表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の不手際で異世界転生! 最弱な俺が目指す『一発逆転』サクセスロード  作者: おといち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/45

9話 綺麗な道具屋さんと可愛いお連れさん

フィゼさんの誤解も解けたところで、ちょうど目的地である町が見えてきた。

遠目に見た限り、背の高い建物は見当たらないな。

ただそれが田舎故なのか、時代故のものなのかはわからない。

どちらにしろ、のどかで自然豊かな町ということは一見してわかる。


はぁー…。それにしても、なんとか無事にここまで来られたな。

怖いのは魔物よりも、セクハラという罪だった。


町の入り口に到着し、馬車から降りてフィゼさんと並んで歩く。

お、そこに看板が立ってるな。どれどれーー


【ようこそヨルダの町へ】


ヨルダの町…ここで、俺の異世界生活が始まるのか。


「馬車の運転、ありがとうございました。

すみませんが、宿屋に行く前に少し用事を済ませても構いませんか?」

「はい。もちろん大丈夫ですよ」

「ありがとうございます。

何件か他のお店の方に頼まれていた物を届けに行くのですが、コースケさんも一緒にどうですか?」

「そうですね。いい機会ですし、お供させてください」


これからお世話になる町の住人達だ。

フィゼさんと一緒に挨拶周りをすれば、変に警戒もされないだろう。


「それでは、まずは道具屋さんに向かいますね」

「はい!」



道具屋とやらに向かいながら、町の中をきょろきょろと見渡してみる。

フィゼさんの話では田舎町であるとのことだったが、人通りはそこそこあるな。

街並みとしては、木造やレンガ、石造りの建物が並んでいる。

文明のレベルとしては前世よりーー数百年ほど遡ったイメージだろうか。

”前世より遡る”といった表現もおかしいかもしれないが、実際そんな雰囲気だから仕方がない。


道の脇には、街灯も立っている。中には電球。つまり、電気は存在してるのか。

ただ、電柱や電線といった類の物は見当たらない。魔法で賄っているのだろうか。

ガスはどうなんだろう。まぁ仮に通ってなくても、魔法があるから火は起こせるのか。

うーん、万能だな、魔法。使えないけど。



そんなことを考えながら歩いていると、一軒の建物の前でフィゼさんが歩みを止めた。

こじんまりとした、二階建ての建物。どうやらここが最初の目的地のようだ。


「着きました。ここが道具屋です」


カランカラン♪


扉を開けると、小気味いいベルの音。

店内は少し手狭な空間に、見たこともないような道具らしきものが、これまた所狭しと並べられていた。

人の姿は見当たらないな。


「ごめんくださーい!」


フィゼさんの呼びかけに、二階から「はーい!」という元気な返事が返ってくる。

そして、トタトタと階段を下りる足音が聞こえてきた。


「はいはーい。あ、フィゼちゃん!」


ひょこっと店の奥から顔を出したのは、店主と思わしき一人の女性。

フィゼさんも可愛い人だけど、この人もまた活発そうな美人さんだな。

年齢はフィゼさんと同じか、ちょっと上ぐらいだろうか。

…ちなみにフィゼさんの年齢は不明だ。出会って間もないレディーに歳を聞くのは失礼だからな。


「こんにちは、サーシャさん。頼まれていた物をお届けに来ました」

「いつもありがとうねぇ。…っと、そっちの人は?」

「はじめまして、コースケといいます。

この町に働き口を探しに来たのですが、道中フィゼさんと一緒になりまして」

「へぇー。わざわざこんな田舎町に…なんか訳あり?」


す、鋭い。


「あー…両親を亡くしまして、他に身寄りもないもので。

いっそ心機一転、別の町で生活を始めようかと」

「そっか…ごめんなさい、無神経なこと聞いちゃって」

「いえいえ、お気になさらず」

「サーシャさん。荷物、倉庫の方に移しておきました」


なぬ。フィゼさん、いつの間にそんなことまで。意外と素早い。


「あらら、そこまでしてくれなくてもいいのに。

でもありがとうね!フィゼちゃん。あ、お茶でも飲んでく?」

「すみません、まだ他のお店にも行かなきゃいけなくて。また今度、ぜひ」

「残念、じゃあまたの機会にね。コースケ君も、また来てね」

「いいんですか?」

「もちろん!あなた、悪い人じゃなさそうだから。フィゼちゃんも懐いてるみたいだしね」

「な、懐いてるってそんな、犬みたいに…もう、サーシャさん!」


からかうサーシャさんと、ちょっと赤面してむくれてるフィゼさん。

まるで仲のいい姉妹って感じだな。


「はは、ありがとうございます。是非また寄らせてもらいますね」

「うん。じゃあねー♪」


カランカラン♪



「むぅー。サーシャさんは時々いじわるなんです。

…って、コースケさん!?なんで泣いてるんですか!?」

「あ、いえ。お気になさらず」

「えぇ…?」


よきかなよきかな。おじさんは若者の仲睦まじい姿を見ていると、涙が出てくるんです。

おじさんとは、かくも涙もろいものなのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ