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四話 お空の上からコンニチワ...

死ぬ!!マジで死ぬ、あの女上空何メートルから落としてくれちゃってるの?


ていうか!!


「イヤーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


そして、視界が、緑の海に包まれる...。


あっ、死んだなこれ......。




ベキ、ゴン、ゴス、「ぴぎゃっ」


さようなら、サクラ、ドロシー、ユノス、そして、お父さん、母上様、先立つ不幸を...。


ん?ぴぎゃっ??


あれ?ていうか、俺、生きてね?五体満足だよ、骨も折れて無いよ?


落下の衝撃で、少しからだが痛いくらいだよ?


「ああ、神様、女神様、マジで感謝します!!」


俺は、後にこの科白をかなり後悔することになるのだが、それはもう少し後のお話。




そういえば、なぜ俺は生きているんだ?


さっき、何か豚のつぶれた悲鳴のようなモノが聞こえたよね?


そして、先ほどから気にはしないようにしていたんだけどサ、このお尻のしたの生暖かい感触は何?


ソーット、そっとね...。


視線を、下に......。


えっと、オーガ?


うん、生前何度か見たことあるけど間違いなくオーガさんでしょうか?


赤い肉体に、凶悪そうな二本の角、目はランランと赤く輝いておいでです...?


五歳児の俺をお腹の上に乗っけて地面に寝ている姿は、まさに森の妖精ルック、ただ、あの妖精さんは今の彼みたいに、よだれを垂らしてはいなかったと思いますが?


と、いうかお昼ね中でしたか、失礼しました。


「では、私はこれにて、助けていただいてありがとうございました」


と、オーガさんのお腹の上で、礼儀但しく礼をしてから、ゆっくりと降りて、俺は歩き出しました。


人間、礼儀を忘れちゃいけないと思うんですよ、五歳児の身としては...。



と、一歩あるき出そうとして、急に、影がさした気がしました。


そして、風切り音と共に、ボガン、と俺の眼前につき立つ鉄の塊が...。


あれ、ですか?極力見ないようにしてたんですけど、オーガさんやる気満々ですか?


いや、あの、俺の眼前につき立ってるのってどう見ても、オーガさんの武器ですよね?


刃物というには、意味がわからないほど、肉厚な刀身、多分斬ることより重量によって押しつぶすのを考慮して造られているのでは?


というか、刀身は一見バスターソードに見えるけど、この柄の長さは何?


両手持ちというか、軽く短槍位あるんですが?


え、ってことは、これ実は槍とか?戟とかそういった類のモノなのですか?


まあ、こんな物騒な物まで持ち出したんだ...。


オーガさん、いわゆる必殺、必ず殺すってことでしょうか?


「オイ、オマエ」

(おい、お前)


ひ、何かいってらっしゃる!!


逃げないと、逃げないと、逃げないと!!!!


目の間につき立っている、斬馬槍、今勝手に銘名を迂回するように、一目散に走り出す。


え?どこに行くかって?城と反対方向だって?


知るか!!


「俺は、生きる!!」


その科白、敵に背をむけて無かったらとてもカッコイイですのにね...、と、サクラの呆れたような言葉が聞こえた気がした。






追ってくる、絶対追って来てるよ!!


樹木の海をかいくぐるように、五歳の小さい身体を最大限利用して逃げ続ける俺と、巨体に似合わぬ、俊敏さで、時に飛び越え、時に木々を使って、かなりのハイスピードで迫ってくるオーガさん...。


こんな、子供食べても腹の足しにもなりませんよ!!


それともあれですか。子供のお肉の方が柔らかくておいしいのですか!このけだもの!!


しかも、片手にさっきの巨槍持ってるのに、何で、そんなに速く動けるのですかコノヤロー!!


「チョ、ット、マ...テ」

(ちょ、っと、ま...て)


腹から、響くかのようなその声、怖いんですよ!!




とか、ごちゃごちゃ考えていたのがいけなかったのか。


時折、後ろを確認しながら走っていたのが災いしたのか。


俺は、前方不注意のために何か硬いものにぶつかって転んでしまった。


その体勢のまま、顔をあげて周りをサッと見回すと。


どうやら、少し広い場所、木々の切れ目に出たらしい。


そして、俺が引っかかったのは、この森の住人なのか。


綺麗な鬣を赤くぬらした、見事な一角を持ったユニコーン...では無く。


横たわっているユニコーンをぼりぼりとかじっている、蟻さんでした。


デケーよ、そして、何かぬらぬら黒光りしてるよ...。


何だろう、ちょっとカッコイイ...、見事な鍬形を持った口、戦士と言って過言ではい、その鎧のような甲殻、そのすべてを黒光りさせながら。


その中で、その瞳だけは赤く、その複眼を乱反射させている。


そう、まるで、お仕事を邪魔されてご立腹みたいな感じで......、働き蟻さんでしょうか...。



って、オイ!


ジャッキン!!思わずのけぞったその空間、そのクビあったはずの空間を、挟みこむように鍬形の口が閉じられている。


まるで、両側から、俺の首を刈り取るような感じーーー......。


死ぬわ!!!


逃げなきゃ、何か、今日は戦おうという思いがぜんぜん湧いてこない!!


逃げるのみ、っと百八十度身体を転進。






.....................オーガさんが、立っていました。


当たり前だけど、ご立腹な様子で...。



そして、下あごから生えているたくましい牙をうごめかして。


「オイ、アリ...、ソノコニ、ナニヲシタ!!」

(おい、あり...、その子に、何をした!!)


俺の後ろで、ギチギチと口内をうごめかしている、蟻さんを睨みつけましたとさ...。


俺、置いてきぼりですが何か?






勝負は、一瞬だった...。


オーガさんは、俺の眼前から消えた...。


どうやら、上を飛び越えたらしい。


そのまま、振り上げた斬馬槍を垂直に、蟻の甲殻の隙間、首筋に滑り込ませると、そのまま全体重をかけて叩き斬ったのだから...。



オーガさん、パネーッす。



そして、まだ息があったのか、どこか、泣きそうな顔で、ユニコーンにとどめを刺しているのが、とても印象的だった...。


泣きそうな顔?怖かったけどサ...。



少し、黄昏たあと、器用に斬馬槍を使って穴を掘っていくオーガさん。


馬一頭分の穴を掘り終えると、優しくそこにユニコーンを横たえた。


そして、ユニコーンの埋葬を終えると、こちらに目をむけるオーガさん。




...俺には、もう逃げる気力は無かった。

あれです、いくらなんでも一人で生きていくのはきついだろう、ってことで生まれました(多分)心優しきオーガさん。


です。


突発的に頭の中に出てきたキャラにもかかわらず、子のお方入れたら、後の展開が考え安くなったのはここだけのお話。

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