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森の中の秘め事に俺も参加しました

掲載日:2020/12/27

 昭和の大スターがある時、「死後の世界はあるんだな」と語りだした。

大スターは本気で、霊界の本を出せばベストセラーになり、それを映画化すればシリーズ化するほどの大ヒットとなった。


 彼がこの世を去ってからそれなりの月日が流れたが、どうしても忘れられないワードがある。


 それは「残存性欲の森」だ。


 確か彼の話しだと、この世に未練というかモンモンというかそういうものを抱えてこの世を去った場合、一旦、この森でそれを捨てて、スッキリして天国だの地獄だのの扉をノックするとか言っていた気がする(ネットで答え合わせしてないので、いいように解釈しているかもだけど)。


 20代30代とそういう事にまったく縁のなかった俺だったが、40を過ぎた時から「いいんだ。天命を迎えたら、あの森の主になるんだ。ハーレム作るんだ」と本気と書いてマジで思い込み、49歳まで辿り着いた頃、SNSのリツーイトキャンペーンで推しのサインが当たって喜んでいた処、滑って転んで出しっぱなしのコタツの角に頭を打ち付け、清いカラダのまま俺は逝った。


 おぉ確かに霊体なっとるがな。それも20代の頃のMyBody。


 俺はここで地縛霊になる前に三途の川泳いで泳いであの世に向かう。そしていよいよ森がその姿を現す。

 

 森の広間には女性が俺に背を向けて立っていた。鉄兜を小脇に抱え、革製の鎧を身に纏い、そこから伸びた腕や足には柔軟で強靭な筋肉が細い身体に巻き付いていた。


 あぁこれはアマゾネスなタイプの方に組み敷かれるパターンか、しゅき。と瞳にハートを浮かべ声を掛けると、彼女はクルリと振り返り、厚めの何にも屈しないような唇を開き「お前か?私と共に戦ってくれるのは?」と射貫かれるような眼差しを向けられた。


 即答で「初めてなの。優しくして」と答えると満足そうに頷き森に響き渡る声で「皆もの、ここにまた一人ハーデース討伐に力を貸してくれるものが現れたぞ」と発すると森のあちこちから「ウゥオォォォォ」と雄たけびと共にむくつけき野郎どもが現れた。


「我らの軍勢はもうこれだけだが、負けんぞ」誰かが叫ぶ。


 ははーん、ここは“残存性欲の森”ではなく“残存勢力の森”であったか、なるほどなってそんなの納得できるか、ボケ。


「ハーデース軍がこちらに向かってきます、アテナ」


 アテナと呼ばれた目の前の女性から、ご丁寧に魔導士のスキルを頂いて、俺は天界の大戦に参加する羽目になったのだった。



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