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女神の不手際で異世界転生! 最弱な俺が目指す『一発逆転』サクセスロード  作者: おといち


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5話 女神様の楽しいスキル講座

『ーーエリザ。おい、エリザさんよ!』


俺の呼びかけに、エリザが不機嫌そうに答える。


『なによ。聞こえてるわよ』

『話が違うじゃないか。俺はチートみたいなスキルはいらないって言ったよな?』

『えぇ。だから、”チート級のスキル”は与えてないわ』

『いや、数だよ数!フィゼさんめっちゃ驚いてるじゃん』


もはや驚きを通り越して、フィゼさんにドン引きされてる気がするんだが。


『数に関しては私のせいじゃないわ。

私はただ、貴方が前世で培ってきたものをスキル化しただけよ』

『んなアホな…』

『こっちのセリフ。貴方一体、前世でどんだけ経験値積んできたのよ』


俺はただ、仕事に明け暮れた毎日を送っていただけだ。

経験した職の数こそ人並み以上だとは思うが、それにしたってこれはどうなんだ。


『ただ我武者羅に仕事してただけで、こんなにスキルってのが得られるものなのか?』

『だから、そんなのこっちが聞きたいわ。

まぁせっかく転生したのにあまりに貧弱だったら可哀そうだから、ちょびっと採点基準は甘めにしたけど。

…そんな睨まないでよ。ほんとにちょびっとだから』


となると、その”ちょびっと”とやらが悪さをしたのか?

まぁ数はとにかく、出鱈目なチートスキルは持っていないらしいが…。


『…こほん!スキルは大まかに分けて2種類。【常駐型スキル】と【発動型スキル】があるわ』

『い、いきなりなんだ?』

『いいから黙って聞きなさい。重要なことよ』


唐突に女神様によるスキル講座が始まった。

…まぁフィゼさんも混乱してるし、教えてくれること自体はありがたい。

できれば転生してくる前に済ませておいてくれると、もっとありがたかったんだが。


『まずは【常駐型スキル】なんだけど…

その前に貴方たち、なんで馬車があるのにえっちらおっちら徒歩移動してんの?マゾなの?』

『なんでやねん!…フィゼさんは馬に乗るのが苦手なんだとさ。

【騎乗】のスキルとやらも持ってないとかなんとか』

『じゃあ解決ね。貴方持ってるわよ、その【騎乗】スキル』


なんですと?


『いやいや。俺、馬なんか一度も乗ったことないぞ?』

『馬に限らず、何か乗り物に関する仕事をやってたりしなかった?』

『あー、運送業はまぁ色々やったよ。あ、あと送迎もやってたな』

『手広いわねー。ま、恐らくその辺りの経験が関係してるのね』


そういうもんなのか。まぁバイクのことを鉄の馬だなんて言う人もいるが。


「あのー、フィゼさん?」

「スキル…スキルがいっぱい回ってる。あはは…」


いかん、混乱のあまり目を回している。このまま歩かせるのも危なっかしいな。

本当に運転できるか半信半疑だが、ここは女神様の言うことを信じてみよう。


「おーい、フィゼさーん!」


再度呼びかけながら、眼前で手をブンブンと振る。

すると、ようやくフィゼさんの混乱状態が解除された。


「あ、は、はい!?すみません、なんでしょう?」

「さっき言いそびれたんですが、俺馬車の運転ができるんです」

「え?そ、そうなんですか?」

「はい。実は【騎乗】スキル、持ってるんです。

もしよければ運転してもいいですか?フィゼさんもそろそろ歩くのに疲れたでしょう」

「そうですね…では、お言葉に甘えて。御者台のお隣、失礼しますね」


フィゼさんは一旦馬を止めると、馬車の荷台部分の先頭にあるスペースに腰かけた。

御者台…あぁ、馬車の運転席のことか。なるほど、馬に直接乗るわけじゃなくてあそこで馬を操るのか。

俺もフィゼさんに倣って、御者台とやらに腰かける。手綱を握ると、馬がその歩みを再開した。


『うわぁ…俺、マジで馬車を運転してるわ』


馬車での移動は、少し揺れはするものの実に楽ちんだ。頬に当たる風がなんとも心地いい。


『この【騎乗】スキルがさっき言った【常駐型スキル】の一つよ』

『へぇー。このスキルが無いと馬とか馬車には乗れないのか?』

『そんなことないわ。

懐いてない動物や経験のない乗り物でも制御しやすくなる、補助的なスキルってところね』


確かに、馬の制御の仕方なんて全く知らない筈なのに、俺が思った通りに動いてくれる。

これがスキルの力ということか…恐るべし。


『隣のフィゼって子と言葉が通じているのも【常駐型スキル】のおかげよ。

【異言語理解】…本来の用途とは違うけど、流石にないと詰むからオマケしといたわ』

『あぁ、助かる』


言葉が通じなかったら、転生生活を楽しむという以前の話だからな。

フィゼさんに話しかけたところで、早々に逃げ出されてゲームオーバーだっただろう。


『持っているだけで常に効果があるのが【常駐型スキル】

それに対して【発動型スキル】は、その名の通り発動することにより効果を発揮するスキルね。

さっきの【情報共有】がまさにそれよ』

『なるほどね。発動型っていうのは、念じることで発動できるのか?』

『基本はね。他にも条件が整った時にオートで発動するタイプのスキルもあるわ』


ふむふむ。本当にいろんなタイプのスキルがあるんだな。


『今のこの会話自体が、それに近しいスキルの【念話】よ。

使えるのは同じ【念話】を持った相手同士に限るけど、距離は問わない優れものよ。

これは天界にいる私との会話用で、オマケその2ね』

『あー、これもスキルだったのか。確かにこのオマケも助かる。

…なんだかんだ、ちゃんと配慮してくれてるんだな』

『当たり前じゃない、私をなんだと思ってるのよ』


うーん、うっかりダ女神様?


『それと転生させた後に確認したけど、貴方は戦闘系のスキルに関してはほとんど持ってないわね。

むやみやたらと魔物に喧嘩を売るのはやめときなさい』

『元よりそのつもりはないが…わざわざ確認してくれたのか』

『数が数だから、あくまでざっとよ。それでもだいぶ時間がかかったわ』

『…もしかして、そのせいでフォローに来るのが遅かったのか?』

『そ。流石に転生させて「はい、お終い」なんて言わないわよ』


そういう理由なら、まぁ仕方がないか。

…なんだ、思ったよりちゃんと神様やってるじゃないか。


『スキルは持って産まれたものもあれば、後天的に身につくものもある。

習熟度によってランクが上がっていくスキルってのもあるわね』


じゃあこれから先、もっとスキルが増えたり進化したりする可能性があるのか。

…いかん、頭がパンクしそうだ。


『まぁ所持スキルの詳細な確認は、後々自分でやってちょうだい。

さっきの【スキルオープン】から知りたいスキルを指で触ると細かい説明が出てくるわ』

『重ね重ね便利なもんだな』


よし。いろいろと説明を受けた上で、もう一回さっきのウインドウを確認してみるか。


えーと、【スキルオープン】


先ほどと同じように、クソデカウインドウが眼前に広がる。

ーーん?よく見たらこの文字、日本語じゃないな。勿論、アルファベットでもない。

それでもまるで日本語を読むかのように理解できてるのが【異言語理解】というわけか。

いや、これがなかったらマジで詰んでたな…

『やれやれ、エリザもただのうっかりダ女神じゃないってことか』


『…誰が()()()()()()()ですって?』

『え!?あ、いや、ジョークジョーク。ヒューマンジョーク』

『もう!ほんっと失礼しちゃうわ!』


いかんいかん、無意識にエリザに【念話】を飛ばしていたのか…今後気を付けよう。

ソーリーソーリー。

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