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プロローグ
彼女は何もかも普通で人より優れているところも劣っているところも特に思いつかない。
そんな彼女もついに高校生になり、彼氏と放課後デートをする妄想なんか友達と語り合ったりしていた。
ある蝉の鳴り響く日、特番の音楽番組を見たことによって彼女の人生は一変した。
彼女は元々、流行りの男性アイドルなどにあまり興味がなく、見てもイケメンだなくらいしか思わなかった。
そんな時だった、パッと目に映ったその人に引き込まれたのは。
彼は、某アイドル事務所所属の30代後半の独身男性だった。
世間一般から見れば彼はアイドルの中で特に顔がいいわけでもなく、特にダンスや歌が上手いわけでもないのだ。
しかし、彼女はそんな彼に魅了された。
そんな彼女に想いを馳せて私はこの手紙を書こうと思う。