口裂け女の怖い話
めっちゃスライディング投稿(笑)
しかも、まったく怖くないです(笑)
ある日の夜。私はいつものように、薄暗い住宅街の電柱の下に佇んでいた。すると暗がりから、顔を真っ赤に染めたサラリーマンっぽい酔っぱらいが、千鳥足で歩いてきた。
…今日の獲物が来たわ。
私はそう思うとにゃっと微笑し、その男に声をかけた。
「私…綺麗?」
「ん?お?綺麗?おお!綺麗だよ、めちゃくちゃ綺麗だよ~!」
男はフラフラしながらそう答えた。私はまた にゃっと微笑み、そして。
「そう…じゃあこれでも─?」
そう言いながら、私はマスクを取った。─そう、私は口裂け女。口の両端が耳のところまで割けている。
私がマスクを取ると、男はポカンとした顔をして私の口許を見つめた。
…さぁ、悲鳴を上げなさい。そうすれば、私と同じ割けた口にしてやるわ。
そう内心で思いながら、私はコートの下で隠してるハサミをコートの外に出そうとした。その時。
「ふおおお!めっちゃ美人じゃん!目ぇぱっちりしてるし、口許なんかエロいし!」
「…は、え?」
男の意外な反応に、私は動揺して何を話していいか分からなくなった。
「お、いや、この裂けた口怖いでしょ!?気持ち悪いでしょ!?」
「え?全然!むしろ、魅力的だよ!」
男にそう言われ、私は思わずぽっと頬を赤く染めた。マスクをはずす前は「綺麗だよ」ってだいたいみんな言ってくれるけど、マスクを外して裂けた口を見せると、みんなひどいことを言う。それなのにこの男は…
「そんな…魅力的なわけないじゃん!だってこんな口…化け物じゃない」
「化け物じゃないよ。君はとても綺麗だよ。もっと、自信持って!」
男はそう言い、私の裂けた口にキスした…初めてのキスだった。
男は私にキスすると、私のことを連れて歩き始めた。
どこに向かうのかと思ったら─…ラブホの前に連れてこられた。
「俺と素敵な夜をベッドの上で泳ごうぜ」
男はそう言った。
─…男ってほんと怖いと思いながら、私は誘われるまま…ホテルに入った。