冤罪
「あっあれは…」
湖から歩いて十分ほどして
視界に映ったものに俺は感動をした。
「村だ!!」
やっとだ、やっと人に会える。
前の世界では嫌というほど人がいたのに
この世界では全然出会わないから本当に心細かった。
村は一メートルぐらいの高さの柵に囲まれてあった。
遠くから見たときには柵の中に畑や牧場、
民家らしきものが見えていた。
「どこから入るんだ…?
たぶん柵超えて村に入ったらダメだよな」
柵を飛び越えたら不法侵入になりそうだ。
どこかに門みたいなのがあると思うんだけど。
ここからじゃよく分からない。
「お前そこで何をしてるんだ?」
門はないかと柵の近くで探していたら
村の中から声をかけられた。
声の主に目をやるとスキンヘッドの50歳ぐらいの
おじさんが立っていた。
おじさんはなかなかの筋肉質で身長が二メートルぐらいある。
見た目ヤクザ。
「この村のかたですか?」
「そうだ、お前は泥棒だろ」
「はい?」
いきなりの「泥棒」という言葉に一瞬聞き間違いでも
したのかと思った。
「それとも盗賊か?最近村の畑を荒らしてるのはてめぇだな!!」
「え~!?、そんな…俺ここに初めて来たばかりです!」
「とりあえずついてこい!!」
ここで逃げたら確実に俺のことをこれから泥棒か盗賊という
勘違いをされるだろう…それは勘弁してくれ。
「はあ…分かりました、どこから村に入ればいいんですか?」
「どこからっていつもみたいに入ってこいよ」
「そのいつもが分からないんですよ…」
「じゃあ門はあるがめんどくせぇから柵越えてこい」
念願の村に入ることができたが
最悪のパターンだ。