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【プロトタイプ】兄は元勇者で妹は元魔王、今は二人で冒険者     作者: アリス法式
二章 幼生期

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四話 書庫に行こう、妹よ<改>

20120310・改訂

-お兄様


-ん、どうした妹よ


-どうして、私達はこんなにコソコソとしているのですか?


-いい質問だな、妹よ。

理由としては、今からお父様の書庫に忍び込むからさ!


-どうしてですか、魔法の技術と知識なら私達は十分持っていると思いますが


-知識が偏りすぎていると思うんだよ。

俺達は転生する前からこの三千年間なにがあったのか知らないからな、つまり俺達が魔法だと思っているものが今でも魔法だとは限らないと思うわけさ。


-なるほど、それで、お父様の書庫にどうやって入るのですか。

窓から出れる部屋と違って書庫は本が傷まないように窓が無いですし、扉のノブも私達が届く高さじゃないですよ?


-.........



固まる、お兄様でした。

皆さまこんにちは、私サクラは今日も愉快なお兄様と廊下を歩いております。



-お父様に、あけてもらう


-お父様が今日出かけているからこそ、私達は書庫に向かっていると記憶していますが


-母上様に、あけてもらう


-お昼寝中のお母様を起こした瞬間、私達は二度とお母様の腕から離れられなくなるでしょうね


-ド、ドロシーにあけてもらう


-それが、妥当でしょうね



なら、なぜ最初からドロシーに頼まなかったのか。

まあ、あまりドロシーに迷惑をかけたくないのでしょう。

私達とは五歳違いの姉のような存在であり、メイド長のマリアさんの娘であるドロシー。

マリアさん譲りの銀髪に薄い褐色の肌、八歳といっても可愛い盛りのドロシーに、実質三歳精神年齢不明のお兄様は、あまり迷惑をかけたくないようです。


いまさら、遅いとも思いますし、多分それを嫌がってもいないと思うのですが。



-お兄様


-どうした、妹


-ちょうどよく、ドロシーがこっちに歩いてきてますよ


-.........そうか



ため息をひとつ吐くと、お兄様はその表情を普段の子供らしいものに切り替えました。



「ドロシー姉ちゃん」



そう言って、お兄様はこちらに気がついて笑顔を浮かべたドロシーに抱きついていきました。

お兄様、楽しそうですね...。



「クレア様、サクラ様、今日はどうなされたんですか?」



その端正な顔に微笑を浮かべたドロシーが、お兄様を抱きとめながら聞いてきます。



「うん、サクラと二人で文字のお勉強をしたいんだ。

だから、お父様の書庫を開けてもらえないかな?」



お兄様、ドロシーの前だと、大人ぶりますわよね。



「書庫ですか...?かまわないですが、お二人にはまだ早いのでわ」



流石にドロシーも、チョット困惑気味なようですね。



「お・ね・が・い」



上目使いで笑顔を浮かべると「魔王の魔眼」なウインク、お兄様そのごり押しは反則です。



「......ハ、ハイ、わかりました」



ほら、ドロシーも顔赤らめてふらふらしてるじゃないですか―――。




―――結果、扉は開きました。


ドロシーは、「だめ、相手はクレア様なのよ。でもこの胸の高鳴りは?だめよ相手はまだ三歳なんだから」

などとぶつぶつ呟きながらお仕事に戻って行きました。


ドロシー、貴方もまだ八歳です多分年齢的には大丈夫でしょうね。

でも、お兄様を盗ったら許さないですよ。


おほん、それでは気を取り直して、本でも読みますか。





「あら、どうしたのドロシー?、風邪かしら」



お母さんがお料理中の厨房に戻ってきた私を見て、お母さんが尋ねてきました。

お仕事中はとっても厳しいですが、普段はとっても優しいお母さんです。



「ううん、違うよお母さん。

チョットのぼせちゃっただけだよ」


「...それが、チョット?なのかしら...」


わたしにそっくりな顔。

その丁寧な口調に合った綺麗な顔を苦笑の形に変えると、お母さんは優しくポンポンと私の頭を撫でてくれました。

お母さんの手はとってもあったかくて気持ちがいいです。



「ありがとう、もう大丈夫だよ~お母さん」


「...そう?」



と、優しい笑顔を浮かべると料理の続きに戻っていくお母さん。

それを、見て私もお仕事に戻ることにします。



「...あの餓鬼...、ドロシーに手出したら消してやる...」



そして歩き始めた私の背中越しに、料理をしているお母さんの方向からそんな呟きが聞こえたような気がしましたが、気のせいだと私は信じています...。




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