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【プロトタイプ】兄は元勇者で妹は元魔王、今は二人で冒険者     作者: アリス法式
二章 幼生期

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十七話 友との別れと、逃れられないお茶会

えー、後一話かな、まとめて打っているわけではないので。

たぶんですが、後一話か二話で第2章が終わります。

新年祭から、10日ほど経った日、フレグラス村の入り口、といっても門などは特に無く街道へ道がつながっているといった程度なのだが、そこには、村のほとんどの人間が詰め掛けていた。

この場に村のほとんどの人間がいるのは、学園にいく子供達と、もう一組カルマとシルクが冒険者の師匠と共に旅に出るのを見送るためである。


「シルク、いってらっしゃい、無理しちゃ駄目よ」


「うん、大丈夫だよおかあさん、お父さんが一緒だから」


母と同じ、太陽なような赤い髪を力強くなでられて、シルクは寂しそうに笑っている。

その横では、大きな長弓を背負った、がっしりとした体形の父親が、心配そうな母に笑いかけていた。


「お...おにいちゃん、いってらっしゃい...」


「おう、アルマもがんばれよ、特にどこぞ双子の世話とかな」


目じりに涙を溜めながら、それでも何とか泣くのをこらえているアルマと、それをみて自分よりも可愛い妹が、どこぞの双子の毒牙にかかったりしないか心配な兄だった。

ちなみに、カルマはまだ手のかかる妹がいるため、修行の師匠は、親ではなく、大剣を背中に背負った女性の冒険者である。


そうして、同じように学園組もお別れがすみ、といっても、ドロシーのような例外以外は大概二年間旅に出ているので、学園組にとっては一時帰宅のようなものだが。


修行組みに、ひとつづつ武器が村の皆からプレゼントされる。

その役目は、領主でもある父のクオーツだった。


「はい、シルクには宝珠の枝で作った短弓を、カルマ君にはミスリルの小刀だよ」


短弓、小刀といっても大人の人間にとってであり、まだ九歳になったばかりの二人にはちょうどいいサイズであった。


「宝珠の枝って!」


「ミスリルって!」


『そんなに、いい物をいただいていいのですか?』


ちなみに、ミスリルの製法はエルフしか知らないのだが、今回アイエスが村に来ていたから、インゴットを貰って製作した、宝珠の枝はご存知のとおり、どこぞの双子の収集品である。


「うん、二人の門出だからね、でも、だからこそこの武器に見合うような立派な冒険者になってくれ、それがぼくらみんなの気持ちだからね」


普段、どこぞの双子のせいで良く落ち込んでいる姿が目撃される領主様だったが。二人にとっても村のみんなにとってもこのときばかりは、自慢の領主といえる立派な激励の言葉に、少なからずほかの村人から拍手が起こる。


「あー、それとシルクちゃん」


「はい、クオーツ様」


「うちの息子から、君にだって、お祭りのシルクちゃんの分を買い忘れてしまったからって」


そういって、ミスリルの腕輪を渡す。


「あ、ありがとうございます、すごい綺麗な模様ですね」


「うん、ぼくも良くわからないんだけどね、多分古呪文字じゃないかな」


このときのクオーツの考えは当たっており、これは、サクラの腕輪をみてクレアがおもいついった品だった。

シルクが弓を使うことを想定して、その腕輪には『きたれ、万物を打ち抜く、普遍の矢よ』と、刻まれている。


「魔宝具らしいから、将来、魔法がうまく使えるようになった時に使ってくれといっていたよ」


「魔宝具!?、そんな高価なものいただいてしまっていいのですか?、それに私は、魔法は使えても古呪文字は読めませんよ」


「そこは、あれだ、魔宝具だから魔力を流せば具現化するとか何とか、ごめん、たまにぼくも息子がなにをいっているかわからなくなるんだ」


そこまで話して、クオーツはシルクの父が出発を促しているのに気がつく。


「まあ、細かいことは気にしないで、いまは綺麗な飾りだとおもっておけばいいと思うよ」


「はい、ありがとうございますって、クレア君にいっておいてください」


その言葉を聴きながら、村人達の元に戻っていくクオーツ。


「あれ、俺にはなにも無いの、あれは、間違えたとかじゃないの?」


と、呟いているカルマに、反応してくれるのは誰もいなかった。


そして、カルマも促されるように馬車に乗り込んでいく、


「まあいいか、ドロシーには会えなかったし」


その手に、白い便箋が握られていたのだが、それを知っているのは、三日三晩不眠不休で例の双子兄から受け取った本を読み漁り、何とかラブレターを書き上げたことを知っているのは、


「お、おにいちゃん...ふびん」


母の服のすそを握りながら見送っている妹だけであった。





村を見下ろすように建つ、お屋敷、春の暖かさが気持ちいい庭でそこに用意されたテーブルから、お菓子をつまみながら少年は村の方を見ながら黄昏ていた。


-そろそろ、出発したころかな


-ええ、そうですね、お兄様


-シルク喜んでくれたかな


「うん、きっとすごく喜んでくれたと思うよ」


心の中での会話に答えが、妹意外から帰ってきた。


「あれ、ぼく口に出してた?」


「ええ、駄々漏れでしたわ、兄さん」


そうして、三人顔を見合わせて笑う。


笑うことしかできなかった、目の前にはシルクに送ったミスリルの腕輪の失敗作と、それを前に黒いオーラを出している母親。

その後ろには、陰に隠れるようにアイウスの金髪、そして横には失敗作を興味深そうに弄繰り回しているしているキャシー姉さんが座っている。


「二人とも、そろそろ覚悟は出来たかしら」


母親から放たれるどす黒い闘気に、流石に双子もたじたじなっていた。


「ははうえさま...あの、そのうしろのくろいものをおさめてくれませんか」


ああ、かなり片言になってしまった。

その息子の言葉にため息ひとつ付くと、母親は闘気を収める。


「なぜ、そこでため息なのでしょう、お母様」


「当たり前でしょ、子供が尋常じゃなかったら、ため息も出るわよ」


サクラの率直な疑問にキャシーが答える。


「普通の子はね、メアリィ姉さんの闘気をまともに浴びたら気絶するのよ、ドロシーみたいに」


そういって、銀髪の少女を指差すとドロシーはいつの間にか眠るように意識を失っていた。


「はあ、うすうす感じてはいたけど、ここまでとは思わなかったわ」


その言葉に、二人とも縮こまってしまう。


「で、そろそろいいでしょ、わかること、話せることだけでいいの、あなた達はなぜそこまで子供離れしているか話して頂戴」


それが、母親の真摯な頼みだと言うことに、気づかぬ二人のわけも無く。


「わかりました」


「兄さん」


「いいんだ、ぼくが話す」


兄が、静かに話し始めるのだった。

そして、大人二人はこの後、この二人からどんな言葉が出てきても良いよう、腹をくくる。


そう、大人二人、アイウスはメアリィの陰で、静かに気を失っていた。


ちなみに、シルクのプレゼントを忘れていたのはネタではなく。

作者が本当に忘れてました。


シルクごめん!


ここまで書けば、わかると思いますが、話しの後半はいままで考えていた物とぜんぜんちがいます。

ああ、どうしよう、悩みどころですね。


誤字脱字感想意見などありましたら感想のほうに書き込みお願いいたします。

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