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センチメンタルジャーニー ~異世界旅行ツアー~  作者: 華森兎守
始まりの草原
10/27

魔法の罠

※10話と11話の順番と変更し、微妙に修正いたしました。

 「やっと起きたんか。おはよ……」


 「お、おう……え? 大地どないしたん?」


 小鳥が囀る時間が過ぎ、太陽が頭上高く登った頃に、青葉は目を覚ました。

大地は青葉に自分の思惑が伝わっていたと思っていたがまったく伝わっていなかった。

そう。青葉は普通に爆睡していたのだ。


 「なんで睨んでるん?」


 「うっさいボケ!」


 「なっ?! いきなり暴言か? 俺がなにしたねん!」


 「いや、俺が悪い。すまん」


 そう。ただの大地の思い込みなのだ。

勝手に交代で見張りをするものだと思い、勝手に見張りをして、勝手に徹夜をしたのだ。

青葉に全く非はない。

素直に大地は謝った。


 「あ、そうそう。昨日これ作ったねん。」


 「なんなんそれ?」


 青葉は大地が見せた物を興味深く見つめていた。

一見すると無骨な骨であるが、先端が鋭くなっており、刃のようになっていた。

持つ部分には布で滑り止めをしていた。


 「んー……オオカミの背骨で作った剣かな? なかなか難しくてさ。」


 簡単に表現すると骨の剣のような物があった。

かなり無骨ではあるが、ちゃんとした刃はあり見た感じではちゃんと切る事が出来るようになっていた。


 「あーあ、ナイフこんなんにしてー。お前どうするねん。」


 大地の近くに転がっていた果物ナイフを手に取り青葉は顔を曇らせた。

ナイフの刃はボロボロになっていた。


 「まぁ、なんとかなるやろ!まだ包丁とかあるし!」


 楽観的な大地は笑いながら答えた。

実際問題なにも支障はなかった。

包丁もあれば予備の果物ナイフもある。

大地はその辺りはちゃんと考えて使ったのであった。

ちなみにすべて大地の持ち物である。

そんな二人のやり取りで目が覚めたのか、檸檬がむくっと起き上がりキョロキョロしていた。


 「おっはよ~!」


 にへら〜と笑い二人に試験を向けた。

檸檬も青葉も慣れない生活で疲れていたのだろうと大地は思った。

青葉については普段は早起きであるの事知っていた為、普段から昼過ぎまで寝る事はなかった。

しかし、檸檬に関しては昨日知り合ったばかりなのでわからないが、この年齢の子供であれば休日でなければすでに学校にいる時間まで寝ている事になる。

やはり二人ともつかれていたのだと思い、仕方居ないと思いながら大地はため息をついた


 ちなみに大地が見張りをしている間、テントの周辺は至って平和だった。

途中、大地は青葉を起こそうと思ったが思い直した。

疲れているはずの青葉を自主的に起きるまでは寝かせてやろうと考えたのだ。

まさか、こんな時間まで寝ているのは思ってはいなかったのだが。


 大地は骨の剣以外にも檸檬用のカバンも作っていた。

キャンプをしていた時に釣った魚の骨と釣糸を使い、赤いオオカミの毛皮を縫って作ったのだ。

大地は自分の服をカバンの裏地に使ってあげていたのだが、青葉が「そこまでする必要あったか?」と言われ、苦笑しながら笑ったのだ。


 その後、大地は立ち上がり大きく伸びをした。そして三人分の食事を用意した。

メニューはインスタントのお味噌汁だ。

昨日の朝、青葉が放ったウォーターの魔法でバケツに貯めておいた水を沸かして使ったのだ。


 そして朝食を済ませた三人は、各々に出発の準備を始めた。

テントの中を整理した後に、大地と青葉でテントを片付けた。

数分で片づけが終わり、一息を着いた後に昨夜覚えたスキルを各々確認をしていた。


 特に入念にスキルを確認をしていたのは青葉だ。

新しい魔法を4つほど取得していた。

青葉は上から順番に魔法を試していた。


 まずは「バースト」

これは青葉の任意の場所を爆発を起こす事が出来るようだ。火の柱を出現させる事ができるようだ。

実際に青葉がやってみたのだが……大惨事になりかけた。

爆発させた付近の草や土を爆散させ、小さなクレーターが生まれた。

そして爆散させた土や草が辺りにかなり散らばったのだ。

爆心地がテントから離れていたからよかったが、付近で使っていた場合テントが大惨事になっていた事だろう。

青葉はバーストを唱える場合は周囲に注意をしようと心に決めた。


次に「アイス」

青葉が唱えたと同時に空中に複数の氷が現れ、地面に突き刺さった。

一度テストで何もない所で唱えた後に、再度アイスを唱えた。

二度目のアイスを唱えると氷の1つが大地の隣に突き刺さり、大地が涙目になっていた。

ただの事故だ。もちろんわざとではない。

寝起きに暴言を吐かれた腹いせでは決してないのだ。


 「サンダー」は危なそうだったので使ってみた。

いや、危なそうだったので早めに確認したかったのだ。

出来るだけ遠くの方に落ちるように唱えてみた。

すると遠くの方で暗雲が立ち込め突然雷が落ちた。

雷が落ちた後、しばらくすると暗雲が晴れ元通りにもどった。

ちなみに雷が落ちた場所が遠すぎてどのような状態になっているかわからなかった。

なので青葉は再度近くに落ちるようにサンダーを唱えてみた。

二度目のサンダーはやはり大地の隣に落ち、またもや大地が涙目になり青葉を見てくる。


 「ほ、ほんまにやめて! 怖いわ!」


 「すまん! でも、わざとやないねんって」


 最後に「アースシールド」

これは名前からしてある程度の予想は出来ていた。

その為、気負う事なく自分自身を対象に唱えてみた

すると、地面から複数の石が現れ青葉の周囲を取り囲む。

あれ? 予想してたのだと石の盾が現れるんだけどな? と青葉は首を傾げた。

取り囲んだ石は青葉の周囲を跳び続けた。

青葉が動こうとするとその石達は青葉の動きに合わせて移動する……なんて事はなく、青葉の進行を阻害してきた。

そこまで確認して、青葉はあることに気が付いた。


――解除の方法がわからない――


 結局時間経過で解除されるらしく十分程、青葉はその場で身動きが取れず棒立ちになっていた。

その間に大地と檸檬も自分のスキルを確認した。












             ◆◆◆

 かれこれ2時間程自由時間を過ごした後、三人は洞窟の目の前にいた。

二人〜三人用のテントとは言え、四キログラム程ある移動用に畳んだテントと食料関係は大地が運び

ランプなどの壊れ物を青葉が分担する。

檸檬は小さな軽めの荷物を担当した。


 「よっしゃ行くで!!」


 「おー!!!」

 大地の掛け声に檸檬が元気よく応じる。

青葉はやる気なさそうに軽く腕を挙げ応じた。

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