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ある三姉妹の日常

買い出しの日

作者: ガックマン

東暦1240年、3月4日。今日は休みの日。せっかくなので妹と買い出しに出掛けた。


「ほーれ、さっさとせんと、お前の姉が置いてってしまうぞー。」

「嫌だー!ちょっと待ってよー!」


とはいえ、妹は寝坊して、かれこれ40分車の運転席で待っている。

なお、姉に関しては家をほとんど出ず、薪を割っているのと、

留守番で引きこもり状態なのが我が家である。


「ふぁ〜、とっととしてくんねぇかなー、寝ちゃうよー。」

「ゼェ、ゼェ・・・お、おねぇちゃーん、きたよー。」

「汗だっくだくじゃねぇか、何があった?」

「姉ちゃんの姉ちゃんに追っかけられたんだ・・・」


まぁ、男十人分より力のある姉に追っかけられたらそうもなるわな。

ただ、姉に関してはブレーキかけるの忘れて、某下半身だけ

地面からにょっきり生えている人みたいになってる。


「じゃ、ほら乗って、出かけるよ。」

「うん!」

「姉さんやー、大丈夫かーい」

「うん、後頭部が生暖かいけど、でいじょうぶだ。」


何がどう大丈夫なのか小一時間問い詰めたいが、

そんな時間はないので、車のエンジンをかけ、

国の方まで移動する。


が、ここでアクシデントが発生する。


「開いてねぇ・・・」

「この国の人たちよく寝るんだね・・・」


いや多分私たちが早すぎるだけだと思う。

いつも9時くらいに寝て、3時間しか寝てないのだ。

はっきり言って、張り切って早起きしたら、とんでもない速さで

起きてしまった。

現在午前5時だった。


しばらくして・・・


「よーし!今日も仕事いきましょ・・・うか。」

「おう、ずいぶん早起きで。」

「えっと・・・きょうも薪売りですか?」

「バカ言え、こんな時間に来たって、顧客に迷惑だろうが。」


何をこいつトンチンカンなことを・・・

そんなことを思っているうち、身分証の確認を済ませ、

街の中に入った。

やっぱり街道には誰一人いない。


「誰もいないの?」

「寝てんじゃないかな。」


誰もいないことをいいことに、妹と一緒に街を散歩する。

人っ子いないというのは、周りの眼を気にしなくて済む。


だが、そんな時は長く続かなかった・・・


「おい嬢ちゃん、こんな時に2人で散歩かい?」

「えぇ。気晴らしにね。」

「へぇ・・・そりゃ不幸だったな。」


男はそう言った瞬間、腰から、ナイフを取り出した。

それと同時に、周りを取り囲むように、他の男達

が出現した。


「はぁ・・・君たちは演出家か何かか?映画でも撮るつもり

なのかい?撮影だったら他所でやっておくれよ。」

「おいおい、冗談言ってるつもりか?だとしたら、相当

おめでたいやつだな。」


どうやら映画の撮影協力を要請している訳ではないらしい。


「お前、最近ここいらで薪売ってる尼さんだろう?

だったらしこたま金を持ってるはずだ。何にせあんたは

有望株だからなぁアッはっはっは!」

「何が面白いんだか・・・」


どうやら私たちが所有している財産が目的らしい。

とはいえ、こんな朝っぱらから活動している

ということは、よほど自身があるんだろう。

仕方ない、生意気な餓鬼どもには、

痛みを知ってもらおう。


「私から離れて、隠れていなさい。」


影声でそう言ったらジリジリと移動し始めた。

さすが私の妹だ。よく出来ている。

そうして私は、大きく一歩を踏み出した。


「お?やるってのか?」

「ああ、生意気なやんちゃには、痛い目見てもらわんとな・・・」

「んだと!?かまわねぇ!殺っちまえ!」


そうすると、妹が全力でダッシュして、隠れた。

それと同時に、男達が武器を構え、襲いかかってきた。


「間合いが甘い!」


そうして私は、襲ってきた男の1人に

肘打ちを喰らわせた後、顔面の真横に

キックを食らわしてやった。

もう1人はその余波で体を浮かせ、踵落としをかました。

後の2人は顔面を持って、強制的に頭突きをさせてやった後、

地面に向かってとびきりのキスをさせてやった。


「あ、ああ・・・」


最後の男はみぞおちに向かって拳で数回殴った後、

顎に向けて膝蹴りをかましてやった。


「どうかね?すこしは考えが改まったか?」


だが、ここで私は異変に気ずく。

1人足りない、と。

もしやと思って後ろを振り返ってみたが、

案の定予想は当たってた。


「動くんじゃねぇ!さもなくば、この娘を殺してやる!!」


男の手には妹と、マチェーテが握られていた。


「お前・・・私の妹に手を出す気か?」

「当たり前だ!勝てもしない勝負に、これ以外で

どうやって勝てっていうんだよ!?」

「顔を洗って出直してこい。」


私はそう言うと、高速で近づき、マチェーテ

を握った手を攻撃して、顔面にストレートを

かました。


「大丈夫?痛いところとかない?」

「うん・・・怖かった。」

「よしよし、もう大丈夫だからね。」


そうして妹を慰めているうちに、騒ぎを聞きつけた騎士の皆様方

が駆けつけた。遅いと言いたいが、そんな贅沢言える身分でもない。


「貴様!こんな朝っぱらに喧嘩とは

いい度胸だな!一体何様のつもりだ!」

「いやいや、私だってね、そんな馬鹿げた茶番なんぞ

したい訳じゃなかったんですよ?」


状況を騎士団に手っ取り早く説明する。

何気にこの女騎士、キレやすいが物分かりがいいのが

取り柄のやつだ。憎めないやつなのが異様に腹がたつ。


「でね?そこの地面にアツアツのキスをかましてる

男が、金銭目当てで襲いかかってきたって訳ですよ。

ドゥーユーアンダスタン?」

「え、あ、はい。」


強気でかかると一気に弱気になるのが玉に瑕だが。

その後、そろりそろりと男の方へ

向かう。


「どれどれ〜、どんな顔かな?」


よいしょっと、女騎士が男の顔を確認する。


「・・・おいおい、こいつは・・・」

「なんだ?元カレか?」

「違うわ!こいつ、十年前から各地で指名手配されてた

男だ。こいつの首には、数十万の賞金がかかってんだ。」


それにしては、随分弱々しい感じだったが。

もしかしたら、少し酒臭かったので、それが理由かもしれない。


「とはいえ、あんた大したもんだよ。かつては``曲芸の達人``

なんて呼ばれてたんだぜ?コイツ。」

「恐らく、酒臭かったプラス鈍くさい感じから、アルコール中毒

か何かだったんだろう。」


そんなこんな言ってるうちに、拘束を終え、

騎士の皆様方に刑務所にぶち込まれた犯罪者たちは、

ものすごくしょんぼりした顔だった。そんな顔で

こっちを見られても、出そうとは思わないが。

その後、男を指名手配していた組織から、賞金

を貰ったあと、あの女騎士に会いに行った。


「なにか御用で?」

「ああ、お前さんに渡したいものがある。」


そういって私は、賞金の入った封筒から、4割ほど

札束を抜き取った後、女騎士の手を取って、封筒を

おいた。


「これはお前さんにやるよ。ボーナスが出たくらいに考えてくれ。」

「なんで?私は、何もしていないんだぞ?なのに、どうして・・・」

「・・・気まぐれだよ。」


私はこう女騎士に言った。


「人っていうのはさ、たまにこうやって、気まぐれが生じちゃう生き物なんだ。

だからだよ。だから私は、お前さんにその金を渡した。

それで、何か買ってあげなさいや。きっと喜ぶだろうよ。」

「なんで、私に親族がいると?」

「君の昔の上司に聞いた。」


そういうと、女騎士は心底驚いたような顔をして、


「あのバカジジイが・・・人の事

平気で他人に教えやがって。」


と嘆いた。

そんな彼女をしり目に、妹の手を取って、

建物を出た。


「さぁ、まだ今日は始まったばっかりだ。買い出しだのなんだの

付き合っておくれ、妹。」

「分かった!」


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