二十三話 日常的な朝の一コマ
いつものことです...。
チチチチチッ。
鳥の鳴き声だろうか、楽しげな音程を刻みながら窓の外から流れてくる。
その小鳥のハーモニーを聞きながら、腕の中にあった暖かい抱き枕をぎゅっと抱き締める。
「ん、ふぅん~」
抱き枕から、何か悩ましげな返事が返って来た...。
......気のせいだ!
だって、抱き締める代わりになでてあげたら、静かになったもの!
そう、だから俺は無実だ、これは不幸な事故だったんだ!
そう、心の中で空を仰ぎ見ながら、小鳥のさえずりにひかれるようにまぶたをゆっくりと持ち上げていくと。
潤んだ瞳で、俺の腕の中からこちらを見上げてくる、サクラの姿が......。
血迷うな!相手は妹だぞ!
そうだ、妹だ!
..................オッケーじゃね?
「兄さん...」
サクラ、君の上目遣いはもはや凶器だね...。
「いいんですよ...、我慢しなくても」
グハッ!!!!!
血が、血がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
誰か、治癒士を!医者を!衛生兵をぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
ガチャ、
「おはようございます、クレア様、サクラ様、朝ですよ」
.........。
俺の鼻血は、ドロシーによって止血されました...。
おはよう...ございます...。
ユノス...です。
いま、私は戦っています...。
扉と、ドアと...樫の壁と...。
全部同じモノですか?...そうですね。
「開け...、開いて?...開けゴマ...」
ゴンガンガスメリガリガリ...
開きません...。
昨日、狸寝入りをしていたところ...、いつの間にか寝むっていたのはいいのです...。
何か、いいにおいがしてきたと思ったら...、意識を失ったのはかまいません...。
だからこそ、私は...、いまから、クレアの暖かい布団に...もぐりこむのですから...。
ただ、なぜか扉が...開かないのです...。
クレアと、メアリィさんに...
扉は壊してはいけないものと、教わりました...。
だから...扉を傷つけることができません...
ああ、太陽が出てきてしまいました...
チチチチチッ。
鳥さんが、鳴いています...。
私も、鳥だったら、窓から...。
窓から......。
「窓は...、扉じゃない...」
「ありがとう、ドロシー、助かった...」
血液的な意味でも、理性的な意味でもね...。
「気にしなくても良いのです、主人のためになのが従士のお仕事ですから」
と、朝からとてもいい笑顔のドロシーさん素敵です!
「そういえば、珍しくユノスがいないな...」
そこまで、話してふと、いつもいるはずのユノスがいないことに気がついた。
「そういえば、そうですわね
いつもなら、私よりも先にクレア兄さんのベットにもぐりこんでいますのに...」
と、相槌を打つサクラ。
って、サクラさんはいつも何時ころに忍び込んでいるのでしょうか?
「うふふふ、そうですね?
もしかしたら、昨日は疲れてご自分の布団で寝てしまったのかもしれませんよ
寝付が良くなるようにと、狸寝入りしていたユノス様の枕元に安眠効果のあるお香をたかせていただきましたしね」
ウフフフフフフフフフ...。
と、とってもいい笑顔で笑っているドロシーさん、素敵です?
「何か、仕掛けましたわね...」
なぜか、ため息をついているサクラ...。
この、お二人何の話をしているのでしょうか?
ガッシャーーーーーン!!!!
へ?
「ちっ!!!!、まさか扉を使わずに窓から!!!」
へ?ドロシーさん?急にどうしたの、窓からって何が?
しかも、いまちって言った?舌打ちした?
「ユノスを、甘く見たようですわねドロシー...」
あの、だから何が?
さっきの音は、どう考えてもガラスが割れる音では?
「まさか、開かない扉を蹴破らずに、窓からの脱出は予想外でしたね...、扉を無理やりにでも壊せば、一晩かけて設置したトラップが発動するはずだったのに...
それでは、クレア様、サクラ様、用事ができましたのでお先に失礼いたします!!」
は、はい。
と、返事をする間もなく、ものすごい早さで駆け出していくドロシー...。
チチチチチッ...
ああ、朝は平穏だね...
「兄さん...、現実逃避はいけませんよ...」
結局、朝平穏な寝起きを向かえたのは、音をまったく気にせずバスケット中で寝ていた二人だけなのでした。
そういえば、感想をみていたら、結構ドロシーを好きな人が多いみたいです。
一途ですから...。
そして、始めてかいてみたユノスの内面...。
無口キャラって、内面難しいね...。
ユノスの可愛さを少しでもわかってもらえたら嬉しいかな?
誤字脱字感想意見お待ちしております。