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三話 岩竜の唾液の粘性は結構酷い...

ギギギッ~


と縦に押し上げられた扉、もとい上顎の綺麗な歯並びの間から差し込んできた光に目を眇める。


「くふふ、どうやら生きているようだなクレア~」


岩竜の唾液でどろどろになっているだろう俺の姿を眺めて、楽しそうな笑みを口元に貼り付けながら、王牙が俺にむけて手を差し伸べてくる。


「遅い!たく、マジで勘弁してくれ...」


自分の身体を見直して、当たり前のように身体にまとわりついてくる粘着質の唾液に顔をしかめながら、王牙の手を借りて立ちあがる。


「王牙。この周りに水場はあるかな?とにかく、服と身体を洗いたい...」


あっちと、王牙が指を指しているほうにむけて歩いていく。

数十メートルほど歩いて行くと、少し開けた所に小さな滝と清流が流れていた。


唾液でどろどろになった服を脱いで、そのまま清流の中に投げ込んでから滝を頭から浴びていく、最近切っていないため滝を浴びるとかなり長くなった髪の毛が身体に張り付いてくる。

その中に金色の地毛に埋もれているが、しっかりと自己主張している黒い髪の束が一房。

今は、離れ離れになっているサクラの色を見つめていると。


「クレア~?なに、黄昏てるんだい?」


と、水のカーテンの向こうから声が飛んできた。


うん、岸からじゃなくて水のカーテンの向こうから......。


顔をあげると、数センチ先に濡れるのをお構いなしに服を来たまま楽しそうに水浴びしている王牙の顔がが見える。


「誰得だよ!!俺はまだ八歳だ!!」


俺の怒りの言葉を聞き流しながら、王牙は俺が先ほどまで眺めていた黒髪を摘みあげて。


「はいはい、この三年間聞き飽きたよその科白


それで?なに黄昏てんだい?」


王牙がその先端でぺちぺちと俺のホッペを叩いてくる。


なんだ!俺の黒髪は尻尾か何かか!!


「ふん、王牙には関係ない...、関係ないさ...」


「ああそうやね、私はきっと関係ないんだろう


ほら、さっさとあがんな~、あんまり水に浸かっていると風邪引くよ」


俺の頭をポンポンと叩いて、水から上がるように促す王牙。

指差したさた先には、既に焚き火が炊かれている...。


その気遣いが少し嬉しかった。




焚き火の前で座って黄昏ていると、頭を乾いた布でワシワシされる。


あ~う~、頭がぐらぐらする。


「相変わらずクレアの髪の毛はさらさらやね~!


うちは髪とかぜんぜん興味なかったんだけどな~、クレアの髪はべかっくやな」


や~め~ろ~、まあ、気持ちいいからいいか。


俺の頭を拭き終わった王牙は、寒くないように俺の身体に布をかぶせてから俺の髪をいじり始める。


ポニー、ツイン、サイド...。

その髪型ができるようになってしまった自分が憎い...。


最近の王牙のお気に入りは、前なんとなく思い出してやってみた黒髪の三つ編みだ。

何かとっても可愛いといわれた...。


俺、男ヤン...。


そして今日も最終的に前髪一部が三つ編みにされる。

最初のころはたどたどしかったのに、王牙もうまくなったものだ。


「完成~、うん似合っとるよ~カワイイカワイイ」


なでなでされる。


あ~、顔が赤くなっている気がする、だってあれだぞ王牙って結構美人なんだぞ!!

俺の前髪を結んでいるってことは、王牙との距離は数センチなんだぞ!


俺、男なんだぞ!!



八歳だけど...ね。




「クレア~焼けたよ~」


何とか赤面状態で王牙の前から逃亡した後、その辺の木の枝に水に浸かっていた服を架けて乾かす。

しばらくして、王牙の方から肉の焼けたいい匂いと共にそんな声が飛んできた。


声の方に向かって歩いていくと、先ほどの焚き火の上で赤い熊がどこか肉焼き機に似た物の上でくるくると回っている。


「上手にやけ「ちょっと待て!!」」


それは、何かヤバイ気がする。


はいはい~っと、王牙が赤い熊をベキベキと折り分けてくれる。

うん、サクサクとかそんな感じじゃなったよ、マジで骨が折れてる音がする!!怖い!!


でも、味はおいしかった、いや、この赤身が最高!!

サシが少ないのがちょっと寂しいけど、やっぱり肉の味としては脂肪が少ないほうが断然美味いと思うんだ!!



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