ゆいこのトライアングルレッスンD〜ひろしと登山〜
『ゆいこのトライアングルレッスンD』に投稿したものです!
毎日レッスン!3日目٩( 'ω' )و
「ちょっと待ってよ、ひろしー!」
読書熱が熱く、最近は部屋にこもりがちのわたしを、ひろしが連れだした先は、まさかの山だった!?
「えっー? 登山!?」
正直、ここまでハードなデートが用意されているとは聞いていない。
遊びに行けると、ウキウキしてたのに、まさかこんなにしんどいなんて……。
「ほら、行くぞ!」
ひろしが、わたしに手を伸ばす。
わたしはひろしに引っ張られるように山道を進んだ。
「ひろしー、もう歩けないよー」
「ほらほら、ちゃんと結ばないから。靴紐ほどけかけてる!」
ひろしは、手のかかる子供のように、わたしの靴紐を締め直した。
みっともないなぁ、わたし。
ここに、たくみがいたら、どんな言葉をかけてくれるんだろう。
さらりと荷物を持ってくれたりするのかな。
って、わたしったら、なんで今たくみのこと……!
「あと少しで、山頂だぞ?」
「う、うん……」
「ったく、ゆいこはしょうがないなぁ」
ひろしは背負っていたリュックを前にやると、そのあいた背中をわたしに見せた。
「えっ!?」
「もう、歩けないんだろ?」
「そ、そうだけど!!」
「ほら、乗れよ!」
「いや、でも……」
「俺は、ゆいこに山頂からの絶景を見せたいんだよ」
「ひろし……」
わたしはひろしにおぶられ、その体温を体で感じた。
いつぶりだろう、この背中。昔、塾の帰りにおんぶしてくれたこともあったっけ。
たくましい大人の背中に、わたしは顔をうずめた。
山頂に着いた。
想像以上に素敵な景色がわたし達を出迎えてくれた。
「すごーい!」
「だろ?」
「ヤッホー!」
叫ぶと、やまびこが返ってきた。
「わーー! ねえ、ひろしもやろうよ!」
「ったく、山頂に着いたら、すっかり元気になって」
「へへっ」
「来てよかったろ?」
「うん!」
「大好きだーー!」
突然、ひろしが山に向かって叫んだ。
山頂に愛のやまびこが響いた。
「へっ……?」
「山っていいもんだな」
ひろしはわたしを見て微笑んだ。
山が好き……なのかな……?
わたしはドキドキして、ひろしの真意を探れなかった。
× × ×
「ゆいこ、この前ひろしと山行ったんだって?」
「うん」
たくみが話しかけてきた。
「もしや、告られた?」
「へっ!? まさか……」
え? でもあのやまびこって……
「あれ? あながち間違いじゃなさそう?」
たくみがわたしの顔を覗き込む。
「いやいやいや、そんなんじゃ!」
「俺もゆいこが好きだぜ? 覚悟しとけよ!」
「……たくみ?」
たくみの笑みと共に、わたしの頭の中には、ひろしの『大好きだ』が、こだました。
明日は、たくみと幸せの鐘をお届けします!
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