[chapter:1]
この小説は
・パロディが大量に含まれます。
・基本的にギャグラブコメ
・シリアスは基本的に崩壊
それでもよければ読んでいってください。
[chapter:1]
「えっと、マロ・・・君?突然言われても・・・」
「だから、俺、カンナギさんのことが好きなんです!付き合ってください!」
説明しよう。俺は今、漢人生最大の賭け、うちの学年のヒロイン、神奈木葵に告白しているところだ。
経緯としてはこうだ。
悪友と湯川とくだらない話をしていたとき、
「お前、コククった事ある?」
という奴の一言から、何故か俺がコクれるかどうかと言う話になり、
「マロが神名木にコクれたらジロちゃんラーメン奢ってやるよ!」
という意味不明な賭けになり
「上等じゃねーか!俺が漢を見せてやんよ!野菜増し増し油にんにくな!ぜってぇだかんな!」
って事になり、放課後神名木を校舎裏に呼び出して今に至るってとこだ。
神名木葵。勉強させたら学年トップ、二年の春から転入してきた見るからに育ちが良さそうな美少女である、目元にあるほくろの位置まで超俺好み。学年人気度ナンバーワンの彼女にコクるとか、どれだけ俺が無謀なドアホウなのか、考えただけで心がどこかに行ってしまいそうで、視線もあわせられない。
漢ならわかるだろうが、自分の立ち位置も息子の勃ち位置も訳解らなくなってしまう、そんな天上人に俺がコクる?笑わせやがる。出来るわけねーだろ!普通。
だが、賭けた。その勝算なしの戦に俺はチップをペットしちまった。
恐らく賭けをしたあの時はどうかしていたんだ。流れに身を任せどうかしていたんだ。命は投げ捨てるものではないとアレだけ世紀末の次兄が言っていたではないか。
そんな核の炎に包まれ、世紀末一色な俺だが、どういう訳か神名木を奇跡的に呼び出すことに成功しちまった。
告白するチャンスに巡りあえたのだが、恋愛童貞の俺には難題すぎる。
まだ16の朝に母親に起こされ、王様に会いに行く前のレベル1無装備状態主人公が初戦でラスボスにエンカウントしに行くようなもんだ。勝てる見込みねぇだろ。
こうなったら出来ることはただ一つシンプルな答えだ。玉砕覚悟の特攻。モブキャラだろうが、決め台詞まみれの特攻で中ボス辺りにかすり傷を負わせる事ぐらいある。
そのかすり傷が運よく急所に当たって、クリティカルヒットして、更に更にそこが昔伝説の勇者によって付けられた古傷で、まだ癒えていなくて・・・諸々諸事情うんぬんかんぬん重なれば1億、いや1京分の1の確立で倒せるかもしれない。
あぁお父様、お母様、今まで育てて頂き、誠にありがとうございました。小生は今から神名木葵に突貫作戦を仕掛けます。無事に戻ってこれる保障はありませんが、心配ございません。かならず戻ります。
追伸、昨晩のコロッケおいしゅうございました。シャキシャキのキャベツ、おいしゅうございました。まだ残っていたら寮長のおばちゃん、俺のために1つ残しておいてください。
そして告白の時。5限目も終わり、校庭からは女子ソフトボール部の「オーエス、レッツゴー、ジンコー、ファイトー!」と愛らしい掛け声が聞こえる。天気も気温も上等。3月で学年末試験も終わったと言う事もあり、運動系の部活からは地区大会に向けての熱が感じられる。そんな夢や希望溢れるスプリングバカチオンもといバケーション前の昼下がり、俺は天上人を召喚した。
「神名木さん、俺は君が好きだ。付き合ってください!!」
俺が出来る事、思いを伝える、それだけ。フェイントなんか使えるテクニシャンボクサーじゃない俺は開幕右ストレートをぶっ放すだけだ。
「えっと、キミって、誰だったっけ・・・?」
ぐななな。モブの特攻はひらりと華麗にかわされ、そのまま転倒、床に突き刺さってしまった。
そりゃ俺の事なんぞ知るわきゃねーよな。えぇ。なんせ、主人公がNPCの村人Aの名前を知っているわけが無い。
「あぁ、申し送れました。わたくしめは2年5組の・・・」
「あぁ、マロ君、だっけ?そういえばあっこから聞いたよ。普段寝てばかりの。」
「そ、そうです。眠りのマロと言えばこの私です。」
くはぁ~。そんな妙竹林な噂が立っていたのディスカー!!
しかしなんだ、そんな事からでも覚えていただけたのですからありがたい。睡眠万歳!これからもっと寝よう。特に現国の遠藤の時は特にレム睡眠に従事しよう。
「で、えっと、眠りのマロ君?突然そんな事言われても・・・」
「だから、俺、カンナギさんのことが好きなんです!付き合ってください!」
俺は負けない!ここで折れたらもう立ち直れない!モブの特攻は2段構えなんだよ!!
「う、うん・・・でもさ、なんていうか、マロ君のこと、私、知らないし・・・ほら、私、マロ君と話したの、今日が初めてだし・・・」
「あ、あぁ、そういえば、夢中だったからつい・・・」
ウゴッ コイツはいいパンチじゃねーか。俺の渾身の一撃をヒラリと交わして的確にお留守だったボディにカウンターで一撃咬ましていってくれた。チィ・・・アバラ二本持っていってくれたぜ・・・まさか、モハメド・アリ級のテクニシャンボクサーだったとは・・・。
「だ、だからね、まずはお友達からでも・・・」
カンカンカンカン
神名木の『お友達』剃刀アッパーが完全に足の止まった俺の顎に直撃した。
「お、お友達・・・」
俺の意識は宙を舞い、マツヤニまみれの血に餓えたマットに中央に叩き付けられた。
「あ、別にマロ君、君の事嫌いって訳じゃないんだよ?って聞いてる?マロ君、おーい」
お主こそ、誠のキングオブキングスよ・・・薄れ行く意識の中でそっと呟いた・・・。