油断大敵
「ここどうなってんだ…?」
しばらく歩いたが景色は変わらないし
生き物と遭遇しない。
あるのは草原でときどき木があるぐらい。
「一回休憩するか…」
近くにあった木の下に行き影に入る。
暑いというわけではないが
影の方がいい感じの涼しい風が吹き気持ちがよい。
重たいから槌を下ろし木にもたれさす。
そして俺は寝転ぶ。
「まさかの早速道に迷っちまったのか…」
今さら反対方向に向かって歩いてもだいぶ時間がかかるので
やる気がでない。
「てか槌が重いから余計疲れる、
戦いでちゃんと使えるのかな…」
そう言いながら俺は起き上がって槌を持つ。
三キロは余裕で持つことができるが振り回し続けれるだろうか。
「この木で試してみようかな」
槌を両手で持ち横に大きく助走をつけ
木に思いっ切り打ちつけた。
物と物がぶつかる激しい音がした。
少し地面が揺れ木の葉っぱがパラパラと落ちてくる。
「思ったより威力あるな」
木の叩いた部分が地面がスコップで掘られたように
へこんでいた。凹の横バージョンみたいに。
「結構葉っぱ落ちてくるな…んっ?」
葉っぱが大量に落ちてくるため上を見ると
何か水色のようなものがある。
「なんだあれ…あっ?」
水色のようなものが落ちてきた。
「んぐっ!?」
顔面に直撃したあと跳ねて地面に落ちる。
顔に直撃したがまったく痛くない。
むしろ気持ち良かった。
「なんだこれ…あっ!」
水色でぷにぷにしている丸いもの。
よく見ると目のようなものがついている。
それに動いた。
間違いない…これは…こいつは…
「スライムだ!」
「ぷにぷに?」
なんという可愛らしい鳴き声。
だが油断してはならない…。
スライムはゲームによって強さが大きく変わってくる。
最初の初級モンスターから上級モンスターまで
幅広い。
「……でもこいつは弱そうだな…」
今もツンツンしているが反応がない。
「かわいいな~」
そう言ってまたツンツンしていると
スライムが俺の方を向く。
「目も点だなこいつは」
さきほど俺は油断してはならないと言ったが
言った本人が完璧に油断した。
スライムは俺の腹をめがけ突進してきた。
「っ!?」
さっきまでの柔らかさはなく
シュートしたサッカーボールを腹で受け止めた感覚に
襲われた。
「いっ…いてぇ…」
「ぷにぷに~」
可愛い鳴き声を上げながら
跳ねながらスライムは逃げていく。
「待て、この野郎!」
俺は身支度をしスライムを追いかけた。