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10/17

10 決着






 四肢を骨折した西村が気を失ってから数分後。


 イチは放送室の角で倒れた備品の山をどかしていき、埋まっている日暮を顔が見える程度に掘り起こした。口元に手を近づけ、わずかに呼吸していることを確認する。


 その後、イチは部屋全体をぐるりと見回した。


「……静かだ」


 先ほどまで恐ろしい騒ぎがあったことが嘘のようだ。

 聞こえるのは外のどしゃ降りの雨音だけだ。


 今この場にいる人間の中で立っているのは、イチのみ。


 西村グループの4人は失神して倒れている。


 白目をむいて仰向けに倒れる、丸ノ内竜(まるのうちりゅう)の丸い巨体。

 備品類の山から頭だけ出した、日暮慎二(ひぐれしんじ)のそばかす顔。

 最初に倒されてから動かない、寺内洋介(てらうちようすけ)のクマつきの目。

 そして、四肢があらぬ方向に折れた、西村唯(にしむらゆい)のカチューシャ無しの姿。


 今日で見納めだと思うと、なんだか感慨深い。せいせいする。




 ところで西村グループに加担した狩村先生についてだが、気絶している彼にイチは手を出さないことにした。


 あくまでいじめの元凶は西村グループだ。4人の身勝手に振り回された先生もある意味、被害者と言える。


 別にイチは狩村先生を憎んでいないわけではない。

 教師でありながらいじめられっ子の綾香を見捨てたあげく、いじめ被害者を生贄呼ばわりした先生の所業は許しがたい。

 だが、殺意の域に届くほどの憎しみではないのだ。




 弓田は、倒れたまま目を閉じている。


「……そういえば、狩村先生が言ってたな」


 西村が綾香の左眼を刺す前のことだ。

 狩村先生がイチを拘束しながら話していた事の中に、こんな内容があった。


『電話が留守電だったこと、弓田に俺と西村の会話を聞かれたこと。誤算が2つもあっては、さすがに計画の中止も考えたよ』


 ――弓田に俺と西村の会話を聞かれたこと。


「……弓田は、狩村先生と西村が手を組んだ経緯を知っているのか?」


 だとすれば、イチの放送室行きを弓田が止めようとしたのに説明がつく。

 おそらく弓田はイチの身に危険が迫っている事を知っていたのだろう。


 少なくとも、狩村先生と西村の間で交わされたなんらかの重要な会話を、弓田が聞いたことは間違いないはずだ。


「……弓田には、悪い事したな」


 思えば、今日はいろいろ弓田に酷いことを言って傷つけてしまった。

 あとでちゃんと謝ろう――密かに、イチは決意した。




 綾香は眼球を失った左目を両手で庇い、しゃがみこんだまま動かない。


「綾香……立てるか?」


「…………」


 イチの声かけにも綾香は返事を返せない。茫然自失だ。


 無理もない。この場で起こった事がよほどショックだったのだろう。


 全ての決着を着けた後で救急車を呼ぶことを決意し、イチは思考を本題に戻す。




 さて、ここで問題だ。


『どうやって西村グループの4人にとどめを刺せばいいか?』




「まず……部外者の大人に事情を話すのはダメだ」


 今回の狩村先生の奇行はあくまで例外であって、本来なら大人は子供を守るものだ。


 よってこの件を大人に話したが最後、綺麗事に満ちた言い訳をして、西村グループ4人が大人に守られる未来が目に見えている。


 西村たち4人にふさわしい結末は、死あるのみ。それ以外の甘ったれたエンディングを、イチは断じて認めない。


 ゆえに以降の考察から「大人への相談」は除外。

 論ずる価値無し。




「次に、西村のカッターナイフで喉を切り裂くのは……」


 頸動脈まで傷を届かせて、出血多量によって人の命を奪うことは可能だ。

 今のイチの怪力なら簡単に4人の喉をぶった斬ることができる。


「……いや、駄目か。物的証拠が残ってしまうな……」


 今のイチは手袋を持っていない。よって、カッターナイフを使えば指紋が残る。


 そうなれば、科学捜査を駆使する日ノ本(ヒノモト)国の優秀な警察はたやすくイチを逮捕することができるだろう。


 よって「カッターナイフによる頸動脈切断」作戦は優先度を低く見積もる。あくまで最後の手段としてのみ、採用とする。




 最悪の場合、イチは4人分の殺人の罪を背負う覚悟だ。


 だが、西村たちのせいで警察に捕まるのはバカバカしい。

 そうならないための手段に心当たりがある以上、イチは無策でいる気は無い。


 イチは日暮が落としたマイクを拾い、握り締めて力を込める。


「……日暮を殴り飛ばした時と同じように、あの赤いスパークを……!」


 あの時、イチは体勢を崩して隙だらけとなった日暮の頭を狙った。

 言い方を変えれば、殺意を日暮の頭に一点集中させていた。


 当時の心境を再現すれば、同じ爆発(スパーク)現象を起こせるだろうか。


「――――ッ」


 イチはマイクを見ながら殺意、と呼べるかは怪しいが、強い思念を込めてみた。

 すると。


 ――バチィッ!!


 鋭い音と共に、赤い爆発(スパーク)が発生。

 マイクは火花を散らしてバラバラに破壊された。


「よし……できた」


 さすがに日暮の時より規模は劣るものの、再現実験の成功にイチは会心の意を示す。




 イチが発生させた謎の赤い爆発(スパーク)の力。

 これこそが、西村グループを殺しても警察の厄介にならない、イチの勝算だ。


 たった今試した通り、この赤い爆発(スパーク)()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、暴発限定ではなく()()()()()()()()()()()()()()()()である。


 暴発でなく任意でこの破壊力を使えるなら――西村たちの人体を破壊するのにも、赤い爆発(スパーク)の力を使うことができるだろう。


「……赤い爆発(スパーク)の力じゃ、呼びにくいな。仮に赤電(セキデン)とでも名付けよう」




 赤電(セキデン)と名付けた理由は、色が赤であることと、発動時の閃光が格闘ゲームに出てくる電撃エフェクトに似ていたからだ。


 イチがよく遊ぶ格ゲーの持ちキャラは電気を操る聖騎士である。


 閑話休題。




 イチは今に至るまで、できるだけ赤電(セキデン)の使用を抑えていた。


 赤電(セキデン)を扱うノウハウが無いことを不安要素として捉えていたからだ。


 狩村先生の拘束を脱出した時と、日暮を殴って吹っ飛ばした時に、イチは赤電(セキデン)によるスパーク現象を引き起こした。

 だがあれらはあくまで、意図しない暴発によるものだ。制御の利かない能力を実戦で使う気にはなれない。


 幸い、イチは格闘戦だけでも西村グループを圧倒していた。おかげで戦闘は長引かず、ダメージの蓄積による体力の不利を突かれる前に決着がついた。




 そして、今。


 西村たちを失神させた今の状況なら、何の憂いも無く赤電(セキデン)を試せる。


 いくらこの力が未知でも、相手が無抵抗なら当てるのはたやすい。

 至近距離で撃つなり、繰り返し撃つなり、当てるための工夫がいくらでもできるからだ。




 もう1つ有利な点として、イチは警察に赤電(セキデン)を用いた殺人を立証する力は無いと踏んだ。


 超能力めいた未知の力による殺人の遺体が、法医学上まともなものになるとは考え難い。

 殺害の手段を証明できないなら、警察はこの件を立件することはできない。


 なにより、この場に居る人間は狩村先生を除けば()()()()全員小学生だ。

 大人と子供の力の差を普通に考えれば、警察が犯人として一番疑う人間は狩村先生になるだろう。イチではない。




 以上のアドバンテージが上手く噛み合えば。


 イチは殺人罪に問われるリスクを背負うことなく、今まで散々イチと綾香を苦しめ続けてきた西村グループを、いともたやすく()()()できるということになる。






「……殺処分」


 その言葉が頭に浮かんだ瞬間。


 ゾクリと、妖しい恍惚がイチの全身を包み込んだ。






 禁断の果実を目前にした気分、とでも言うべきか。


 気に入らない人間を、

 抵抗を一切許さず、

 圧倒的な力で、

 殺人の罪に一切問われることなく、

 殺す。


「人類の夢……というにはさすがに悪趣味か」


 だが、実現が限りなく不可能に近い強烈な願望という意味では、近いものがある。


 法というトラップで雁字搦めに守られた、殺人という名の禁断の果実。

 赤電(セキデン)は、その秘宝を手に入れる鍵と成り得る力だ。


 凄まじい背徳感に包み込まれながら、イチは自問する。




「ここで赤電(セキデン)を使って西村たちを殺したら、オレはこの先どうなる……?」




 罪悪感の悪夢に苛まれるか。

 調子に乗って憎い人を片っ端から殺すシリアルキラーになるか。

 それとも自分が悪と見なした人間を処刑する独善者になるか。

 あるいは何事もなかったかのように善人面して普通に生きるか。


 どんなルートを辿るにせよ、まず間違いなく、人を殺す前の真っ当な人間性は失われるだろう。


「……だからなんだって話だ。西村たちを殺さない選択は、万に一つも無い」


 綾香を苦しめ続けた挙句、ついには左目を奪った4人。

 たとえ法が許しても、イチは許す気など無い。




 こいつらは。


 西村唯(にしむらゆい)は、丸ノ内竜(まるのうちりゅう)は、日暮慎二(ひぐれしんじ)は、寺内洋介(てらうちようすけ)は。


 今この時をもって、永遠に終わらせる。




 最初の処分対象は、西村唯(にしむらゆい)だ。


 右手を開閉して、殺意を研ぎ澄ませてから。


 イチは失神している西村に向かって、一歩を踏み出した。






 いや――踏み出せなかった。


 後ろからなにかに引っ張られたからだ。


 イチは振り返り、背後を確認する。






「……イチ君……やめて……!!」


 意識を取り戻した弓田美優(ゆみだみゆ)が、イチの右腕に縋りついていた。






「やめるわけないだろ」


 イチは即答した。


 頭部から血を流す弓田の顔つきが異様な気迫を放っていることも。

 西村のカチューシャと違って、彼女の一番の特徴(ポニーテール)は無事で痛快なことも。

 まっすぐに見つめてくる眩しい瞳が、今は心に刺さってきて苦しいことも。


 全部が全部、イチにはどうでもいい事だ。

 そんな事にかまっている場合では無い。


 複雑な弓田の現状に対し、イチの想いは極めてシンプル。

 2文字で説明がつく。




「『邪魔』だ!!」




 弓田が抱きしめる右腕を、イチは力任せに振り払った。


 弓田はイチに放り飛ばされ、部屋の壁に背中を激突させる!


「あぐっ……!」


「ッ! しまった!」


 衝動的に弓田を傷つけた失態をイチは強く恥じる。


 今のイチは身体能力が普段以上に発揮されていることを、西村たちとの戦いで自覚しておくべきなのに。


「……今すぐ帰れ、弓田美優(ゆみだみゆ)! これ以上ここにいたら安全は保障できないぞ!!」


 殺意で暴走しそうな感情をギリギリで抑えながら、イチは言葉を投げた。


 自分の理性が残っているうちに、さっさと消えてほしい。

 知らない仲でない弓田に、これから起こす惨劇を見せたくない。

 狩村先生の攻撃から庇ってくれた恩を、仇で返したくない。


 これらのイチの願いは、無情にも弓田には届かない。

 彼女は体をよろつかせながらも立ち上がった。逃げない。


 イチと弓田の目が合う。

 視線が絡み合う。


「ダメだよイチ君……。今あたしが帰ったら、イチ君は(ゆい)ちーを……西村さんたちを、殺す、つもりでしょ?」


「他になにがある? オレだけならまだしも、綾香にここまで惨い真似をしたこいつらを許す道理は無い」


「……それでも、殺すのはだめだよ。()()()()人殺しになっちゃう。そんなの嫌だよ!!」


「覚悟の上だ。オレ一人の罪で西村たちが消えるなら、安いもんだ」


「ッ……!」


 即答につぐ即答。

 イチは弓田の善意の一切を切り捨てる。


 西村グループの4人を殺す。

 それ以外の結論を認める気など、無い。


「イチ君、人は死んだら、生き返らないんだよ。取り返しがつかないんだよ」


 ふいに、諭すような口調に変わった弓田の発言。


「この先、西村さんたちが自分のしたことを謝ることも、後悔したり反省したりすることも、出来なくなっちゃうんだよ。それでも――」


「綺麗事はやめろ!!」


「――っ!?」


 ぶち切れたイチに、不意を突かれた弓田は身をすくめた。


「謝る? 後悔? 反省? 冗談じゃない!! あいつらにそんなものがあるなら、今頃こんな事態になってない!!」


 命の尊さを盾にとった、まるで()()()()()()のような弓田の口ぶりに、かろうじて抑えこめていたイチの怒りは爆発した。


「5年前のオレへのいじめの時。似たような甘い考えで、オレは出席停止になった西村たちにこれ以上手を出さなかった。その結果が、この横暴だぞ!」


 腕を振り払い、綾香を手で指し示す。


「綾香の左目は、もう帰ってこないんだぞ!!」


 眼球ド真ん中にカッターナイフが刺さり、眼球そのものも踏み潰された。

 もはや、綾香の左目に光を宿らせることは不可能だろう。永久に。


「しかも、これは初犯じゃない!! こいつらはオレへのいじめからなにひとつ反省せず、標的を綾香に変えて5年間いじめを続け! 極めつけに、オレへの嫌がらせというふざけた理由で綾香の左目を奪ったんだ!」


 今まで積もり積もった鬱屈を、イチは言葉にして吐き出す。


「生かしておく理由なんざ、どこにもない!!」


 もういい加減、イチはうんざりしていた。


 子供のしたことだからと。

 反省して二度としないからと。


 西村唯(にしむらゆい)を、丸ノ内竜(まるのうちりゅう)を、日暮慎二(ひぐれしんじ)を、寺内洋介(てらうちようすけ)を。


 心持たざる魔物と化した4人を、かばい立てする理屈全てが不愉快だった。


 いいかげん、付き合いきれない。

 殺して、なにもかも終わりにしたい。


 そんなドス黒い感情を(まき)にくべるように、イチは威圧感を無尽蔵に増していく。


「んぅっ……!」


 弓田は体がすくみあがりながらも、イチから目を逸らそうとはしない。


 栗色の瞳は、イチが殺人者になる結末を認めない意志に光る。






 ――絶対に殺す。


 ――絶対に殺させない。


 絡み合う視線の中で二人の精神がせめぎ合い、ぶつかり合う。


 互いが互いのみを見て、落としどころの分からない緊張が続くと――






 ふいに。


 サクッ、という微音と共に。


 両者とも同時に、緊張が途切れた。






 サクッ、サクッ。


 また微音だ。それも2回。


 この音に聞き覚えがあるような気がして、イチは眉をひそめる。




 ふと、イチは弓田の視点に変化があることに気づいた。


 目の前のイチを見ていない。


 どちらかと言うと、イチの背後の光景を見てるような――




「――!!?」


 とんでもないものが目に映り、イチは驚愕のあまり硬直する。


 弓田の後ろの、放送室の出入り口の扉。


 狩村先生が寄りかかって失神している。


 いや。




「――()()()()()?」




 狩村先生の喉からは、おびただしい量の血液が蛇口から出る水のごとく垂れ流しになっていた。


 どう考えても致死量を超える出血だ。


 赤みの無くなった肌からも、生気が全く感じられない。


 一体誰が――






 サクッ、サクッ、ザクッ、ザクッ。






 また、聞き覚えのある微音。


「待てよ。この音……」


 西村が綾香の左目を刺した時の音に似ている。


 肉体をカッターナイフでえぐる時の音だ。


 西村の持つカッターナイフはイチが持ち手を蹴り飛ばした後、床に落ちてそのまま放置されたはず。


 つまり今の微音は、室内の誰かがそのカッターを拾って、誰かを何度も突き刺している音ということになる。


 そこまでイチの考えが及んだ、直後。


「イチ君……後ろ……!」


 震える指で、弓田はイチの背後を指し示した。


 つられてイチは振り返る。






 ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ。


 カッターナイフの音が歪なリズムを刻む中、イチは見た。


 この部屋で死んでいるのは、死に瀕しているのは、狩村先生だけではなかった。


 今回の主犯、いじめのグループのリーダー、西村唯(にしむらゆい)

 彼女の喉が、何度も何度も、カッターナイフに(えぐ)られる。


 肉をえぐる刃。

 飛び散る鮮血。

 生気を失っていく肌。


 いつもの一番の特徴(カチューシャ)をつけていない短髪の少女の容姿が朽ちていく。


 西村唯(にしむらゆい)が、死んでいく。


 イチは視点を上に上げる。

 すると、もう一人の少女が眼を捉えた。






 長い黒髪に覆われた麗しい風貌が、血で汚れる。

 雪見大福のような白い肌も、血で汚れる。


 一度覚えたら忘れようのない――V字の前髪。

 血で汚れる。






「………………あ、や、か?」


 イチは無意識に声を出した。


 綾香は右眼を開け、眼球を失った左眼を閉じている。


 右眼から透明の涙を、左眼から赤い涙を。


 そして、西村の首に振り下ろされる右手には――カッターナイフが握られている。






 黒木綾香(くろきあやか)が四肢の折れた西村唯(にしむらゆい)に馬乗りになって、彼女の喉に何度もカッターナイフを刺している。


 綾香が、西村を刺している。


 刺している。






「あはっ」


 綾香の声だ。


「はははっ、はははは」


 笑い声だ。


 とても楽しそうな、嬉しそうな、笑い声。


「あははは、あはははははは!」


 イチが今まで一度も聞いたことの無い、綾香の哄笑。


 惨劇の場に合うはずもない、歓喜の感情の大波。


「あはははははははは!!」


 眼前に広がる悪夢のような光景に、イチは悟った。

 認めざるを得なかった。


 現時点をもって、今までイチが知っていた黒木綾香(くろきあやか)という人格は、完全に壊れてしまったのだ――と。






 直後。


「――あ」


 イチの全身から、一気に力が抜ける。


 限界を超えて張り詰めた緊張の糸がプツンと切れ、思考が真っ白な空白に埋め尽くされる。


 膝からゆっくりとくずれ、あおむけに倒れ、顎が地面にぶつかる。痛い。


 綾香が狂喜しながら西村を刺す光景のショックは、イチに蓄積されていた疲労を爆発させた。




「――――」


 何も考えられない。


 我慢できる威力を遥かに超える眠気に包まれながら、イチは無力感を全身で味わう。


 瞼が閉じていき、視界が狭まっていく。


「あはははははははははははははははは!!!」


 意識が途絶える最後の瞬間にイチが見たものは、淀んだ室内に舞い散る鮮血の輝きだった。


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