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女神の不手際で異世界転生! 最弱な俺が目指す『一発逆転』サクセスロード  作者: おといち


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25話 華々しい初陣と、静かな涙

「むぅー…。」


ギルドを出て宿場に戻った俺達だが、フィゼさんの機嫌は中々戻らない。


「どうしたよ、フィゼ。むくれっちまって。」

「なんでもありません!」

「そ、そうか…。」

「あ、あのー…ベ、ベティスさん!ベティスさんも冒険者登録ってしてあるんですか?」

「あ?あぁ、そりゃしてあるぜ。なんだ、お前さんも登録してきたのか。」

「はい。一応ですけど。」

「そういえばお前、魔物と戦ったこともねぇんだろ?ちょうど店も暇してるから、ちょっと外で適当な魔物でも狩ってこいや。」

「え!?」


そ、そんな「ちょっとそこのコンビニでタバコ買ってこい。」みたいなノリで、魔物を狩ってこいって言うんですか!?

こえー!異世界ってこえー!


「どうせこの辺りには大した魔物なんていねぇからな。なんか食材になりそうなもん狩ってこい。

余ったもんで使えそうなやつはギルドに卸せばいいだろ。」

「は、はぁ…。いや、でもちょっと心の準備が…。」

「情けねぇなぁ…。おい、フィゼ。お前もついて行ってやれ。」

「む…えっ?わ、私がですか?」

「流石に俺が店空けるわけにはいかねぇだろ。」

「それはまぁ、そうですけど…。」

「フィゼさん!お願いします!」


フィゼさんが一緒なら心強い。いざとなれば前のあの…なんか風の魔法のやつで助けてくれるだろう。


「…もう。しょうがないですねぇ、コースケさんは…ふふっ。」


なんとかフィゼさんの機嫌も直ったみたいだし、いっちょやってみるか…。いや、本当にやれんのか?俺…。

一応素振りは続けてきたけどさぁ…。


町の外に出てきた俺達は、万が一に備え町からあまり離れすぎないよう注意しながら周囲を探索する。

弱いの出てこい…弱いの出てこい…。


ガサガサッ


「で、出たぁ!!」


ぷにんっ


そんな擬音が聞こえたかどうかはともかく、少し離れたところにスライムが現れた。

あいつは…前に見たことがある!グリーンスライムだ!

…グリーンスライムだよな?『緑って200色あんねん』とか言って、実はすげぇ強いスライムだったりしないよな?


「フィゼさん、あれって…。」

「グリーンスライムですね。初魔物にはちょうどいいじゃないですか。」

「は、はい…やってみます…!」

「なにかあったら私が援護します。コースケさん、安心してください。」

「はい!」


…さて、前にエリザにも言われたことがあるが、スキルのデパートみたいな俺だが

戦闘系スキルについてはほとんど所持していない。その俺が所持している数少ない戦闘系スキルの一つ、それが…


【投擲】!


腰にストックしていた手投げナイフを、グリーンスライムに向かって投げつける。

この【投擲】というのは、”手に持った物を寸分の狂いもなく思った通りの方向に投げる”ことができるスキルだ。

しかも、投げた物は風等の影響を一切受けない。俺の投げたそのナイフは、見事スライムにヒットした。

…が、このスキルには『ダメージの上昇』のような類の効果は一切ない。

重くて投げられない物は投げれらないし、投げた物の飛距離が伸びたりもしない。筋力に嘘はつけないのだ。

実際、ナイフが刺さったスライムだが致命傷には至っておらず、ぷるんぷるんとこちらに向かって来ている。

…刺さった時の感じも「ザクッ!!」っていうよりは「ヌプゥ…」って感じだったしなぁ…。これ、効いてる…?


「コースケさん、来ますよ!」

「は、はい!」


フィゼさんの言葉に気を引き締め直した俺は、帯刀していた”バスタードソード”を鞘からスラッと抜き、構える。

…嘘です。抜き時に引っかかってちょっとモタつきました…。


「め、メェェェン!!」


大きく振りかぶり、スライムの脳天?目掛けて勢いよく剣を振り下ろす。


ザヌプゥ…


なんとも微妙な手応え。…こいつ、まだ息があるぞ!


「フンヌゥ!!」


今度は横薙ぎに斬り払う。不格好なバットのスイングみたいになってしまったが、斬られたスライムは動かない。


「や、やったか!?」


思わず変なフラグを立ててしまったが、どうやらスライムは本当に息絶えたようだ。

…お、俺にもできた…初戦闘ながら、一人でスライムを倒せたぞ…!どうですか、フィゼさん!!」


「コ、コースケさん…?信じられない…!」

「えっ。」


ま、まさか俺はまたなにかしでかしてしまったのか…!?


「まさか、スライム相手に2発…いえ、投げナイフを含めたら3発もかかるだなんて…!」

「えっ。えっ。」

「戦うことに関しては本当の本当に素人だったんですね…あ!い、いえ…その…初討伐おめでとうございます!!」

「泣きそう。」


いや、もうちょっと泣いてるかも。

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