十五話 少年のお買い物
ちょっと、グダグダになってしまった感じが。
そのうち直すかもしれません。
「うーん、これか?いや、こっちの方が」
新年祭の露店のひとつ、恰幅の良い店主の前で、一人の少年が品物の前に座り込んで、うんうんうなっていた。
「お坊ちゃん」
「うん、どうした店主」
何なんだろう、この子供は私の商品に興味を持ってくれたのは嬉しいのだが、そこに座り込まれてしまっては、ほかのお客さんが寄り付いてこん、何とかならんか。
「小物類をさっきからごらんになっているようですが、どなたかにプレゼントでしょうか?」
「ああ、そうなんだ」
「お相手は、どのような方ですかな」
「うむ、友達なのだ、男達の方は、すぐ決まったんだが、女性のほうがなかなか決まらなくてな」
同世代のお友達の送るようですね、ふむ、見たところお金はちゃんと持っているようですし、適当なものでも売りつけてやりましょうか。
「ちなみに、男性の方達になにを差し上げるか伺っても?」
「うむ?ああ、父上に『ハイデール公爵のストーカー日記』を、カルマに『馬鹿でもわかるラブレターの書き方』、クレスに『シルフィの上級薬草学』をあげようと思っている」
「.........」
この、坊ちゃんのお父上とカルマと言う少年がどんな人かは、わかりませんが、何かうらみでも買ったんでしょうか。
「あら、クレア君じゃない、お買い物かなー」
二人の男性の心配をしていた私の耳に聞こえてきたのは、艶やかな声、目を向けるとそこには、白磁のような肌を朱に染めた、美しいエルフの女性が、さっきまで、品物を眺めていた少年の後ろから、抱きかかえるように少年に乗りかかっているのが見えた。
「やめてください、アイウスさん、酒臭いですよ」
へ、アイウス、いまこの少年はこの美しいエルフの女性のことをアイウスと読んだか?
「いいじゃない、堅いこと言わずにさー、おねーさんが一緒に選んであげるよー」
「む、それなら.........」
と、坊ちゃんが悩んでいる間に、アイウスと呼ばれたエルフさんは楽しそうに品物を選び始めている。
「うーん、これかなー、ドロシーちゃんはやっぱりこれよねー」
「まだ、頼むとは、む、でもそれをドロシーにあげるのは賛成です」
「やっぱりー」
流されてるよ、流されてるよ坊ちゃん、そんな、商人の心の叫びに気づくはずも無く、アイウスと坊ちゃんは人数分、商品を選び終わったようだ。
「えーと、銀の髪飾り、ピンクのリボン、黒のカチューシャ、ユリシア草のブローチ、純銀のメリケンサック、シルバーネックレスですね、おまけして全部で銀貨50枚になります」
「えーと、一個多いのですが」
四人分のはずだったのにと、不思議そうな顔をしている坊ちゃん、そして、商品を包もうとした私の手の中からするりとシルバーネックレスが引き抜かれる。
「授業料よ、クレアくん」
私の手から、抜き取ったシルバーネックレスを笑顔で、首にかけると、アイウスと呼ばれたエルフの女性は笑いながら立ち去っていった。
「.........」
「なにが、したいんでしょうねあの人は」
そういって、坊ちゃんは六個分の銀貨50枚を払って、店から出て行く。
「アイウスって、確かエルフの.........」
私の呟きは誰に聞かれることも無く、坊ちゃんが振り向くことも無かった。
ふむ、シルバーネックレスと純銀のメリケンサックが一番高いんだが。
やりきれないものがあるな。
少年の心の声
悪乗りしたアイウスに買わされた母上へのプレゼントと、勝手に入れられていたシルバーネックレスが
一番高かったことを店主から聞いた少年の、悲しい声であった。
次で、お祭り編は終わると思います。
多分.........
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