第一章 side G
君の瞳に吸い込まれた。
その顔からは想像できないような、地獄に堕ちて、天国に行くことができないと分かっていてもなお、上を目指す意志を貫きとおそうとするでも何処か深い闇を抱えてるそんな目に惹かれた。
それからSNSで君の事を調べさらに惹かれていった。
しかし、そのうちに君のことが好きなファンの人たちが沢山お金を使って愛してるなんて君には届かないであろう言葉を投げかけているのをみて心のどこかで軽蔑した。
やっぱり私には合わないと思い、君のことについて呟いた投稿を削除した。
次の日学校でいつも話している子達のところへ行き、いつものように、「おはよー」というといつも通り挨拶を返してくれると思っていたが、その中の1人が私を見た瞬間飛びかかり、彼女が好きないわゆる"推し”について語り始めた。
彼女は、いつもそうだ。そう感じたとき、昨日の出来事を思い出した。
ファンの人達は、みんなこの子のようにキラキラした目をしているのか。毎日推しのことを考えては一喜一憂しているのであろうか。そんな日常が続けば、人生は充実するのではないだろうか。
そして、急に興味が沸いてきてしまい授業中でありながら先生の目を盗んで君の事を検索した。
それから私の毎日は変わっていった。
君のことを毎日夢中になって調べたり、君の真似を1人でこそっとしたりしてみた。
ファンクラブにも母に内緒で入会したし、ライブにもいった。
だが、彼女のように君について話すのは、推しができたことを恥ずかしくて誰にも言えず内緒にしていたため彼女が推しの話をする度にもどかしい気持ちになった。
推しへ貢ぐお金は、あっという間にそこを尽きるものだ。
今まで小学生の頃に貯めていたお金でまかなっていたのが奇跡なぐらいだった。
それから、バイトを始めたバイト禁止の学校だったが、学校から離れたところならバレないだろうと、コンビニでバイトを始めた。
それから、お付き合いしていた人とも別れた。
私は、中学1年の時に父が浮気したのが原因で、親が離婚し今は母子家庭で母は、顔の良さもあってか色んな男の家に住み着いている。そんな家庭環境からか私は、人を愛するというのがあまり分からない。しかし、それがおかしいこともわかっていた。だから愛をわかっているかのように周りにふるまったし、付き合ってと言われたからその人とも付き合った。だから、恋人同士がするようなことはやった。
それでも、私にはその人の気持ちが分からなかった。
でも、今は違う。君のおかげで私は人を愛おしく思う気持ちが少し芽生えた気がした。
そして、泣き喚くその人のもとをスッキリした気持ちで立ち去った。