六話 それは血の色頬の色
まっかなお話です。
-妹よ...
-ハイ?ニイサン...ドウシマシタ?
なぜサクラは返事が片言なのだろう、なぜドロシーさんの笑顔が怖いんだろう?なぜ、ユノスがカタカタ震えているのだろう?あそこに落ちている赤い液体がついた包丁は何なんだろう?
-なぜ、俺は包帯がぐるぐる巻かれているのだろう...?
-ニイサンガ...、シンダカト、オモイマシタ
今も、サクラとユノスの二人は互いの手を握り合いながら、小さく身を震わせている。
その視線の先には、流れるような銀の髪をヘッドドレスでとめた、まだまだ、幼いながらも最近、メイドさんとして仕事をしっかり覚えてきた少女の笑顔が。
「おはようございます、クレア様、サクラ様、ユノスちゃん」
目が笑ってないですよ。
『おはようございます!』
え?昨日ほとんどしゃべらなかったユノスまで、しっかりとした口調で挨拶を?
「それでは、食堂に向かいましょうか?」
『はい!』
とてもいい返事で、俺も妹達と共に歩きだ......せなかった。
俺の、手をしっかりと掴んでいるのは、ドロシーさん?
なぜ、私めの手を、目が笑ってないですよ。
「クレア様は、しばらくお待ちを」
あれ?アレですか俺の分のご飯は作っていないとかそんな感じですか?
と、困惑している俺を近くにあったイスに座わせると、ドロシーさんは包帯を換え始めました。
まだ、俺よりも大きい背を、かがめるようにして。
ドロシーさんの手が、俺の身体に巻かれた包帯をテキパキと交換して行きます。
あーれ?不思議?はがれていく包帯は血に濡れているのに...、包帯が剥ぎ取られたほうの俺の肌にはいつもどおりの卵はだが?
アレですか?切れ味の良すぎる刃物で切られると綺麗にくっついてしまうとかそんな何かですか?
しかもアレですよ、こうね屈み込んでいるドロシーの頭がね、髪の毛がね、何かいいにおいがするんですよ、狙っているんですか?
なでていいですか、いや、なでるべきですね?なでていいんですね?
はい、なでます。
なでなで、その透き通るような銀糸を、優しくゆっくりと、決して乱れないように指を通していく。
「クレア様、何をしているのですか?」
座った、俺が頭をなでている、つまり俺から見たら俯いているドロシーさんから、すねたような声が聞こえてきました。
「あ、ゴメン、思わず」
と、手を引こうとすると、何かガシっと手を押さえられました。
「もう少し、もう少しだけこのまま...で」
顔は俯いて見えません、果たして彼女は笑っているのか?すねているのか?
...どうなのだろう?
「まっか...」
「ですわね」
どうも、こちらは追い出されたサクラとユノスであります。
現在、扉の前には、私ことサクラと、ずいぶん表情が豊かになった気がするユノス。
そして、いつの間にかいたのかアイウスさんと、遅い私達を呼びにきたマリアさん。
それでも、こない私達を呼びにきた母上様と、今寝起きのキャシー姉さんが扉の前でこっそり覗いているしだいであります。
「あらあら、初初しいわねー」
と、頬を染めている母上様。
「我が娘ながら、何であんな不器用な表現しかできないのかねー」
と、ため息をついているマリアさん。
「ユノス、教育に悪いわ...」
と、ユノスの目をふさいでいるキャシー姉さん。
「まっか...」
あーう、と奇妙な声を出しているユノス。
「.........」
黙り込んでいる、アイウスさん?意外と初心なのかしら。
「ニイサン、アトデワタシモオナジコトシテクレナイト...許さない!」
私も、皆に習ってボソッと呟いて見ました。
あれれ?視線がいたいですよ皆さん。
そして、兄さん。
さっきから。
-たーーーすーーーけーーーてーーーー!聞こえているんだよ!扉の前の皆さん!!!
【以心伝心】がうるさいです!
「僕は、ハブリ?泣いていいかな?」
そのころ、居間では、お父様がさめざめと泣いていらしたそうです。
真っ赤ですね?
ちなみにユノスとアルマのキャラがかぶっている気がする作者です。
どうしよう?
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