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センチメンタルジャーニー ~異世界旅行ツアー~  作者: 華森兎守
始まりの草原
7/27

魔物

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・ステータス

・名前:神庭(しんば) 檸檬(れもん)

・種族:ヒューマン族

・特技:魔言理解(まげんりかい)

・魔法:なし

・スキル:魔物

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 モニターに映る文字を見て三人は絶句した。

それも『魔物』というスキルについて思うところがあったのだ。

つまり、先ほど倒していた生物は魔物であったのではないだろうか?と考えた。

青葉は「……魔物?」と呟いた後に、目を閉じながら思考した。

ゲームでよくある魔物を使役できる能力なのだろうか?

それとも魔物の事がわかる能力?魔物図鑑みたいなものなのだろうか?

思いつかないような、未知の能力なのだろうか?

魔物を使役できるのであれば、先刻の事は説明ができない。

それともレベル不足により使役する事が出来なかったのだろうか?

もしくは、先ほどのオオカミは魔物ではなく単なる生物だったのだろうか?


 「てか、特技とか卑怯やわ!」


 大地の不満を訴える情けない言葉を皮切りに、沈黙が破られた。

もっとも、その言葉が情けない事この上なかったのだが。

青葉は呆れた顔をして応えた


 「卑怯ってなんやねん。そもそも、どんな特技かもわからんやん。予想では魔言理解(まげんりかい)は魔物の言葉を理解するスキルやわ。」


 「そういえばさっきのオオカミさん『殺す』とか『食べてやる』とか言ってたよ?その事なのかな?」


 青葉は見事に『魔言理解』のスキル特性を言い当てた。

つまり、魔物の言葉が理解できる特技であったのだ。

理解できるだけであって、ただそれだけのスキルなのだが。

事実先刻の赤いオオカミの言葉を檸檬は聞いていた。

青葉と大地には「グルゥゥゥ」と唸り声に聞こえたが、檸檬は違ったようだ。

そのせいで自分がこれから食べられるのだと理解し、より一層恐怖した。

言葉を理解したから恐怖していた訳ではないが、理解できたからこそ相手の思惑が伝わりより恐怖が増したのである。

しかしその後、オオカミは食べようとしてた檸檬と助けに入った大地に食べられたのだが……


 「そういえば、魔物もスキル一覧のとこに書いてなかったな。」


 「せやな。俺らが持ってるスキルも書いてないし、この魔物ってスキルも俺らのスキルも特別なスキルって事やと思うわ。」


 「大にぃ達は違う名前のスキルが書いてたの?」


 大地は思い出した事を言い、青葉がそれに応えながら予想を追加補足した。

大地が言った通り『賢者』も『サバイバル』も『魔物』もスキルの一覧画面にはなかった文字である。

青葉はスキル一覧に表示される物は一般的に扱う事が出来る『一般スキル』であると憶測し、三人にもともとあったスキルは『特別スキル』であると予想した。

檸檬は二人に『サバイバル』と『賢者』のスキルがある事はまだ知らない。

その為、檸檬の問いに答える為に、大地と青葉は自分達のステータス画面を檸檬に見せた。


 モニターを見せた檸檬は青葉と大地のモニターの色が違う事に驚きを見せた。

そしてその後、青葉は自分達が調べて知り得た内容を檸檬に教えた。

なんだかんだと言いながら面倒見がいい青葉であった。

スキル一覧画面や次のレベルまでのポイントの画面であったが。

一番説明に時間がかかったのはスキル説明文であると青葉は思ったのだが、檸檬は大地よりも理解が早くすぐに内容を理解した。

本人曰く「ゲームとか漫画みたいだね。」と言っていた事から、ゲームや漫画はある程度見知っているようであった。

次のレベルまでのポイントを確認している時に、檸檬は次のレベルまで30ポイントである事を確認した。

同時に自身のステータス画面も確認したが次のレベルまで15ポイントである事がわかった。

おそらくであるが、オオカミのポイントが30あったのだろう。

大地と青葉がパーティーを組んでいた為、二人で分配され15ポイントずつになったのだろうと憶測した。

そして檸檬はパーティーを組んでいなかった為、経験値が分配されなかったのだろう。

ちなみにこのポイントを説明している時に、檸檬が「つまり経験値みたいなものだよね?」と質問してきた。

まさに檸檬が言う通りなのだが、逆になぜ経験値ではなくポイントと表記しているのかが謎であった。


 一方大地は、青葉が檸檬に説明をしている間、自信のモニターをポチポチ触りながら「まだレベル1なんやなぁ」とか「サバイバルってホンマなんやねん」とかブツブツと不満を漏らしていた。

自分だけ魔法も特技もないのが不満だったらしい。

青葉はそんな大地を見ない振りをしながら、一通り檸檬に説明を終えた後、自分のモニターを操作し始めた。


「スキルって普通強化したり増やせるはずやけどどうやってやるんやろうな……」


 そう言いながらスキル一覧が表示される眺めていた。

不意にスキルの文字に指を当てると画面が変わった。


「おぉ、ここに賢者があったわ」


 青葉はそう言いながら檸檬に自身のモニターを見せた。

青葉の言葉を聞き、不満を漏らしていた大地も檸檬に続き青葉のモニターを覗き込んだ。

そこには確かに『賢者』の文字があった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・スキルポイント 2

・取得スキル

・『賢者』レベル 1 【+】

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ホンマやな。あ、青葉! こっち選んだら説明文出てくるんかな?」


「せやな。 待ってや。」


「にゃー!青にぃ早く!」


 大地は『賢者』の文字を選ぶように急かした。

それに青葉は応じて二人にモニターを見せたまま『賢者』の文字を押した。

すると『賢者』の文字の下に追加で文字が表示される。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・スキルポイント 2

・取得スキル

・『賢者』Level 1 【+】

・火、水、土、風の四属性魔法を扱う事が出来る

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 簡潔な説明文であるが、わかりやすかった。

つまりは四属性の魔法を扱えるという事だ。

個別にあった火属性や水属性魔法が、可哀想になるくらい優秀なスキルであるとすぐに判断できた。


「お、これかなりええやん。」


 青葉が目を輝かせながらそう言うと自分の前にモニターを移動させた。

そして、賢者のスキル内容を確認した後に青葉は【+】の文字を選んだ。

するとまたもや画面の表示が変わった。


-----------------------------------------------------------

・『賢者』

・レベル1→レベル2

・スキルポイント2消費します。

・実行しますか?

・【はい】【いいえ】

-----------------------------------------------------------


 大地と檸檬は青葉の後ろに回りモニターを覗き込んだ。

そして「おー。」という歓声を漏らした。

見てわかる通り、スキルのレベルを上げる事が出来るという事だ。

しかも『賢者』スキルは優秀なスキルである事は先ほど知ったばかりである。

事実『賢者』スキルの説明文の通りに四種類の魔法を扱えたのだ。


 青葉は「これはスキルレベル上げるしかないな」と呟いた。

モニターに表示された【はい】の部分に指を動かし押してみた。

するとその直後、突然青葉の体から淡い光が発した――

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