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数日前から今日の回想

作者: 空野 双葉

この頃は暑くなってきて余計なことばかり考えるようになりました。ふと思って、憂いて、泣くことを繰り返しています。この間、寝惚けていたのか、事物をまともに考えられず、ベッドの柵に輪っかを拵えた紐を括りつけました。そこに首を通して数秒ぶら下がってみました。頭に血が溜まって、いずれ破裂するようなイメージがわいてきて、やめました。もう一度しようとも思えず、暫く呆けた後、床に就きました。


今まだ私は学生で、病み暮らす時期です。2年ぶりくらいに首を紐で押さえつけました。何の感情も湧かず、虚ろに、もの寂しいような雰囲気を感じました。

翌日にその事を振り返ってみて、感傷に浸りました。少しだけ泣きました。

大人になるという課程で、負の感情にも耐性がついてきたのか、些細な事で苦しむことは小学生の頃に比べれば大分無くなりました。それにつれ、自分の持ち物を数え、大きさを測るようになりました。周りにはいくらでも才能がありました。みるみるうちに私は随分と小さくなりました。


死にたいとも思わず、それなりに幸せに生きることが出来たらなぁ。と、ぼうっと考える時間が増えました。

もうそろそろ自立した精神を持ち始めなければ遅れをとることになってしまうことは知っています。でも、大人でさえ永遠に棄てられない幼い情緒、精神が甘えたがっています。自分はそれを慰め慰めて慈しみ、せいぜい宥めてやるまでです。


時々こんな妄想をします。今の私が、幼い自分を精一杯の愛を以て抱き包んで、柔らかい小さな背中をさすってやる妄想です。どうにももの寂しい、鬱々とした気持ちが私を生かしている時、ひたすらにそればかりを考えています。


少しでも辛さを感じた時は布団に入って、ゆっくりと呼吸をして、安らかな寝入りを待つことにしています。

これもいつまで続くのか分からず、失望を薄らと感じていますし、到底終わるものとは思えません。


12年前、とても幸せだった記憶があります。幼さ故に親に関して当時の事は殆ど憶えていませんが、僅かに残っている祖父母の記憶が未だに私を生かしてくれます。12年間、自我を持ち始めてから、亡くなっても尚、ふたりが私を生かしてくれます。

私も他の多くと違いなく、家族を喪っていきます。十数年生きて、幾度となく思い返しても再びの喪失を待つばかりです。


どこまでも未熟な私が考える限り、きっと絶望によく似たこれには自我が消えるまで付き纏われるでしょう。


私は人が皆そうであると信じていたいです。


ありがとうございます。

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