[chapter:Ⅰ:神名木サイド]
「神名木さん、好きです!」
「えっと、マロ・・・君?突然言われても・・・」
説明しよう。私こと神名木葵は齢十七にして初めて男性と言う生物に告白されている。
しかも、今日初めて知り合った人に。
ざっと流れを言うとこう。
今日の昼休み、うちのクラスに突然見ず知らずの男の子が来て『神名木さんいますか?』と言われ、『大事な話があるんだ、放課後、裏庭に来て。』と言われただけ。いつも仲のいいあっことさっちーには「愛の告白かぁ?ヒューヒュー」などと言われたけど、私に限ってそれはない。ぜっっったいない。
あっこもさっちーも知ってる事だけど、私は鈍臭い。段差がない所でよく転ぶし、ぼけーっとしててよく怒られる。朝も弱いし、あっこ達が迎えに来てくれなかったら絶対寝坊してる。宿題忘れた事ないけど、これもあっこ達が一緒に勉強してくれるから。
成績だって、あっことさっちーに引っ張ってもらってやっとこさ。持つべき物は優秀な友人だよ、ホント。足は速いんだけど、その他球技はてんで駄目。ソフトボールの授業に、もしバント禁止なんてルールがあったら、私は出塁することなんて出来なかったはず。
成績だって、先生が贔屓してくれるからだと思う。偶然上手く言ってるから、ただそれだけだと思う。色んな人が私の手助けをしてくれる。あっことさっちーのお陰で私は生きてる。そんな人生、嫌だ、もっと違う自分が居るはずなんだ、普通ならばそう思うというけれど、私はこれ以上特殊な生き方はしたくない。
学校で位、普通に生きてゆきたい
前、ネットのニュースで、クリスマス五十六%の女性は一人で過ごしてるって書いてた。私もその五十六%の一部なのだろう。そっとひっそり生きて、ひっそり人生の幕引きをする。
そんな人生だと思う。