17話 まぁ綺麗!…ちょっとやりすぎなぐらいに
今更ですが、書き終わって投稿してから、なろう越しに読んで手直しすることが多いです。
投稿されてすぐと30分後とかにもう一度読んだ場合、ちょいちょい変わってる部分があると思います。
申し訳ありませんが、ご了承ください。
「おう、ここだ。」
ベティスさんに連れてこられたここは…店の外だ。入り口ではなく、裏口から出てきた。…え、俺今からシバかれる?
俺がビビっていたら、なにやらベティスさんがそこにあったポンプから水を出して桶に張り、俺の前に置いた。
そしてトプトプとなにかの液体をそこに入れて…
「おい、これでやってみろ。」
と、俺に汚れた布みたいなものを渡してきた。
「これは…?」
「うちに泊まってる客から預かった洗濯物だ。そこにデカい染みもあるし、わかりやすいだろ。」
なるほど。つまりこれは、「スキルを使ってこいつを洗濯してみろ」ということらしい。
ほっ…。よかった、どうやらシバかれるわけではないみたいだ。
…ん?もしかしてこれ、うまくいかなかったらやっぱりシバかれたりする…?
「コースケさん…。」
なんかフィゼさんも心配そうな目で見てるし…えぇい、とにかくやってみるしかないか。
えーと、【スピードウォッシュ】とやらで綺麗にすればいいのかな…なになに…?
水と洗剤の入った桶に汚れた洗濯物を入れて、手に持ったまま…
【スピードウォッシュ】
おっ、なんか持ってる洗濯物が光ったぞ?これでいいのか?…よし、とりあえず水から出してみよう。
…ザバッとな。
「…うぉ!めっちゃ綺麗になってる!!というか乾いてる!!」
なんと、手に持っていたその布は汚れも大きな染みも綺麗に落ちているだけでなく、カラッカラに乾いていた。
すげぇ!最早これ魔法だろ…いや、スキルなんだけども。
「なんでやった本人が一番驚いてるんだよ…。ちょっと貸してみろ。」
「はい。」
手に持っていた布をベティスさんに渡す。その布をまじまじと見つめるベティスさんとフィゼさん。
「…染みもねぇし、なにより乾いてやがる…こいつはマジに【スピードウォッシュ】持ちだな…。」
「す、凄いです!これ、買ったばっかりみたいです!」
「町のクリーニング屋ですら、せいぜい持ってて【ウォッシュ】だぞ。
それどころか上位スキルの【スピードウォッシュ】持ちだぁ?…ったく、どうなってんだこいつは。」
「えっ、上位スキル?」
「だから、なんでやった本人がわかってねぇんだよ…。いいか?【ウォッシュ】ですら、
クリーニング屋なんかで長年勤めてる奴が修得できるかどうかなんだ。…まぁ”ここ”まではいい。」
俺が【ウォッシュ】を持ってるだけなら、別にそこまでおかしな話ではないってことか…。
「その上位スキルの【スピードウォッシュ】なんて…私、持ってる人見たことありませんよ?」
「…いや、少し前に死んじまったが、ペッツっていう婆さんいただろ?あの婆さんは持ってたって聞いたことがある。」
「あ!そうだったんですね!…懐かしいなぁ、ペッツおばあちゃん…。」
「つまり、うん十年とクリーニング屋やってた婆さんでようやく修得できるスキルなんだ。
もちろん絶対じゃねえ。さっきも言ったが、どれだけ続けても【ウォッシュ】すら修得できない奴だってざらにいる。」
そ、そんな凄いスキルだったなんて…。うっかり上位スキルの方を持ってるなんて言っちまったよ。
罠だよ罠。なんかベティスさんが怒ってたから焦ってたし、ちょっと似た名前の違うスキルだと思って口が滑った…。
…えっ。ひょっとしてこれ、残りの2つも???
「となると、次は【クレンリネス】だな。こいつは…よし、お前この雑巾でそっちのポンプ綺麗にしてみろ。」
「は、はい…。」
ベティスさんが着ているエプロンのポケットから雑巾を取り出して、投げてきた。
持ってると言ってしまった以上、もうやるしかない。【クレンリネス】…言葉に出すわけじゃないが、言いづらいな。
えーと…手に掃除をするための道具を持って…
【クレンリネス】
持ってる雑巾が光ってる!!いやー基本光るね、スキルってやつは。
で、こいつを使ってそこのポンプを…
キュッキュッ
「おぉ!?ほとんど力も入れてないのに、すげぇ綺麗になる!サビまで落ちる!なんか楽しい!!」
「わぁー!すごーい!」
俺とフィゼさん、大興奮。思わず深夜のテレビショッピングみたいなノリになってしまった。
「ま、問題はこっからだ…おらよ。」
ザバー!
「あぁ!なんてことを!」
俺が折角綺麗にしたポンプに、ベティスさんが地面から集めた土を思いっきりかけてしまった。
が、しかし…
「あら?あれだけ土をかけたのに、全然汚れてないですね。」
「あ、ほんとだ!」
「【クレンリネス】は【クリンネス】の上位スキルだ。汚れたもんを綺麗にするだけじゃなく、しばらくの間
汚れそのものが付きにくくなる”追加効果”がある。」
「へぇー、そうなんですね。私もはじめて知りました。」
「こいつもさっきと同じだ。うん十年も掃除や町の清掃活動なんかを続けてる奴が、やっと修得できるかどうかのスキル…。
お前みたいな若い奴が…しかもダブルで持ってるなんて話、当然聞いたことがねえ。本来ありえねぇことだ。」
や、やっぱりこれも上位スキル…。となると、だよ…?
「…よし、炊事場に行くぞ。一番やべぇのは【素材調理】だ。」
で、出たー!しかも、一番やばいのが最後に残ってるパターンのやつー!!!




