秋模様紅風景
頬に当たる風はもう冷たいが
まだ蒸し暑さの残る夕暮れに
坂道を駆け上がって火照った私には心地いい
目の前で沈み往く太陽 消え逝く陽の光が
まだ夏の色を遺す青葉を
季節より少し早く赤く染めてゆく
今年はあの人と
どこへ観に行こうか?
去年はどこへ行ったっけ?
お弁当の具は何にしようか?
そんな事を考えながら
今度はゆっくりと坂道を下って往く
あの人の居る
なんて事のない日常に
喜びと幸せを噛み締める
そして……
山々が紅く染まるその時を
私は笑顔でそっと待つ