好奇心
「おはよう大地……ってお前! 寝やんとこんなん作ってたんか?」
「おう! おはよ! どうや? すごない?」
青葉は頭を掻きながら呆れたように大地の手にある物を見ていた。
すでに二日も寝ずに作業をしている事にも呆れたのだった。
大地はそんな青葉の視線を気にもせず、満足そうに自分が作った物を見せてきた。
「おはよ! 大にぃすごいね!」
「おうよ! せやろせやろ。俺はすごいやろ?」
大地は檸檬から賞賛の言葉を受け嬉しそうだった。本当に単純で扱いやすい奴だなっと青葉はさらに呆れた。
ちなみに、大地は合計で五種類の物を作成した。
まずはナイフ。これは初めに作成した魔鉄鉱石性のナイフである。
同じものをもう一本作成し、合計2本作っていた。
さらにナイフを作った後に、大地はその辺りにあった木の枝を使い織機を作成した。
そして、カイヤナイトスパイダーの糸を布に換え、その布をナイフの握りに使ったのだ。
次に大地は長剣を作った。
見た目はナイフと同様に白く輝いており、もちろん長剣と言うからにはナイフとは違い長くしてあった。
両刃の刃に握りにはナイフと同じくカイヤナイトスパイダーの糸から作成した布を巻き付けていた。
ちなみに大地は知らなかったのだが、この作成した剣は俗に“フォルシオン”と呼ばれる剣と類似していた。
自分用の剣を作った後は、青葉用にこぶし大の藍晶石を先端に付けた杖を作った。
ただし、歩く為の補助用の杖ではなく、藍晶石の特徴を生かして、藍晶石が魔力を青葉に変換し魔力不足を補う事を目的とした杖であった。
その為に杖は短く、手の先から腕の第一関節程の長さ程であった。
そして、魔燐石を見つけてすぐに作成しようと決めていたランタンがあった。
しかし時間と荷物が増える事を良いとしなかった大地は一個だけ作成したのだ。
今挙げた物が、現在大地の周りに転がっている作成品であった。
それを自慢げに大地は二人に説明をした。そして最後に藍晶石のネックレスを取り出した。
「青葉、このネックレスは青葉のやつな!」
「は? 男からアクセサリーのプレゼントとかキモイねんけど」
「いいからつけろって! お守りみたいなもんと思ってや!」
「まぁ、ほなありがたくもらうわ。」
「えぇ~! 青にぃだけずるいよ!」
「大丈夫やって、檸檬ちゃんにもあるから! ほら、俺ものあるねん!」
「おぉ~! 三人お揃いだ! 嬉しいねぇ!」
三人は同じネックレスを付けた。
大地はこのネックレスにそこまで深い意味を持って作ってはいなかった。
そしてその後、青葉には杖を、檸檬には護身用にとナイフを一本渡した。
檸檬はナイフと手に取ると嬉しそうに振り回していた。
喜んでくれて嬉しいが、振り回しているナイフが青葉に当たりそうで正直怖い。
次から檸檬に武器を渡す事をやめようかと大地は考えながら苦笑した。
「で、なんで檸檬ちゃんには杖はないの? 檸檬ちゃんも魔法使うやん」
「単純に時間なかったんや。それ作るのにめちゃくちゃ時間かかるねんからな! それにネックレスについてる藍晶石は小さいけど、そこそこ役に立つと思うしさ。」
大地は苦笑しながら言った。
実際に藍晶石の加工には時間と技術を要した。
角度によって強度が変わる。つまり、思った通りの大きさにはなかなかできないのだ。
それこそ運よく強度と削りたい部分が合致すればいいのだが、大地は何度も失敗を繰り返していた。
大きすぎたり、小さすぎたりし、納得がいかなかったのだ。
大きすぎると杖の先端に取り付けた時に、藍晶石の重さが邪魔をしてしまい、小さ過ぎると効果が小さくなってしまうのだ。
ちなみにネックレスはその時出た藍晶石のかけらを流用した為、作成に時間はかからなかった。
手ごろな大きさの藍晶石かけらに穴をあけてカイヤスパイダーの糸を通すだけだ。もちろん失敗をして藍晶石が圧に耐えられず粉々になる事もあったが、作成中に出来たかけらは嫌と言う程あった為、苦労せず作成する事が出来た。
ちなみに通常、鉱物に穴をあける場合は通常超音波工具等を使うのだがそのような物はこの場になかった為、大地は千枚通しのようなもの魔鉄鉱石で作り、それを使い穴をあけていた。
一点に集中した力を入れ、ぐりぐりと回すと徐々に穴をあける事ができのだ。
そして、この時に粉々になった藍晶石はナイフや長剣の握りの部分に密かにつかっており、布で隠れて見えなくなっているが、補助的な効果を得られると大地は確認していた。
「ま、檸檬ちゃんはそれで許してな」
「うん!! 大にぃありがと!!」
そう言いながら檸檬は大地の背中に抱き付いた。
すると大地は背中に小さな砂丘があたる感触があった
(こ、これは……)
大地は精神的にも身体的にも疲れていたが、背中にあたった感触によって元気を取り戻した。
どこかは言わないが
(いやいや、あかんで俺!)
そう言いながら首を振る大地。もちろん大地にその趣味はなかった。
疲れと二日も処理が出来なかった事が原因なのだ。そうに違いない。
そう自分に言い訳をしていると――
「いいから行くぞ、このロリコン!」
「誰がロリコンや!」
「そうよ! レモンはもうレディなのよ!」
「いや、そこは問題じゃないから。」
青葉はそう突っ込み馬鹿二人を見てため息をついた。
◆◆◆
その後、3人は身支度を済ませて歩き始めていた。
途中で上層階と同様に、何度か別れ道があった。今回は全ての別れ道を青葉に任せていた。
理由は大地と檸檬は面倒になっていたのだ。
ちなみに、道中には以前のような罠はなかった。まだないだけなのかもしれないが、今の時点では罠はなかった。暫く進むとレッドウルフが二体現れたが、新しい長剣で大地が難なく切り伏せた。
三十分程歩きまわった所で三人は階段を見つけた。上に向けて昇る階段と下に向けて降りる階段だ。
青葉は難しい顔をしながら二人に視線を向けた。
「なぁ、洞窟にこんなちゃんとした階段とか不自然ちゃう?」
「よっしゃ行くで!!」
「はーい!「お前ら、ちょっと待てや!」」
青葉の言葉を完全にスルーをした檸檬と大地を青葉は首根っこを掴んで捕まえた。
「お前らどっちに行こうとした?」
「「え~っと……」」
「下に行こうとしたよな」
「「はい……」」
「俺らの目的考えたら上やろ? アホなんかお前ら?」
「あ、アホを通り越したら天才や!」
「そうだそうだ!」
「どんな理屈やねん!」
暴走しかけた二人を叱り、青葉はため息をつく。
「真面目に脱出考えようや」
「いや、でも、ほら! 好奇心ってのがさ、下にいけって……」
「うるさい黙れ。」
青葉は大地を睨み付けた。
檸檬は自身に向けられた視線ではなかったのだが、青葉の鋭い視線を見て、まるで蛇に睨まれた蛙のように萎縮してしまった。
「とりあえず上に行くからな。」
「了解」
「は、はい!!」
そうして上に昇る階段を3人は歩く。
しかし、明るく元いた場所のような暗い静けさはなかった。
「これはきついな。何階層か下に落ちたって事か……」
「まぁ、任せろ青葉! なんとかなるって!」
「そーだそーだ! 三人にかかればどんな困難だって打破できる!」
楽観的な思考をしている馬鹿二人。
青葉は現実を直視して再度頭を抱える事になった。
「とりあえず進むしかないか……ま、なるようになるか! 行くで!」
「「はーい!!」」
青葉の言葉に馬鹿二人は手を上げて返事をした。
三人は周囲の確認もそこそこに目の前にあった通路をそのまま歩き始めた。
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