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第6話 記憶

これにて幼年期終了となります!

ここまで読んでくれた方ありがとうございます!

少年期もお楽しみに!とりあえず第6話どうぞ!

 なんだ……ここは?

 俺は初めての魔法に成功した日、疲れて夜ご飯を食べてすぐ寝てしまったのだがしかし、目を覚ますと俺は見知らぬ空間にいた。


 見渡す限り何も無い真っ暗な空間。目が空いてるのか空いてないのかも分からない。


 俺は下を向き、自分の手のひらを見ようとしたが目視出来なかった。するとどこかから見知らぬ声が聞こえてきた。


「お、やあやあ。意識がやっとこっちに来たようだね。君はすごいこっちの世界を楽しんでるみたいだから割と苦労したよ」


 おちゃらけた声が俺に問いかけてきた。

 それに対して俺は「だ、誰だよお前!」とすかさず返した。


「ごめんごめんグラリス君。いや……村上廣むらかみひろ君」


 俺はそれを聞いてゾッとした。感覚のない身体から冷や汗がぶわっと吹きでてきた。

 このおちゃらけた何かが言ったその名前は……俺の本名だった。


「……お、おい。な、なんでそれ知ってんだよ」


「まぁまぁ落ち着きなよ。自己紹介まだだったね。って言っても名前は無いんだ。いるでしょ? 異世界に転生しちゃう作品とかによく仲介役的な感じに神とか女神とかさ? まぁそんな感じよ」


 恐怖で声が震える俺に対して悠長に話す何かに俺は更に冷や汗が走る。


「私は生と死の狭間の世界にいる、まぁわかりやすく言ったら君を、廣君をグラリスと転生させてあげた張本人さ」


 転生させてあげた張本人? 一体どう言うことだ。そんなことが有り得るのか? 俺の頭の中は少ない情報なのにびっしりと詰まって何も考えられなくなっていた。


「な、なんで、俺を転生させたんだ! 俺は死にたくて死んだんだぞ! そんなやつ転生させて何がしたかったんだよ……」


「え〜なんで怒ってるの? 君がまだ生きたそうにしてたから転生させてあげただけだよ。てかさ? 意外とこの世界楽しんでんじゃん。ならありがとうくらい言ってくれたっていいんじゃないのかい?」


 ーー楽しんでいる。


 そう。俺はこの世界を楽しみ、満喫しているのだ。

 俺は彼女を捨て、村上廣を捨て、今はグラリス・バルコットとして楽しんで生きているんだ。


「……そんなこと……今更言わないでくれよ……そんなの……そんなの仕方ないじゃないか!! あんな地獄見せられて!! 助けもなくて!! 親もいなくて!! 死ぬしかない状況になってどうしろって言うんだ!! そんなこと言うなら……元から……´村上廣´を楽しい人生にしてくれればよかったじゃないか!!!!」


 俺は何も見えない中どこにいるかも分からない何かに怒鳴り散らかした。


「……ごめんごめん。別に人生を変えられるわけじゃないんだ。この話はやめにしよう。私が君と通信をしてる理由は君を怒らせる為じゃないんだよ。話変わるけど内山美月うちやまみつきちゃん、覚えてるよね?」


 やめてくれ……もうやめてくれ……思い出させないでくれ……!


 あの地獄みたいな場面がフラッシュバックする。

 生々しいあの音。匂い。

 山内美月は俺の彼女の名前だ。


「……覚えてる。忘れられるわけないだろ……それがなんだって言うんだ……もうやめてくれ……」


「あーあーごめんごめん。四歳という節目に1度だけ話したかっただけだからさ。もう君の前には現れないよ。最後に一つだけ……。君が死んだ後、周りは、厳密に言ったら美月ちゃんはどうなったか知りたいかい?」


 俺が死んだ後美月がどうなったか……?

 そんなん知りたいに決まってる。でも知りたくないにも決まっている。


 俺は美月の幸せを願って死んだ。俺よりも大切な人を作って欲しいと思って死んだ。いじめられる俺が邪魔だから……死んだ。もうこの際どうでもいい。なんだか吹っ切れた。


 急に身体の震えが止まった。

「……あぁ、知りたい。教えてくれ」


「君が死んだあと美月ちゃんはね……自殺しようとしたんだ」


 ……!!


 すぐには言葉が出なかった。

 なぜ俺が死んで美月まで自殺なんてしようとしたんだ。


 分からない分からない分からない。なんでなんでなんで。じゃあ、俺はどうすれば良かったんだ? どうしてどうしてどうして……


「君はね。自分を過小評価し過ぎだったんだよ。美月ちゃんはレイプされたあともちゃんと生きようとした。君がいたから。君がいればなんでも乗り越えられると思っていたから。でも、そんな君が自分勝手な理由で死んだ。生きる意味を失った美月ちゃんは自殺を決行。そりゃこれ聞けば当たり前な話でしょ」


 ついに俺は何も言葉が出なくなった。

 声を出さない俺を無視してなにかは話し続ける。


「でもね、自殺は失敗したんだよ。それで美月ちゃんは思ったんだよ「廣君の分まで私が頑張って生きなきゃ行けないんだ」ってね。それで今では美月ちゃん大学に行って教師になろうとしているんだ。それと並行していじめが本当に無くなる世界も目指している。すがる場所が無くなった君は´死´を選んだけど彼女は´生´を選んだ。ただそれだけだよ」


 俺は泣いていた。涙は見えないけど、流れない涙は止まる気配はなかった。


「……最後に一つだけって言ったけどもう一つだけ言ってもいい? いいね。ありがと」


 見えない何かがこちらに歩み寄ってくる。

 コツコツと足音がこちらに近付いてくる。


「そんなに落ち込まなくていいと思うよ。美月ちゃんも毎週君のお墓に手を合わせてる。今でも。そんな君がこっち来てヘラヘラしてるなんて知ったらまた怒られちゃうと思うよ。だからグラリス・バルコット。彼女みたいに君も強く生きろ」


 それを言ったなにかはおれの耳元まで近付いて「頑張れよ」と呟いた。


 それを聞いた瞬間俺の意識はスっと無くなりさらに深い暗闇へと落ちていった。


 なんだろう。俺は少し間違っていたみたいだ。でももう大丈夫。もうこっちの世界では間違わない。精一杯、死ぬ気で最後まで生き抜いてやる。それが俺の義務だ。


 でももし、運命を巻き戻せるのなら、もう会えない彼女に「愛してる」とそう伝えたい。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

最新話まで読んでいただいたのに評価してくれてない人がいるのです!ブックマークも!

これからの期待を込めてぜひお願いします!

少年期で待っています!

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