第一章 March on the sidelines
今回もよろしくおねがいします!!
~第一章 March on the sidelines Ⅰ~
PM8:00 第五区 式典会場ステージ
開演を告げる花火と共に現れる王女達、様々な能力が使われる美しい演出。
その美しい光景に観客もリゼ達も心を奪われた。
その時会場に響く悲鳴と爆音、そして会場付近で上がる爆煙・・・・・・
ユウはすぐに悲鳴のもとへ転移した、観客達の中に転がる血まみれの兵士。
「いった何が?」
「空から急に降ってきて・・・・」
その時、ユウは後ろから恐怖を感じた。
「お前は強いのか?」
ユウに激痛が走る、左腕が砕けた、数メートル吹き飛ばされ相手を確認した。
そこには野獣がいた、人の形をした獣がいる。見た目は少し大柄な男だ、しかし何かが決定的に違うのだ人間と、彼の纏う雰囲気はまるで獣。
「とっさに身を引いたか、一撃で終わっては面白くない」
ユウは体を引いたのではない、本能的に体が動いただけだった。
体が危険を告げている、今すぐにどこかへ転移することを・・・
「不意打ちとは卑怯だね、でもオレに触れられるのはさっきのが最初で最後さっ、子犬ちゃん」
「面白い、貴様の能力は空間転移だろ逃げるなよ」
「逃げるって誰からさ?子犬ちゃん」
王女はもっとも冷静だった。
「皆さん落ち着いてください、すぐに安全な所へ避難できます。」
「お姫様、ステージから降りてください。すぐ空間転移者達が安全なところへ・・」
「私より観客達を早く転移させなさい!」
「しかし、お姫様にもし何かあっては・・・」
王女はヅバイに笑顔で言った。
「私にはあなた達がいるわ」
ヅバイはマントを翻し命令する。
「空間転移者達はすぐに観客を安全な所へ、騎兵隊はすぐに事態の収拾を行なえ、我ら王族警護隊クラウン・ナイツの力を見せてやれ」
「ユウ、かわせ」
リゼは迷うことなく対物ライフルを放つ、野獣はそれを手でなぎ払いリゼに向かう。
「獣風情が調子にのるなよ、召喚マシンガンPDW」
野獣は腕で弾丸を弾き、真っ直ぐリゼに迫る。
「化物が、召喚鉄壁」
リゼの前に鉄の壁が現れる、しかし野獣はそれを軽く壊しリゼに近づく。
「忘れてもらっちゃ困るな、子犬ちゃん」
ユウが現れリゼと共に姿を消す、その間にリゼは野獣に手榴弾を投げつける。
爆発が野獣を包む。
爆発は確かに野獣を傷つけた、しかしすでに野獣の傷は癒え始めている。
「今のは効いたな、服がボロボロだ」
その時、野獣の手足を次々に弾丸が貫く。
「ルイ、死なない程度にもう少し撃ち込んでやれ」
「了解」
弾丸が次々と撃ち込まれ動きを封じる。
「卑怯だぞ貴様ら・・・・」
「卑怯?獣風情が頭を使え、相手をしてもらっただけ嬉しく思え」
野獣がリゼに手を伸ばす、その手を弾丸が打ち抜く。
「仲間を傷つけられて、うちのスナイパーはご立腹だ、召喚バズーカ」
リゼが砲門を向けていった。
「暫らく寝ていろ」
「空に龍がいる」「あれも演出?」「赤と青の龍だ」
観客達から聞こえる声で王女とヅバイは空を見上げた。
そこには確かに二頭の龍がいる、そしてそれらは演出でないことを二人は知っている。
「ヅバイ?あんな演出ありました?」
「私は存じておりません。」
そして、空に無数の明かりが灯る。
赤い目をした少女と青い目をした青年は龍にまたがり、会場を見下す。
「さあ私達の力を見せてあげるわ!!」
「僕達でパーティーを盛り上げてあげよう」
「観客の転移はまだなのか?」
ヅバイは部下に強く尋ねた。
「申し訳ございません隊長、人数が多いもので今しばらく」
王女はマイクを取って叫んだ。
「リゼー!! 上を見てぇー!!!!」
野獣を眠らせたリゼに声が届く。
「こんなに堂々と」
リゼは少し赤くなりながら空を見た、そしてすぐにジュラルの名を呼んだ。
「ジュラル、すぐに空に障壁を張れ」
通信機から返事は返ってこない、返ってきたのは女の声だった。
「ごめんね隊長さん、今ジュラルくんは私が借りてるのよ・・・」
声の後ろから聞こえる音で、近くにいることが分かった。
リゼは話ながら辺りを見渡す、そして赤い髪の女とジュラルを見つけ女に向けて発砲した。
しかし、弾丸は障壁に阻まれた。
「いきなり撃つなんてもう」
「貴様、支配者だな」
「大当たりよ、でもあたしはここで面白い見世物があるから見に来ただけよ」
「ならジュラルをすぐに開放しろ」
「イヤよ、これでも私は有名なのよ。捕まらないように保険よ」
リゼは少し考え言った。
「そいつに価値はない、だが貴様がそいつに障壁を張らせたら今回は見逃す」
その時、無数の炎が地面に近づき始めた。
「わかったわ、ジュラル」
無数の炎が見えない壁に阻まれ、空に炎の海が出来た・・・・
「ルイ、もし一瞬でも障壁が取れたらあの赤髪のアバズレの頭を打ちぬけ」
「了解」
「あとジュラルも死なない程度に打て」
「りょ、本気ですか?」
「本気だ」
「・・・・・・・・・」
~つづく~
最後まで読んでいただきありがとうございます!!!
ぎりぎり24時間以内はできませんでしたすいません。
次回は今週中にでも投稿できたらいいかなぁ。