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一話 五歳、夏の始まり

第三章、始まりました。


本編は相変わらず、一話一話は短めですが、毎日できるだけ投稿していきたいと思っています。


それでは、三章もクレアとサクラにお付き合いください。

木々の間、駆け抜けていく一角の兎、その白い姿を目で追いながら、目の前の茂みを飛び越える。


-サクラ!俺の位置から前方10メートルの位置だ!


俺から見て、左方向の小高い丘、その頂上で座り込んで兎に狙いをつけているはずの妹に、指示を出しながら、俺も走りながら詠唱を開始する。


-「汝、敵を阻む壁とならん」


『炎上壁』<ファイアウォール>


詠唱魔法火属性中級スペルが兎の進行方向をふさぐ。


俺の左前方を走っていた、一角兎が炎上壁を沿うようにその進行方向を左に変える。


サクラが待つ丘の方向に向かって。


-後は、頼む






-ええ、わかってます、兄さん


そう思念を飛ばしてから、右腕にはめている腕輪の魔法陣に魔力を流す。


-始動キー『コード・バリスタ』


腕輪に刻まれた魔法陣が薄く発光し、まっすぐと伸ばした私の左腕の中に光の粒子が集まってくる。


そして、光が薄れた後、その手には小ぶりのクロスボウが出現していた。


その重さは、思ったよりも軽い。


-矢は緑、風の眷属を弾丸とする


右手の腕輪にもう一度魔力を流す。


流した魔力の属性は風、風の魔力色である緑色の魔力が魔法陣に流れ込み視覚化される。


その、風を纏った矢をクロスボウの弦に引っ掛け、構え直すと。


一角兎がこちらに向けて森から飛び出してくるのが見えた。


その距離50メートル、まだ、後ろをおっているクレアに気をとられているのかこちらに気がついている様子は無い。


50、40、30


頭の中で、静かに数えながら。


ゆっくりと、兎の額、その一角に狙いをつけた。


20、10


ようやく、こちらに気がついたのか身を翻そうとする一角兎。


だが、もう遅い。


「おやすみなさい」


-『発射』<シュート>


始動キーと共にクロスボウの引き金を引き絞った。


そして、風を纏った矢が、緑色の軌跡を残して、一角兎の額に吸い込まれていった。






-これで、三羽目だな


-後、二羽ですか、クレス達の方はどうなったでしょうかね?


思念を飛ばしながら、皆との集合場所に戻ってくると、兎を三羽抱えたクレスがまっていた。


-おや、これで終わってしまったようだね


-ええ、少し残念ですが


後、二羽狩らないといけない、と思っていたのだが、その考えは待っていた三人組にあっさり覆されてしまった。


「お帰り、クレア、サクラ、収穫はどうだい?」


修行の旅に出たカルマに変わって、子供達の纏め役になっているクレスがそう訊ねてくる。


「僕とサクラで三羽だ、角も全部とってきたよ」


そう返事をしてから、もっていた獲物をクレスの前に降ろす、その後、サクラが俺のおいた兎の隣に折れた三本の角を並べていった。


「三羽とも、額を撃ち抜かれているわね、どうやったの?」


並べられた、三羽の兎を見て、フレスがため息をついた。


『ないしょです』


俺とサクラが笑いながら答えると、苦笑を浮かべたクレスがちょいちょいと手招きをしてきた。


「クレア、いつもどおり火をつけてくれ」


そう言って、指をさした先には、アルマが薪を集めていつものように放射状に並べている姿があった。


「アルマ、危ないからよけてくれ」


俺の言葉に、こくりとうなずいてから立ちあがったのを確認してから。


-「火よ」<フィア>


詠唱魔法初級火属性スペルを使って薪に火をつける。


「兎の、納品は五匹だから、一匹おやつに食べて行こう」


ある程度、火が大きくなった薪に角を失った兎を一匹投げ込みながらクレスがそう宣言すると、みんなが歓声を上げた。


兎の右後ろ足を貰って食べてから、村に帰るために立ち上がる。


後は、冒険者ギルドに行って報酬を受け取るだけだ。


今回の依頼は、一角兎の肉を五羽分納品すること、角は別払いの報酬に当たる。


だから、おやつ代わりに一羽食べてしまったのだが、引き締まった野生の肉はなかなかおいしかった。


「さて、みんな帰ろうか」


『はーい!』






クレスの号令に皆で元気良く答えると、俺達はぞろぞろ歩き始めた。


目指すは、俺達の村、冒険者の村<フレグラス村>


さんさんと、強く成り始めた太陽を浴びながら帰路につく。


その光を浴びながら、もう春から夏に季節が移ったのだと実感しながら、歩いていく。


季節は、夏の季節。


俺達が、五歳になって向かえる、夏の季節が始まりを告げていた。




二章の最後に出てきたサクラの腕輪の可変武器。


クロスボウにいたしました。魔法銃とどちらにしようか迷ったのですが、始動キーがコード・バリスタなのでクロスボウになりました。


まあ、撃てば弾が出てくる銃よりも、一撃一撃、装点しないといけないクロスボウの方がチート臭はしなくていいかなと思ったしだいであります。


主人公二人、強くてもチートでは無い、最強では無い。


そんな二人を書いていくつもりなので。


まあ、存在的には限りなくチートに近い二人ですが。


誤字脱字感想意見などありましたら書き込みお願いします。

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