十八話 イライラしたからやった、死ななくて良かった...
題名どおり...。
目の前には六つの白梅花が沢山詰まっているバスケット、そして、そのうちの三つ、俺が摘んだはずのバスケット中には、あどけない姿で眠る小さな風の小妖精が二つ...。
「...クレア君?」
まあ、あれだよ女の子達が花冠を作っている傍ら、俺は一生懸命ユノスとサクラのバスケットをいっぱいにしたわけですよ...。
「.........クレア君?」
それが...、なぜだ?なぜ狙ったように...。
「サクラと俺のバスケットに風の小妖精が入っているんだ!!!」
現実逃避している、クレアには見えていなかったが、残りの一つユノスのバスケットには、この地方では生息していないはずのシルフィの紅梅花が入っていたのだが、それに気がついているの人はあまリいなかった。
ワシッっとな。
へ?何か頭が痛いです?なぜ?
「少し、落ち着こうか......クレア君?」
正解です、アクア姉さんが、俺の頭をワシッと片手で掴んでいました。
ええ、俗にいうアイアンクローです......、
さすが...、アクア姉さん...、見事な......、ガク。
............。
ハッ!ここは?
「目が覚めましたか?...兄さん」
こ、これは、なんだ、この頭が包み込まれるような温かさと絶妙なやわらかさを持ったこの枕は。
サクラの声を聞きながら、俺は朦朧とした頭を必死に動かして、この至福の感触の正体を思考していく...。
「ここは、ギルドですけど...、兄さん、さっきまでの記憶はありますか?」
サクラが、必死に思案している俺の表情をみて、今の状況を怪訝に思っていることに気がついたらしい。
まあ、実際にはまったくま逆の事を考えているのだが、気づかれていないのなら、まあ、いいだろう。
さて、思考を進めようか。
この感触、普通の枕にはない絶妙な暖かさと肉感。
その柔らかさといえば、シルクの皮地に沢山の羽毛を惜しみなくつぎ込んでも実現できないだろう、そんな、極限のきわみ。
そして、どこか母性を感じさせる、この暖かさ、このぬくもり。
「兄さん?...本当に大丈夫ですか?」
間違いない、これは、...これは!
―膝枕だ!!!!!
「.........にいさん?」
つまり、あれだ、今俺の俺は寝転がっている体勢、そして、羞恥と怒りで顔を赤らめているサクラの顔が上から覗きこむように俺を見ているから...。
この、絶妙な感覚はサクラの膝枕と...。
五歳にしてこの感触とは、......恐ろしい子!
ところで...何で、サクラは羞恥と怒りで顔を赤らめているんだ?
確か、顔に赤みが差したのは...俺が、この感触を膝枕だと断定した時...。
まてよ、俺は何をした?
確か、歓喜のあまり思いっきり心の中で叫び声を...。
しまった、最近不必要に【以心伝心】が発動しないように気をつけていたのに!
「ユノス?...面白い遊びをしましょうか...」
俺の焦りを無視して、怒りを通り越して、何か目が据わっているサクラが、近くで様子を見ていたらしいユノスに話しかけている。
「ユノスはさっき、アクア姉さまがやっていた技、試して見たくない?」
ま、まずい、ユノスは好奇心のまま頷いているし、サクラの目が本気だ!!
あせって、そのまま一気に立ち上がると、周りを見回す。
現在地は、ベットの上だ!枕はサクラで正解!周りを見た限りここは医務室!もしくは診療所か!
そして、サクラはまだ正座をしたままだ...。
ユノスは立っているが、まだ間に合う!
よし、逃亡だ!!!!!
そこまでの思考時間、わずか0.1秒...。
そして、一瞬のうちに扉の前までたどり着く、この数週間、母上様の斬撃をかわし続けたことによって発達した危機回避能力がそれを成功させた。
よーし!これで逃げれ......。
「逃がさないわよ、兄さん」
...た、と思った俺の背中に絶望的な言葉がかかり。
ここまで、数週間魔力の使用量を抑えたことによって、ある程度の、俺にしたら絶望できる量の魔力が一つの魔法に練り上げられる。
―水よ―
―我が意思の元に集い―
―我が敵の動きを阻め―
―「水の捕縛輪」<ウオータ・バインド>
サクラの意思のもと、放たれた一条の水のが一瞬、俺の動きを静止させる。
ほんの一秒ほどの拘束、それが今のサクラの魔力量の限界だった...。
ただ、その一秒は、俺にとっては絶望的な長さにに等しく......。
動けるようになったときには、流れるように動きで銀糸の少女が眼前に立っており。
ワシッと、本日二度目のアイアンクローをくらいながら、俺は意識を失った......。
ユノスさん...、指が...刺さってます...。
たまに思います、作者のメインキャラとサブキャラのくくりは、
気絶しているかいないかなのではないかと...。
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