力
「メガスライムってなんだ?」
まだ避難をしていない村人の青年に聞く。
「メガスライムっていうのは
スライムの進化形態です。
メガスライムの恐ろしさはあの大きさが
硬化して突進してくることと
草食から雑食に変わり人間を食べます!」
「まじでっ!?」
メガスライムの方に目をやると
食欲旺盛で周りの建物や倒したスライムまで
すべて取り込んでいる。
このまま逃げても動きも速いし誰かが戦わないと
追いつかれるっ……。
足の裏にメガスライムが跳ねた振動で揺れる地面を感じる。
怖い……、だけどまともな武器を持っているのは俺だけだ…。
「先逃げてろ…」
「まさかっ、戦うつもりですか!?
無茶です!!」
「ここで誰かが戦わないと
全員喰われるだけだ…、だったら俺は戦う!!」
青年は逃げて行った。それでいいんだ。
背負っている槌を取り構える。
目をつぶり深呼吸をし心を落ち着かせる。
メガスライムがほんの六メートル先にいる。
そして俺を確実に狙っている。
覚悟はもうできている…。
槌を強く握り直した。
「行くぞっ!!!!」
俺はメガスライムに飛びかかった。
渾身の力を振り絞り核を狙い槌を振り下ろした。
しかし、弾力性のある身体が攻撃の威力を分散し
弾かれる。
「くそっ」
一旦間合いを取るため後ろに飛び、距離をとった。
「…!?」
スライムと何回も戦い習性を理解していた。
スライムが急に動かなくなり身体を縮ませているとき
それは突進の合図。
「まさかこの距離を……!?」
巨体が勢いよく飛んできた。
俺の頭には一瞬車にひかれるような感覚がした。
「やばいっ…」
よける暇がないため
槌の柄の両端を持ち突進をなんとか受け止めた。
腕が痺れとてつもない強さの風圧に襲われた。
そして受け止めることはできたが
弾力性のある身体は反発の力を起こし
俺は吹き飛ばされ民家の壁に背中から勢いよくぶつかり
壁は壊れ民家中に身体が放り込まれた。