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七話 月見シチュー

題名は、余り気にしない。

とりあえず、終了。


と、いうわけで、夜ご飯だ!!


板前さんオーガさん、シェフオーガさん、編集もオーガさんがお届けする「幻獣の森」グルメ!!


とか何とか、


言って見たけど。


今日の晩御飯は甲殻類のシチューだそうです...。


白いルーの中でぐつぐつ煮込まれている、甲殻類の脚、身体!!


トコロデコレはカニですか?



いいえ...。



アリです.........。






なぜだ!!


なぜアリの脚が、上質の栗のようにホクホクと!!


コノ絶妙な甘み、肉感!、すべてがすばらしい!!






と、おいしい晩御飯も終えて。


またもや、オーガさんと二人でティータイム。


黄昏時の中で、一番星と気の早い月を見ながら、焚き火を囲んでのティータイムであります。


おや、満月だ...。


所で、


「ずっと気になっていたのですが、オーガさんのお名前は?」


今更聞くのも、気恥ずかしい。


そして、果たして、オーガさんにお名前があるのかどうかも疑問ですが...。


「ン?、ナニヲイッテイル?

(ん?、何を言っている?)


オマエガズットヨンデイルジャナイカ?」

(お前がずっと呼んでいるじゃないか?)


え?オーガですか?そのままですね...。


「マア、ワレワレノハナハソンザイトシテアタエラレルマナダ...

(まあ、我々の名は存在として与えられる真銘だ)


ソウカルガルシクオシエテヨイモノデモナイノダガ...」

(そうかるがるしく教えて良いものでもないのだが)


と、なにやら、地面にがりがりと文字らしきものを書き始めるオーガさん。


文字を書けるのですか、博識ですね。


そして、オーガさんの無骨な指によってつむがれた文字は、どこか懐かしい感覚で、俺に語りかけてきた気がした。


変なこといっていると思うかもしれない、自覚はある。


だが、その文字は、俺が見たことも聞いたこともない文字は、俺に叫んでいた。


どこか、哀愁を漂わせるそんな感覚と共に。


「王牙」<おうが>と...。


「オーガ...、おうがですか...」


地面に書かれた、その幾何学模様のような線をゆっくりとなぞる。


何かが、忘れてしまった何かが叫んでいる。


「オーガ...、おうが...、王牙...、おうの...きば......」


そして、それはまるで零れ落ちるかのように、俺の口から漏れ出した...。


対面に座っていた、オーガさんの顔が、サッとこわばるのが見えた。


「オマエ、マサカ...!!」

(お前、まさか...!!)


しかし、その表情に気がつくこともなく、俺は引き込まれるように、その文字を見続けた。


「オイ、オマエ!!ジブンノナマエヲカイテミロ!!」

(おい、お前!!自分の名前を書いて見ろ!!)


しかし、ぼおっとしていた感覚も、オーガさんが何かを叫びながら肩をゆさぶっていることによって、現実に引き戻された。


自分の、名前を書く?かまわないが、それに何の意味があるのだろうか...。


とりあえず、いわれた通り、この五年間習ってきた言葉どおりに流暢に自分の名前を綴る。


自慢ではないが、五歳児でここまで文字に明るいのは珍しいのではないだろうか?


そして、多少自慢げにオーガさんに、クレアと書かれた文字を見せた。


「クレア?、イヤ、ツヅリハマチガエテハイナイガ、

(クレア?いや、綴りは間違えてはいないが、)


エ?ドウイウコトダ?」

(え?どういうことだ?)


えっと、俺に聞かれても困るのですが?


第一、俺はオーガさんが何に驚いているのかも、何を知りたいのかもわかりませんし!!


「オマエハ、シンジンデハイノカ?」

(お前は、しんじんではないのか?)


しんじん?新人ですか?確かにこの森では新参者ですが?それが何か?






と、どこか食い違った感じで、進むティータイム。


その光景を、満月だけが、静かに見守っていた...。






「キレイニオサメヨウトシテモムダダ!

(綺麗に収めようとしても無駄だ!)


イエ、オマエハシンジンナノカ!!」

(言え、お前はしんじんなのか!!)


ちぃ!、駄目だったか。


「言え、といわれても、俺にはまず、しんじんというのが何かわから無いのだが」


まあ、まともに答えようか。


「ソコカラカ...、イヤ、シンジンデアルモノニ、オマエハシンジンカトキクノモオカシイキガスルガ」

(其処からか...、いや、しんじんである者に、お前はしんじんかときくのもおかしい気がするが)


いや、だから新人ってなんだよ!!


「ツマリナ、オマエハ、シンジンイウナラバイセカイジンナノカトキイテイル」

(つまりな、お前は、しんじんいうならば異世界人なのかと聞いている)


はぁ?異世界人?確かに転生者ではあるが。


「俺は、生まれも育ちもこの世界だな...」


で、合っているはずだ。


「ソウカ、イヤ、ソウダナタシカニシンジンハウマレイデタカッコウノママセカイヲワタルトキイタ

(そうか、いや、そうだな確かにしんじんは生まれ出た格好のまま世界を渡ると聞いた)


ワザワザ、オマエノヨウニコドモノママ、コノセカイニクルハズマナイナ...

(わざわざ、お前のように子供のまま、この世界にくるはずもないな...)


スマナイ、トリミダシタ」

(すまない、とりみだした)


いえいえこちらこそ。


それでは、オーガさん、いや王牙さんか?


も、納得したところで、食器をかたしましょうか。


と俺は、オーガさんの飲み干したコップを毟り取ると、丸太小屋の裏に流れている小川に持っていく。


まだ、シチューのなべとお皿が水につけられたまま、そこに残っているはずなのだ。


さてさて、ピカピカにしてやんぜ!!






「シカシ、ナラナゼワタシノナマエガヨメタノダ?

(しかし、ならなぜ私の名前が読めたのだ?)


フン、ヨクワカランコゾウダ...」

(ふん、良くわからん小僧だ...)


聞こえてきた、そんな呟きはとりあえず無視して、俺は食器洗いの旅に出た。


オーガさんの科白、今までの分も全部()をつけました。

おもに、作者が読みにくいという理由で。



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