズ第二小隊と第三小隊から2名と第四小隊の合計10名の能力者と多くの兵士が派遣されていた。
「明日の作戦は第四小隊隊長から説明される」
長い紫の髪をなびかせ女は立ち上がった、多くの兵が彼女を見つめた。
「ある意味始めましてね、第四小隊隊長ヴァイオレット・サーヅよ。これからは仲間として一緒に戦いましょうね」
~つづく~
最後まで読んでいただきありがとうございます。
なかなか続きを投稿出来ずすいません、当初の予定を大変遅れております。
目標を下方修正します、三月中に二章完結(汗)
よろしければ次回もよろしくお願いします!!!
今週末にでも投稿できるといいなあ・・・・